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春低気圧の車中泊小遠征釣行

「何もこんな日に車中泊しなくてもよかったかな…」
 
 ひと月ぶりに釣りに出たというのに、フィールドは全くもって僕を歓迎してはくれなかった。飛ばされそうなキャップを手で押さえながらザワザワと波立つ川面を橋から見下ろしていると、まるで悪魔のような呻き声を響かせた強風が、河口の漆黒の闇へと通過していった。
 
"気味が悪い"
 
一度そう思ってしまったから、これ以上先へ進もうとする気持ちが何度も後退りしてしまう。
 
ただ、オレンジの外灯に浮かび上がる干潮前の絞られた流れを見る限り、風さえなければ川の持つ雰囲気は良さそうに感じ取れる。
 
あとは本当に風さえなければなのだが…現実は無常にも、楽しく釣りが出来る常識の範囲を超えた風速が容赦なく身体を吹き飛ばそうとし、一時足りとも穏やかになる気配はしなかった。
 
運転席に滑り込むも、ひと息付く間も無く風に揺れる車内で、諦めの笑が少しこみあげる。
 
冒頭のセリフは、靴下を脱いで寝袋にもぐり込み、強風に揺れる車内でウッド天井を見上げながら出た、純粋な心の声である。
 
 
限られた時間の中で
 土曜日の午前中。3月に予定しているフィールド調査釣行は、たったこの一回だけ。
 
妻の仕事のシフトと子供達の部活動のスケジュール等を確認すると、丸一日予定が空く日は3月は1日もない事実を知った時は少し気持ちが揺れた。
 
だが少し時間を置いてもう一度スケジュールを見直した時、自身の考えの浅はかさと愚かさに気付き反省した。
 
"丸一日釣りに行けない?それがなんだっていうんだ?"
 
どう考えても妻の方が僕の何倍もスケジュールを抱え、家族の為の時間を過ごしているというのに。
 
 
 土曜日の午前中を最大に活かす方法を模索する。いくつかのプランを迷いに迷って、金曜日の仕事の定時間際に最終決定した。
 
帰宅して子供達と風呂に入り、家族みんなで食事を取ったら、まとめた荷物の最終確認を済ませる。
 
"金曜の夜に家を出て、土曜の正午に帰宅する15時間の車中泊小遠征釣行"
 
2019年の夏から秋、熊本へ通い続けた3ヶ月間のルーティンは未だ鮮明に蘇る。
 
あまりにも釣りに行かない僕を見て、「たまには釣りにでも行ったら?」と妻は最近言うようになっていた。
 
そんなひと月ぶりのスズキ釣り。
 
玄関を出て車に乗り込むまでのごく短い距離で感じた肌を突く風も、この時はまだ楽しみが勝り大して気にも留めなかったのだけど。
 
 
1日のはじまりを啜る
 久しぶりの車中泊は少々首が凝ってしまい、なんだか背中も痛くなった。フラットにした助手席と後部座席に出来るちょっとした空間と、ビーズが安定しないクッション枕のせいだ。
 
全く気にならない絶妙な位置と快適な体勢を知っていたはずだけど、肝心な部分を忘れるなんて。最後にした車中泊がいつかも思い出せない程ブランクがあったから、ある意味忘れても仕方ないかもしれない。
 
ボーッとする思考で窓から外を見ると、思っていたよりも人気が多い。ここで食事することは諦め、人気のない場所を求めて河川沿いを南下して海に出た。
 
次第に明るさを増す東の空だけれど、まだ太陽は顔を出してはいない。…せっかくだしなと、遮るものが何も無い場所に駐車し、カップラーメン用のお湯をジェットボイルで沸かし始める。
 
やがて眩しい光が、車内に入り込んできた。
 
本当は外で三脚テーブルとイスを出してゆっくりしたかったけれど、換気の為に開けた窓から入るのは生憎そんな風じゃあない。
 
時間も測らず、適当にカップラーメンの蓋を剥がす。朝っぱらからラーメンを啜る。ただただ、美味い。
 
咀嚼する間眺めるフロントガラス越しの朝日の横には、僕が鹿児島で最も好きな山のシルエット。いずれにせよ、良い1日の始まりであることに間違いはなかった。
 
 
ありのままを見る・撮る・歩く
 僕の初フィールドの調査方法は、Googleマップで目星を付けたポイントにはじめから行くのではなく、河口から順番に遡っていくスタイルだ。
 
