現在、シーバスフィッシングの選択肢として専用開発されたベイトタックルが溢れています。ここフィーモのブログサービスでも、ベイトタックル愛を語るブロガーさんがたくさんいらっしゃって楽しませてもらっています。ありがとうございます。
　しかし、20年ほど前はシーバスにベイトタックルを使うのは、ボートでピン撃ちをする用途がほとんどで、陸からの釣りでは極々少数派でした。そんな情勢でしたが、当時懇意にしていたアングラーの方が自作の11フィートほどのベイトロッドで挑戦していたことに感化されて、自分もスズキ釣りに本格的にベイトタックルを導入してみようと思い立ったのでした。
　1本目はいいタイミングで巡り合ったラグゼチータでしたが、足場の高い堤防からの釣りにはもっと長さがほしい。竿を自作する道具も技量もないので、世の中にある長いベイトキャスティングロッドを海外製品から探そうと考えました。
　当時、海外製品を個人輸入するのに便利だったのは、アメリカの大手アウトドア量販店のカベラスでした。ちょっと記憶が曖昧ですが、インターネットでカベラスの日本代理店窓口を通してカタログ（当然ですが全部英語です）を注文し、ほしい商品をカタログに封入されている注文書に記入し、代理店へFAXで発注するという流れだったかと思います（記憶が曖昧ですが、FAXは使ったと思います）。入金方法はどうだったか忘れましたが、船便なので送料は航空便より安い代わりに商品受け取りまで数週間かかるというものでした。
　Gルーミスやセントクロイといった高級品からよく分からない安物までぎっしり掲載されたカタログをじっくり見て、目にしたのがシマノUSの「コンバージェンス」シリーズでした。対象魚別に様々なタイプのロッドがラインナップされていて、ベイトキャスティングロッドの最長は10フィート6インチ。どうやらサーモン＆スチールヘッド用ということで、これならスズキでも充分いけるだろうと、これに決めました。価格は69ドル。当時のレートは100円ちょっとの円高でしたから、日本円にして7000円台という激安価格。船便の送料を入れても1万円程度だったと思います。
 さて、ようやく届いたコンバージェンス。竿袋なんてものはなく、直接ボイド管に入った状態で届きました。ガイドはFujiアルミナオキサイドの小口径のものがついていて、現代風（当たり前か）です。継いで持つとかなり軽い。当時の軽量シーバスロッドだったウエダのSPSと変わらないぐらいです。しかし、振ってみて閉口したのがとにかくグニャグニャとしていたこと。その時はサーモン・トラウト用のロッドだから完全胴調子なのか、と思っていました。いや、今から思えば、これはキャスティングというよりもトローリングの餌釣りにも用いるような竿でもあるのです。
　使いづらさはありましたが、10フィートオーバーのベイトロッドが格安で手に入っただけで満足でした。ナイロン16ポンドに30ポンドのショックリーダーをビミニツイスト＆オルブライトノットで組んだラインシステムで使っていました。当時はPEラインは一度トラブると解けなくなるという心配からバックラッシュを恐れてバス釣りで慣れていたナイロンラインを使うことにしたのです。今となっては、PEの方がかえってライントラブルは少ないというのが常識ですが。
　ルアーは、当時も今もかわらないK-TENやラパラを筆頭にオーソドックスなシーバスミノーを投げていました。グニャグニャな調子はルアーの飛距離は出せないので基本的には海が荒れ模様で魚が近くに寄っている条件限定での使用が主でしたが、見方を変えれば重いルアーも振り切れるのでK-TENリップルポッパー140もよく使っていました。
　足場の高い防波堤の先端では、リールが上に付いているベイトロッドは足元の壁際ギリギリまでルアーを引くことが可能で、ピックアップ寸前の穂先から１ｍ以内といった超至近距離でフッキングさせたこともあります。７０ｃｍを超えるサイズがヒットすれば、グリップの上からまさに満月のようにブランクが曲がり、ベイトリールの巻き上げパワーのおかげでやり取りには余裕がありました。
　まあ、シーバス専用ベイトタックルが選り取り見取りな現代からすれば、知識不足や技量不足もあって物足りない部分も多かったですが、こういう時もあったというわけです。