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連載第3回 『雷鳴 ~長い長いトンネルの出口で見えたもの』

  • ジャンル:日記/一般
  • (小説)
第一章 恵美

大学の銀杏並木の葉もほとんど散り、世の中がすっかりクリスマスモードになった十二月四日、恵美との七度目の「デート」のことだった。もはやボクの中では、単なる食事ではなく、デートになっていた。
ボクは、渋谷の閑静な住宅街に居を構える隠れ家的なフレンチレストランC・Mに恵美を招待した。照明が薄暗く、しっとりとした空気感が心地よい店だ。
この日は、背伸びをしてでも恵美をもてなし、喜ばせたい一心だった。そして、恵美にボクの気持ちを告白すると決めていた。恵美は、いままで見せたことがないようなシックで大人っぽい装いをしており、それがボクの決意を新たにさせた。
食事がひととおり済んでコーヒーを飲んでいるときに、ボクは、意を決して恵美に告白した。
「君のことが好きだよ。大学生になって女性にこんな気持ちになるのは初めてだ。ボクと付き合ってほしい」
恵美は、恥ずかしそうに、でも快くボクの気持ちを受け止めてくれた。
レストランを出る頃には、恵美はいつもより少し酔っていて、潤んだ目でボクを真っ直ぐに見つめていた。ボクは、静かに恵美に口づけをし、恵美もそれに応えてくれた。ボクはそっと恵美を抱きしめ、何も言わず恵美の頭を優しく撫でて愛おしんだ。
ボクは、勇気を出して「部屋を取ってある。今夜は二人きりにならないか」とホテルに誘った。恵美は、小さく頷いた。恵美の門限が気になったが、今夜は友達の家に泊まると親に伝えてあるとのことだった。恵美なりに予感するものがあったのだろう。
その夜、ボク達は、国道二四六号線沿いにある高層タワーのCホテルに泊まり、初めて身体を重ね合わせた。ラブホテルを使うつもりなどこれっぽっちもなかった。二人で過ごす時間をただセックスのためだけではなく、特別なものにしたかったからだ。
恵美の裸体は美しかった。
恵美はとても緊張していて、身体を硬くしていた。ボクが恵美に優しく口づけし、全身を愛撫しているときには、控えめながらも悦びの声を上げていたが、いざボクが恵美の中に入ると、痛みに顔を歪めた。ボクが射精した後にシーツを見てみると、ワインをこぼしたように赤く染まっていた。
やはり、恵美はヴァージンだった。恵美がボクに身体を開いてくれたことに大きな喜びを感じた。
 
それからというもの、ボク達の交際は順調そのものだった。等身大の付き合いをしようと決めたことが良かった。ただ、ボク達が初めて結ばれた十二月四日だけは、毎年、渋谷にある思い出のフレンチレストランC・Mで食事をし、Cホテルに泊まった。
 

恵美はとても家庭的な女性だった。ボクが風邪を引けば、ボクのアパートにやってきて献身的に看病してくれた。無精なボクに代わって、家事をしてくれた。ボクは、そんな恵美がとても好きだった。
恵美がボクの部屋を掃除してくれた日に彼女と寝るのは、ボクをとても爽やかな気分にさせてくれた。肉体的な快感というよりは、精神的な充足感の方が大きかった。
 
一度だけ恵美と喧嘩をしたことがあった。弥生の相談にのったときのことだ。彼氏との仲がうまくいってないとのことで、ファミレスで長時間、弥生の話を聞いたのだ。
ボクは、弥生のことを恋愛対象としても性的な対象としても見たことがないので、二人で会うことになんの罪悪感も抱かなかったし、恵美に話す必要性も感じなかった。
二日後、恵美がボクのアパートに来たときのことだった。恵美は、眉間に皺を刻んだまま、ボクの前に相対した。そして、ボクが弥生と二人でファミレスに行ったことを問いただした。
「私と付き会っているのに、どうして弥生と二人で会ったんですか?」
「相談を持ちかけられたんだから仕方ないよ。弥生には、恵美と引き合わせてくれた恩もあるし。それに、ボクは彼女のことをなんとも思ってないよ」
「じゃあ、なぜ弥生と会ったことを私に黙っていたんですか?」
「やましいところは何もないから、特段言う必要はないと思ったんだよ。そもそも弥生には彼氏がいるじゃないか」
恵美は、眉間に皺を刻んだまま、静かな口調で話を続けた。
「勇輝が他の女の子を好きになることがあるのなら、それはそれで仕方がないことだと思います。でも、私と別れる気もないのに、私に隠れてコソコソするのはやめてください。それは私に対する大きな侮辱だし、裏切りだからです」
このとき、恵美が怒ると、恐ろしいほど静かで、信じられないほど丁寧に話すことを学んだ。

第二章 献身 に続く

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