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【怪談?】真夏の夜のテント

夏になると、思い出す事件があります


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私は昔、千葉の『一宮川』でシーバスに挑戦しはじめました
「自転車で来てテントを張る、全然釣れないルアーの人がいる」
と、地元の釣り師たちには認知されていたようです
プロフィールのテントの写真は、その時期のものです

その頃、一宮川でルアーでシーバスを狙う人はごく少数でした

なぜかというと、その河口には船やらなにやらが沈んでいて、
スーパー根掛かり地帯だったのです
しかし、その根掛かるところにハゼがいっぱいいて、
シーバスもついているのです

地元の釣具屋の店員さんみたいなルアーの上級者は、
安いバイブレーションに根掛かりしにくいような工夫
(リアフックだけとか、フロントにオモリをかますとか)
をしたうえで、ロスト覚悟で攻めるという話

しかし、地元の釣り師たちは、たいてい根掛かりしない
ところでブッこみ釣りをし、回遊を待つ作戦

そういう人達も、たいていは夕方になれば帰宅
粘る人でも、夜9時くらいまで、という感じ

なので、深夜になれば、私だけが釣りをしていたのです


(*^^*)川を貸し切りだ~!


なんて浮かれていました

はじめは、真っ暗い夜の河口は、恐ろしい場所でした

しかも、釣れないのを打破するために、
ウェーディングをするようになったのです

一見、墨か重油が流れているように真っ黒く見える夜の川……
私は幽霊なんていないと思っていましたが、
それでも、水底から白い手が伸びてきてもおかしくない雰囲気
子供のときに見ていた『あなたの知らない世界』という
怪談では、そんなシーンがたくさんありました

しかし、夜のウェーディングにもやがて慣れ、
やがて、岸沿いにえんえんと水中を歩くようになりました

そうなると、ちょっとした冒険のようで楽しく
テントの中でラーメンを食べたり、夜釣りを満喫するように
(ぜんぜん釣れないのですが)
 


その日は、真夏らしい暑い日でした
昼間はさけて、夕方から河口をウェーディング
いつものように釣れないまま、深夜、テントに帰ってきました
河口に残っている人間が私だけなのも、いつもと同じです

テントのなかでお湯をわかしていると、外から、


”サク サク サク……”


と、人の足音が近づいてくるような音がしてきます
しかしそれは単に、海風による草ずれの音なのです

はじめは(人が近づいてきている!?)
と、びっくりして、手持ちのライトすべてを全開にしてから、

(°Д°; とりゃああ!

と、勇気をだしてテントから出て確認したりしていました
しかし、外では草が風にそよいでいるだけだったのです


”サク サク サク……”


外から聞こえてくる音を、私は全く無視して、
(朝マズメに、もう一回攻めよう。今度こそ釣るんだ!)
なんて意気ごみながら、仮眠をとることにしました



……

”サク  サク  サク……”

”サクッ”

……

”ザッ”

”ザッ  ザッ……”

ふと、いつもと微妙に違う音に気づいて、目が覚めました

(あれ、ちょっと重い音? 遠そうだけど……釣り人?)

時計を見ると、夜2時すぎ
こんな時間に釣りにくる人は……

(もしかして、いるかもしれない……もしくは、浮浪者とか)

一宮町はサーフィンがとても盛んで、そのために
シャワーやトイレといった施設が海辺にあります
私が浮浪者になったら、きちゃいそうです

注意深く耳を澄ますと、波の音にまじって、

”サク  サク  サク……”

ああ、やっぱり草の音か、と思いました
ですが、人が近づいているのでなくても、心配ごとがあります
もしかして、さっきのは『水音』かもしれません

前に満潮時に護岸を波がこえ、その水がたまって流れ出し、
真夜中にテントの下が小川になったことがありました
そのときはサラサラ……なんてせせらぎの音がしたものです

そのときの教訓に、より高い場所にテントを設置するように
しかし、高波がきているのなら、気持ちよくはありません

(まぁ大丈夫だろうけど、一応警戒かな? 一人ぼっちだし)

そんなことを思い、また耳を澄ますと――


”サク  サク  サク……”

”サクッ”

”サクサクサク!”

……

”ザッ ザッ ザッ! ザザッ! ザッ! ザッ!”


思わず両目が大きく見開きました

ザッ! ザッ! という音は、硬い靴が出す足音に聞こえました
それが、どんどん近づいてくるのです

いやまさか、と思っていると、護岸のほうから”ジャリッ” と
コンクリの上の砂を踏みにじるような音も聞こえてきました
これは本当に、『何か』が歩いてきている?
万が一を考えて武器になるものを探し、ナイフとタモの柄を確保

(@@; い、いやでも、ぜったい釣り人だろ!?
     こんな時間に来るなんて、熱心な人もいるもんだな!?


”ザッ!  ザッ!  ザッ!  ザザザッ!”

”ザザザザ! ザザザザ! ズザザザザザザ!!”

もはや疑いようもなく、何かが草原をかきわけてやってきます
なんだ、なんだ? と思うまに、テントから5m、3m――
草の丈が低くなるところで、それは草ずれのような音へと変わり、

”サク  サク サク……”

聞き慣れたはずの音
しかし、今度は――
ついにその音はテントのすぐそばまできて、止まりました
無音になった、と思いきや、



「あの~……」


という、のっぺりとした男の声が、
薄い生地をへだてた向こうから聞こえたのです

とつぜんのことに心臓が跳ねあがり、ナイフとタモの柄が
そこにあるのを、暗闇の中で手探りで確認。
(返事、しようか? しないか?)
返事をしないと、無人と見て、入ってくるかもしれません
それは、無茶苦茶恐いことのように思いました

相手がどういう人間であろうが、ナメられないよう、
できるだけ乱暴な声色で、


「あぁ!? はいぃ!?」


すると、向こうから「えっと……釣りですか?」という声
それは静かで落ち着いた、優しそうな口調

「あぁん!? そうですが!?」

威嚇するように返答しつつも、釣り人ではないか、と思いました
なら、なにか困りごとがあって、助けが欲しいのかも……?

(いやそんなことあるか? 
 人が寝てるかもな、真っ暗なテントに声をかけるか!?)

そんなことをするなら緊急事態。でも、それにしては口調が……
浮浪者が来ている、という可能性が再浮上してきます。
優しい声色でこちらを探り、もし弱そうと見たら……?

(そのときは殴り合いだ! 受け身より、攻めて機先をとろう)

私はいきなりテントの出口ジッパーをジー! と一気に開け、
ヘッドランプをつけながらテントから飛び出て、

「なんですかぁ?」

いかにもワイルドな男、という声色と態度!



(´・ω・`)あっ、すいませ~ん
      ここ、花火会場になるので朝までに立ち退きを
      お願いしたいんですが

(°Д°;  ……

(´・ω・`)おたのしみのところ、本当に申し訳ないんですが
      でも、お知らせの看板、立ってましたよね?

(==;  じ、自転車で変な道で来てるんで……        
      ていうか、朝までに!?
      夜が明ける前だったら、釣りしていいですか?

(´・ω・`)火薬が運びこまれますので、ダメです~



今年の『一宮町納涼花火大会』は、8月2日開催です

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