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▼ 連載第1回 『雷鳴〜長い長いトンネルの出口で見えたもの〜』
- ジャンル:日記/一般
- (小説)
雷鳴 ~長い長いトンネルの出口で見えたもの~
第一章 恵美
1
妻の恵美と知り合ったのは、大学二年の秋、キャンパスの銀杏並木が色づき始めた頃だった。
「谷山君、合コンに来てくれない?急に男の子の人数が足りなくなったの」
クラスメイトの弥生に半ば強引に合コンに連れて行かれた。その合コンに来ていた女の子の一人が恵美だった。弥生の女子高時代からの同級生で、今はお嬢様系で有名な女子大学に通っているとのことだった。
美しい子だった。
奥手な性格なのだろう。合コンの間、最低限の会話以外に言葉を発することもなく、恥ずかしそうに下を向いていた。
合コンに来ていた理由は、ボクと同じだった。時々ボクに視線を向けることがあり、何か話したいのだろうと思って、色々話題を振ってはみたものの、頬を赤らめて多くを話さなかった。
恵美との最初の出会いはそれだけで、連絡先を交換することもなく別れた。
その一週間後、弥生から声をかけられ、恵美がボクに話があるのだと伝えられた。弥生に連れられて待ち合わせ場所に行ってみると、所在なげな様子で恵美が立っていた。
三人でボクがよく行くカフェに入った。ボクは、深煎りして粗く挽いた豆をネルフィルターで淹れたコーヒーを頼んだ。
ボクがコーヒーを飲み始めると、弥生がおもむろに口を開いた。
「恵美がね、谷山くんのことを気に入ったんだって」
想定内の展開だった。
当時のボクには、好きな女性や彼女がいたわけではなかったが、恵美を恋愛対象として見ることはできなかった。
ボクは、今まで特定の女性に縛られることを避けてきた。自分の生活の自由度が制限されるからだ。ボクの女性関係は、どちらかといえば奔放な方だ。だから、恵美に限らず特定の女性と付き合うことはボクにはありえないことだった。さらに言えば、恵美は大人しすぎた。ボクは、明朗快活な子が好みなのだ。
「君のことが好きとか嫌いとかそういうことじゃないんだ。ボクは誰か特定の子と付き合うことを考えていないだけなんだ」
恵美は悲しそうな顔をしながら、眉間に深い皺を刻んでいた。後々気づくことになるのだが、恵美が眉間に皺を寄せているときは、悲しんだり、悔しがったり、怒っているのだ。
恵美は諦めなかった。
「付き合わないまでも、せめて食事だけでもご一緒できませんか」
人見知りをするわりには芯がしっかりしているというか、どこか気の強さを感じた。ボクは、あまり気が進まなかったが、時々一緒に食事に行くことだけは承諾した。お互いの連絡先を交換して、その日は別れた。
その日の夜、早速、恵美からメールが来た。
「もう一度、谷山君と会えてとても嬉しかった。第一印象が良かったのかな。合コンのような場でうまく話せない私に辛抱強く話しかけてくれたでしょ。そういうところがいいなと思って。付き合えないのはとてもショックだけど、一緒に食事に行けるのを楽しみにしているね」
どうやら、面と向かって話すのは苦手だが、メールだと素直に自分の気持ちを積極的に綴ることができるタイプのようだ。気持ちは分からないでもない。気心が知れてくれば会話も弾んでくるに違いない。正直なところ、悪い気はしなかった。
第一章 2 に続く
第一章 恵美
1
妻の恵美と知り合ったのは、大学二年の秋、キャンパスの銀杏並木が色づき始めた頃だった。
「谷山君、合コンに来てくれない?急に男の子の人数が足りなくなったの」
クラスメイトの弥生に半ば強引に合コンに連れて行かれた。その合コンに来ていた女の子の一人が恵美だった。弥生の女子高時代からの同級生で、今はお嬢様系で有名な女子大学に通っているとのことだった。
美しい子だった。
奥手な性格なのだろう。合コンの間、最低限の会話以外に言葉を発することもなく、恥ずかしそうに下を向いていた。
合コンに来ていた理由は、ボクと同じだった。時々ボクに視線を向けることがあり、何か話したいのだろうと思って、色々話題を振ってはみたものの、頬を赤らめて多くを話さなかった。
恵美との最初の出会いはそれだけで、連絡先を交換することもなく別れた。
その一週間後、弥生から声をかけられ、恵美がボクに話があるのだと伝えられた。弥生に連れられて待ち合わせ場所に行ってみると、所在なげな様子で恵美が立っていた。
三人でボクがよく行くカフェに入った。ボクは、深煎りして粗く挽いた豆をネルフィルターで淹れたコーヒーを頼んだ。
ボクがコーヒーを飲み始めると、弥生がおもむろに口を開いた。
「恵美がね、谷山くんのことを気に入ったんだって」
想定内の展開だった。
当時のボクには、好きな女性や彼女がいたわけではなかったが、恵美を恋愛対象として見ることはできなかった。
ボクは、今まで特定の女性に縛られることを避けてきた。自分の生活の自由度が制限されるからだ。ボクの女性関係は、どちらかといえば奔放な方だ。だから、恵美に限らず特定の女性と付き合うことはボクにはありえないことだった。さらに言えば、恵美は大人しすぎた。ボクは、明朗快活な子が好みなのだ。
「君のことが好きとか嫌いとかそういうことじゃないんだ。ボクは誰か特定の子と付き合うことを考えていないだけなんだ」
恵美は悲しそうな顔をしながら、眉間に深い皺を刻んでいた。後々気づくことになるのだが、恵美が眉間に皺を寄せているときは、悲しんだり、悔しがったり、怒っているのだ。
恵美は諦めなかった。
「付き合わないまでも、せめて食事だけでもご一緒できませんか」
人見知りをするわりには芯がしっかりしているというか、どこか気の強さを感じた。ボクは、あまり気が進まなかったが、時々一緒に食事に行くことだけは承諾した。お互いの連絡先を交換して、その日は別れた。
その日の夜、早速、恵美からメールが来た。
「もう一度、谷山君と会えてとても嬉しかった。第一印象が良かったのかな。合コンのような場でうまく話せない私に辛抱強く話しかけてくれたでしょ。そういうところがいいなと思って。付き合えないのはとてもショックだけど、一緒に食事に行けるのを楽しみにしているね」
どうやら、面と向かって話すのは苦手だが、メールだと素直に自分の気持ちを積極的に綴ることができるタイプのようだ。気持ちは分からないでもない。気心が知れてくれば会話も弾んでくるに違いない。正直なところ、悪い気はしなかった。
第一章 2 に続く
- 2019年9月24日
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