比較的小規模河川ならば、数時間は徒歩だけでまわり切るつもりで踏査を開始する。それなりに距離がある中・大規模河川なら橋などの目印を基準にブロック分けし、ブロック単位で車移動した後、川沿いをくるっと歩いて見て回るようにする。
 
その際基本はロッドを持たない。ケータイとカメラと水温計。最低限この3つの道具があればそれで良いと思っている。
 
ベイトの有無、流芯の位置、水の色、潮位…それらをまずは、自分の目でありのままに見る。記憶なんて当てにならないから、後に振り返れるようにカメラにおさめてゆく。
 
ストラクチャーの有無や感じたことなどを細かく記録しながらひたすら歩いていくから、とにかく時間が掛かる。とてもじゃないがロッドを振る時間なんて、まずないと言っていい。
 
今年一年を掛けて知りたいのは、ロッドを通して感じ取るピンスポットの情報ではなく、広範囲に視点を広げたフィールドの分母だ。
 
 ついさっき地上に現れたばかりのはずの太陽はすっかり高度を上げ、歩く身体は上着の存在を感じるようになってきた。車に戻ると、日の当たる車内に感じた陽気は、春を通り越したソレに近いモノを感じた。
 
相変わらず風は強い。時刻を確認する。結局一度もロッドを持つことはせず、学校から帰ってくる子供たちに間に合うよう車のステアリングを家路へと向けた。
 
 
現在の調査数は18水系26河川
 今回の車中泊小遠征で見て回った3水系4河川をカウントし、現在の調査数は18水系26河川になった。
 
88水系まで残り70水系。18水系を見て回った今の率直な感想としては、「あと70水系も候補があるなんて幸せ」ということだ。
 
最初その数字を見た時には途方もないチャレンジかもしれないと身構えたけれど、今はどちらかといえば自分の知らない川を沢山見れることが楽しみでしょうがない。
 
こういう目標を立てない限り、おそらくこんなにフィールドを知ることに重きを置いた時間の使い方はしなかっただろう。なぜなら根底には、"ホーム河川で迎え撃つスズキ釣りが好き"というこれまでのスタイルがあったから。
 
そのスタイルこそが自分の釣りであり、これから先もずっと続くと思い込んでいたけれど、どうやらまだまだ僕は知っておくべき方が良いスズキ釣りがあるようだ…と、少し偉そうに思ったりしてみた。
 
 このひと月でスローダウンしてしまった分を取り返すべく、花粉シーズンが完全に過ぎ去るであろう5月あたりからの車中泊小遠征をイメージし、今は釣り以外の部分でも色々と準備しているところ。
 
最近の動きとしては、スノーピークのアルミパーソナルクッカーを買ってわざわざ家で米を炊いたり(予習大事!)、お腹空いたという子供達にわざわざ家でジェットボイルミニモでパスタ作ったり。はたまた100均で手に入れた鉄板のシーズニングをしたりしている。
 
ちなみに、キャプテンスタッグのシェラカップも手に入れた。どれも釣りとは直接関係はないが、もちろんこれも自分にとっては釣りの一部だ。
 
新しい釣りの楽しみ方と向き合い方、そして目標に対する日々の行動の大切さを、自分自身が一番期待しているような感じ。
 
順調にいけば来月初め頃には、オーダーしていたベイトロッドが仕上がってくる予定。
 
そのロッドでどんなスズキ釣りが出来るだろう?いや、どんなスズキ釣りを構築していこうか。どれだけの熱量をそこに注ぎ込もうか。
 
今年から始まった1095日には、今のところ想像する楽しみがぎっしりと詰まっている。けれど、楽しみだけじゃあ達成出来ないことも知っている。
 
技術やスキルといったところとは別の部分での乗り越えなきゃいけない試練を、もうそろそろ自分自身に課せねばならないとも感じているところだ。
 
72,73/1095

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