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楽しもうっていう気持ちが繋いだひとつの川

 掴んだと思ったコノシロを完全に見失い、窮地に立たされることとなった第6回目のプラ遠征釣行。

これまでしてきた自分の行動を振り返り、次に繋がるヒントはないか自問自答を繰り返せば繰り返す程に、思い悩み精神的にも追い込まれる苦しい展開。

大会まであと1週間を切った残り少ない期間で出来ることはなんだ?

一向に確信に辿り着けないままに大会本番まで残り5日と迫った中で迎えた、第7回目のプラ遠征釣行の内容です。


■ 釣りで初めて感じた"辛いという感覚"

 夜の国道3号線を北上する。第6回目のプラ遠征釣行から帰ってきて仕事を終え、間髪入れずに第7回目のプラ遠征釣行で再び熊本を目指す。

出発する前から…いや、仕事をしている時から既に気持ちは重く沈んでいた。

片道200キロの道のりもラジオや音楽を聞きながらそれなりに楽しんできたつもりだが、今回は何も聞く気にならない上に、クラッチを切る動作もハンドルを握る動作も何もかも億劫に感じてしまう。

流している音楽なんて何一つ耳に入らず、"ベイトはどこにいるのか?"ばかり考えている。

コノシロを追い続けた3ヶ月だった。それを見失ってしまった今、まともに勝負が出来る川も絞れてないしその他のベイトなんてひとつも掴んでいない。

 家を空けると妻はよくラインで子供たちの様子を教えてくれる。

1歳半の娘が今日こんな言葉を覚えたとか、初めてこのご飯を食べてるとか、勉強出来なくて娘が苦しんでるとか、息子がまったくいうことを聞かないとか。

24時間後の明日の夜には家に帰るのだけど、それまでの間は1人孤独にフィールドと向き合う。

もう6回も繰り返してきたというのにまるで手応えはなく、釣れた魚も1匹だけだった。

「帰りたい。のんびり家族と過ごしたい。ゆっくりお酒でも飲みながら、おいしいご飯を食べたい」

今回もまた何も掴めずに終わるかもしれないとひとたび考え出すと、家からどんどん距離が離れていくこの一分一秒に嫌悪感すら抱いた。

心のどこかで"そうは思いたくない"って願っていた。けれど、今の気持ちに当てはまる適当な言葉はそれ以外何も思いつかなかった。

"辛い"

初めて釣りで辛いという感情を抱くと、なんとか気力だけではぐらかしてきた精神的疲労が、肉体的疲労と同時にどっと押し寄せてきた。

誰かの為にやってるわけでもない。
誰かにやれと言われたわけでもない。
自分で決めた目標に向かう中で、自分自身が辛いと思っただけ。

間抜けなくらい、ただそれだけだった。

"良い一本を獲って、絶対に入賞したいんだ"

こんな状況にも関わらず、その気持ちだけはブレずに目標の頂点に君臨し続け、足元でもがき続ける自分を無表情に高く見下ろす。

ただがむしゃらに進んできたのではなく、色々な知識を学び実践し、正しいと思った手段でフィールドを調査し続けてきたつもりだ。

思い通りにいかなくたって、その時その時出来ることを100パーセントやり切り、無駄なことなんて一個もなかったつもりだ。

それなのに、それなのに…時間が足りないと思った。

見つけられないという結果を嘆いているのではなく、前を向けば向くほどに目を背けることの出来ない不安要素がこちらを睨みつけ、どうしても気が滅入る。

「もう寝よう」

 それでもなんとか県境を越えたところまでやってきて、サイドブレーキを引いてエンジンを止めると寝袋にもぐった。

今までで1番距離が稼げなかった夜の移動だった。


■ 楽しもうっていう気持ちが繋いだひとつの川

 それはもう、ずいぶんと味わっていなかった清々しい目覚めだった。

起きてからの予定なんて1ミリも考えず、携帯のアラームなんて掛けないで思う存分寝てやった!

肉体的な疲労がすっきり抜けているのを実感すると、不思議と気分も軽くなった。

「なんだ?単純にかなり疲れていただけかな?笑」

昨日までの沈んだ気持ちがまるで嘘だったかのように、前向きな気持ちになれていた。良い夢でも見れたのか知らないけれど覚えいないし、辛さが一周回って吹っ切れたのかもしれない。

「楽しもう」

たったそれだけの言葉を口に出したら不思議とすんなりそう思えたことに自分でも驚き、南下ではなく北上を選んだ進路は、不透明なくせにやけに鮮やかに映った。

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 本命河川の次に候補に挙げていた河川の、上げ2分ほどから立ち位置がなくなるまでを打つことが出来た。

常に濁りのある河川の為、雨後の濁りが好物な自分には常にチャンスに思えてしまうのが難点だったのだが…このタイミングを打てて良かった。

ベイトのイナッコの量、追われている気配が皆無であること、上げの流れの押し具合などから判断したのは、"ここも違う"ということだった。

 ロッドを出す出さないに関わらず、目をつけていた河川は全部で9つあった。その中の本命と2番目がパッとしない状況である為、次の3番目に順位をつけていた河川へと向かう。

