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金森 健太

岐阜県

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源流でもライジャケは必要?

  • ジャンル:日記/一般
  • (渓流)

こんばんは。

今回は

ライフジャケット

のお話。

もちろんfimoログを読んでいるソルトアングラーの皆様なら、釣行時のライフジャケット着用は常識だと認識しているかと思います。

…ですが

今回は、渓流。しかも源流域でのお話。

簡単に言うと

「この前源流で死にかけたから、源流でもライジャケ着た方がいいんじゃねえの?」というお話。

釣行日は3月4日、岐阜県内の某源流での出来事。

3月1日に解禁したこの渓、毎年尺を超える良型のイワナが釣れる渓で、積雪の少ない今年なら解禁から良型が釣れるだろうと友人と共に釣行したのだ。

急勾配の斜面を慎重に降り、最初の淵を見ると…開きで良型のイワナが3尾ほど悠々と泳いでいた。

はやる気持ちを抑え、水温を測ってみると…水温は僅かに3℃。信じられないという気持ちだったが、いざ釣りを始めると

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ちょうど尺(30.3cm)を筆頭に多くの良型イワナを手にすることができた。

遅めの昼食の後、とある滝へ行ってみようという話になり、その滝へ行くことに。

その滝は3mほどの落差が二段連続しており、下の段は容易に入ることができるが、その滝壺はすり鉢状の岩盤で構成されている。その岩盤は非常に滑りやすく、しかも上から落ちてきたであろう砂が薄く堆積している。

蟻を捕食するアリジゴクの巣を想像していただければ、なんとなく地形のイメージはつくだろう。

上の段の滝へ行くには、そのアリジゴクの巣状になっているところを越えなければならない。

両岸は切り立ったゴルジュ帯のため、高巻きも不可能だ。

「無理やな」
「いや、行けるやろ」

私の静止をよそに、友人は岩盤帯へと足を踏み入れた。

「やめとけ、落ちるぞー」

その声は滝の轟音にかき消され、彼には届かなかった。

しかし…

私の心配をよそに、彼は難なくその岩盤帯をクリアし、上の段へたどり着いたのだ。

さて、どうするか。

彼が行けたのだから、俺も行ける筈だ。

少々の躊躇いはあったが、意を決してそのアリジゴクの巣へと足を踏み入れた。

入ってみると、予想以上に滑る。しかも滑らかに削られた岩盤のため、手を掛けられるところもない。

滝壺は奥行き8〜9m、幅6〜7mほどで水深も最深部で2mはありそうだ。

慎重に進み、もう少しで階段状になっているところにたどり着く。そこまで行けばあとは楽に登ることができる。

なんとか行けそう…と思った次の瞬間

体重を預けていた右足が滑る。

咄嗟に左足で踏ん張ってはみたがグリップが効くことはなかった。

なす術もなく私の身体は、深い滝壺に吸い込まれた。

足が底に届かない、ウェーダーの中に容赦なく流れ込む3℃の冷水が私の動きを封じる。

この日は暖かい予報ではあったが、標高の高い源流域、しかも朝は冷え込みが厳しかった為ダウンジャケットを着ていた。

それが幸いして、私は水に浮くことができた。しかし…それでも首や袖口から徐々に空気は抜けていき、少しずつ私の身体は沈み始めていた。

胸まで浸かったその時、その水の冷たさに心臓が押し潰されるような感覚に陥る。呼吸さえもままならないようになり、私は必死で岸へ戻ろうともがいた。

滝壺には反転流ができていることが多く、この滝も例外なく滝の落ち込みに向かって強い反転流ができていた。もし落ち込みに吸い込まれてしまえば、二度と浮上できないだろう。

今思えば、パニックに近い状態だったのだろう。

必死でもがき、運良く私は足が届く場所までたどり着くことができた。

水が溜まったウェーダー、たっぷり水を吸ったダウンジャケットが信じられないほど重い。

岸に上がると、なかなか上がってこない私を気にかけた友人が滝上から覗き込む。

「上がれん?」
「落ちた」

かろうじて言葉を返し、私は最初にエントリーしたルートで車に戻った。

すぐに車のエンジンを始動させ、エアコンを全開にする。

もし、滝の落ち込みに吸い込まれていたら
もし、ダウンジャケットを着ていなかったら
もし、ベルトが緩かったら

私は、あの滝壺の底に沈んでいたかもしれない。

この釣行が、最期の釣行になっていたかもしれない。

この渓は源流域といえど水量は多い。4mの仕掛けで底が取れないほど深い淵もある。

最も真夏で薄着&ウェットゲーターなら楽に泳いで脱出できただろう。しかし、早春の寒さ。当然厚着になり、その分動きに制限ができてしまう。

冬服を着た状態での落水は、想像以上に難しい。日々力仕事をしていて、20代の頃は格闘技を習っていた私でさえ、成す術がなかったのだ。

一跨ぎほどの細流は別として、それなりに水量のある渓や本流域ではライフジャケットを着用した方がいいと身を持って思い知らされた釣行だった。

かと言ってゲームベストを着て行くのはちょっと大袈裟な気はするが、腰巻きタイプの自動膨張式ライフジャケットや、近年では鮎釣り専用の首巻きタイプのライフジャケットも販売されているとか(見た事ないけど)。

またこの事故以外にも、他地域で昨年源流で事故に遭った方の遺体が今年の解禁日に発見されるという痛ましい事件もあったという。

我々は今一度、源流は危険な場所であるということを再認識しなければならない。

「楽しい釣り」が「悲しい釣り」にならないためにも

・水量の多い渓ではライフジャケットを着用しましょう
・高巻きが伴う遡行が必要な場合はヘルメットを着用しましょう
・家族や知人に行き先と遡行計画、帰着予定時刻を伝えておきましょう
・渓の性質に合った装備を用意しましょう。サンダル、スニーカーは厳禁です。
・少しでも危険だと感じたら、別ルートを探す、また諦めることも大切です。

命あっての釣り、大切な人のために、自分のために、安全第一で釣行しましょう。

ゼロ災でいこう、ヨシ!!

最後まで読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m


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