ただその河川を見るにはまだ潮位が高過ぎる。そこでひとつ手前にある、順位で言うとこの3ヶ月で1度もちゃんと見ていないので9番目に等しい河川に少し寄ってみることにした。

この時この河川に寄ろうって思ったことが、沈黙を貫く全ての歯車が一斉に音を立てて動き出すきっかけとなったことを、この時の自分は想像もしていないのであった。


■ 熊本で高活性のシチュエーションを初めて堪能

 満潮からの下げ始め。そこは、遡上してきた魚たちが絶対に立ち止まる場所だった。

一見良さそうなシチュエーションとも思えるのだが、不思議とアングラーの姿は少ない。これまでどこに行っても必ず良いと思ったエリアにはアングラーの姿があっただけに、久々に思うがままに釣りが出来ると思えた。

 ファーストキャストは安全な立ち位置から、まずは表層を探っていく。このエリアが深いのか浅いのか、沈んでいるストラクチャーも何もわからない中で周囲を観察していると、少し上流で魚体が水面から飛び出すほどの捕食を見せるシーバスが目に飛び込んでくる!

立ち位置をズラし、狙いのスポットへルアーを遠投で送り込むと、呆気なくトンッというバイトの衝撃がロッドを通して伝わってきた。


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【熊本シーバス2匹目は、自身が手掛けるハンドメイドシンキングペンシル"Cork-コルク-"にて】

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 爽快でいて、強烈なファイトだった。サイズはフッコクラスなのだが、普段自分が相手にしてもらっている鹿児島のシーバスより明らかに引きが強い。

おまけに鱗は銀色に輝き、各ヒレのひとつひとつが綺麗で尾鰭も広く、しっかり身がついている。

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【顔付きがとても綺麗でかっこいい】

 リリースをしている間にも時折水面にボイルが出る状況で、活性が高いことがうかがえる。

同じルアーを数投して反応が得られなかったので、次は遠投が出来てトップレンジを引けるルアーに変えたら、狙い通りちゃんと食ってきた。

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【ヒットルアー:スウィングウォブラー85S/ポジドライブガレージ】

サイズは相変わらず可愛いのだが、そのファイトは到底可愛いとは言えない力強さを見せてくれる。

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 この後も時折ボイルが起こる状況を観察していると、どうやら流れの強さが変わるタイミングに捕食は集中していることがわかってきた。

そして水面に弾けたのは、ヒイラギに似たようなフォルムを持つかなり小さなベイトであることもわかった。

けれど、この場所にヒイラギがいるとは到底思えない。見間違いか…?

 小さいルアーをローテーションしていき、いくつかミスバイトやバラシを経て、いよいよ日も暮れ始めたといったタイミング。

最後になんとなく大きめのルアーも投げてみようと思ってキャストしたリップレスミノーに、この日一番のコンディションを持つフッコクラスがヒットしてくれた。

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【ヒットルアー:カゲロウ124F/メガバス】

食っているであろうベイトサイズとは合わないはずのルアー。"水面直下のルアーはサイズが誤魔化しやすい"なんて聞いたことがあるけれど、まさしくその1匹だったのかな?なんて想像してみたり。

それにしても、熊本シーバスの顔付きがどの個体もとても整っていて逞しい。イケメンシーバスと呼ぶに相応しい面構えだ。

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そして1番好きなのが、この発達した背鰭。

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文句なしの最高のカッコよさである。

 傾いていた日も見えなくなり、しだいに周囲に夜の闇が覆い始める。ここまで粘るとは想像していなかったので、防寒着も着てないしヘッドライトも車の中。

帰りの道のりと所要時間を考えると、もうタイムアップの頃合いだった。


 久しぶりに味わったシーバスのバイトの衝撃や力強い引き、ボイルを目撃し高鳴る心臓の鼓動に夢中になった数時間。

つい数時間前までは失意のどん底にいたというのに、魚が釣れれば明るく前向きな気持ちになれる!笑

やっとたどり着いた、この"捕食されるベイト"の居場所。

最初ヒイラギのようなシルエットに見えたベイトも、途中で話をしたアングラーの方の情報と水面を逃げる様子を度々目撃する中で、確定することが出来た。

その正体は、自分のスズキ釣りにおける大元の基盤を形成させてくれているベイト、イナッコであった。

大会までに出来るプラ遠征釣行は、大会前日入りのあと1回のみ。

辛いって気持ちから楽しもうって思えたことで、本番に向けてこのギリギリのタイミングでなんとか首の皮一枚を繋ぐことが出来たのだった。

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【タックル&ウェア】
[ロッド]ZENAQ PLAISIR ANSWER PA89 Technical Surfer
[リール]SHIMANO 18 STELLA 3000MHG
[メインライン]SUNLINE CAREER HIGH6 1号(16lb.class)
[リーダー]SUNLINE STATE CLUTCH SHOCK LEADER NYLON 20lb.
[キャップ]1989Luresフラットキャップ(OTTO)
[ゲームベスト]SHIMANO XEFO ショートゲームベスト VF-274L
[ウェーダー]Pazdesign BS BOOTS FOOT WADER V
[小物]Columbiaポーチ,CHUMSエッグ型コインケース


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