テスターの意義

モニターも含め、良く「テシタ―」と揶揄されるテスターという存在。

基本は黒子に徹し、未発売のルアーをテストし、その良し悪しを的確にメーカーへフィードバックしていくもの。

しかし、何も知らん人が傍から見たら、「ルアーをタダで貰える」「新商品の宣伝をする」程度としか思われてないのでは。

一部を除き、開発に直接携われる訳ではないので、そう思われる側面は致し方無いのかと。

その力量を認められて開発者として活動出来る(例:工藤ちゃんや前田さん・覇王)のは、ある意味別次元の存在って事。

かく言う私も一時はティムコ社でモニターをやらせて貰い、その仕事(?)内容はある程度知っているつもり。

その中で開発のごく一端を担わせて貰ったが、それこそモニターとしては特例中の特例。

そうして練り上げられた物が「製品」として世に出ていく。

よって、テスターの数が多ければ多い程、「最大公約数」の能力を持った製品が生み出されていく。

自作をやってて判るのは、開発者は自分の中では100%の製品を作るため、「最小公倍数」の製品を作ってしまう。

しかしながら、それは明確なコンセプトが無い限り、特化品(特価じゃないぞw)以外では「商品」として成り立たない事が多い。

あ、そーいや約1名、それこそ特価(ワゴンセール)品ばかり作る「名ばかりテスター」が居たなぁw

話が逸れました。

それを「誰にでも」使えるように修正していくのが、テスターの役割。

正直な話、幾らルアーがタダで貰えると言っても、ぶっちゃけて言えば割りに合わない仕事でもある。

というのは、そのテストの為に「やりたい事が出来ない」事が多々生じる。

時間というのは有限であり、往復や準備の時間を考えると、テストに使われる拘束時間は非常に長い。

また、時合いという観点からすると、優劣を見極める為に楽しむ事が出来ない。

余程の暇人か、ごく近場でしかやってない人間(←あ、俺か(爆))以外は、時給換算したら…

そういった意味では、ある意味「メーカーの犠牲者」とも言えるポジションだろう。

なので、余程そのメーカーが好きとか、信念が無い限り務まらない。



さて(笑)



これまでの話は「釣れる」事前提で作られる製品に関しての話。

それが「釣れない」事前提で作られたモノに対しては…

前フリが長くなりましたが、今回はそんな話。


私のログ日付で話すと、事の始まりは昨年11/30に書いた、自作イガイルアー。

それに食いついてくれた方が約1名いたので、送る事を約束。

その時点でパクリ屋工房3人目のテスター確定w

ところがロッド製作が終わり改めてチヌの研究をしていく内に、とある事に気付いてしまった…


これ、釣れねーぞ(爆)


正直に言えば、動きには自信がある。なので魚は反応するだろう。

その中で釣れない事は無いだろうが、しかしながらそれは「偶然の産物」。

コイツ自体の構造や捕食体勢の関係上、余程の条件が重ならない限り「フッキングしない」。

それじゃルアーとは呼べないし、そんな物をいたいけな好青年に送り付ける訳にはイカン。

そこで、その欠点を修正すべく構造を見直し、「これならイケる」となったのが2月中旬。

そこから約1ヶ月、ニ百個以上の貝殻を使って試作を試みた結果…


無理っっ


その構造にするには、どうしても中身を封入した状態で貝殻にドリルで小さな穴を開ける必要がある。

だが、イガイの貝殻は異様に脆い。

どんなに細いヤツでも、どんなに低回転でやっても、穴周辺がバリバリと剥がれてしまう。

かなり細工や手間をかければ出来たかもしれないが、それではコイツを作る意味がない。

また、1回限りの使い捨てならばやりようがあるが、それでは 採取した方が早い 「ルアー」とは言えない。

ログ書く時間も全て潰してやったのだが、それで頓挫したのが3/23に書いた「完全に諦めました」という言葉。


だが、約束は約束。


なので、「釣れないよ」と一言書いて4/11に送り付けてやった(←悪魔w)

そこから2週間後、ちゃんと使用してくれた上に、律儀にテスト結果を報告してくれた。

それを読んで思った…


俺、センスあるわ(笑)


というのは、「絶対にこうなるだろうな」と思った通りの結果だったから。

詳しくは、犠牲者のログをご覧下さい(リンク許可済丸投げw)

https://www.fimosw.com/u/icj877vt68/jf5nccixp6no7o

今回は、性状・形状・針位置・捕食方法・チヌの口の構造・その他諸々を合わせてシミュレーションし、「こりゃ釣れんわ」と(爆)
(じゃなきゃ、1ヶ月もかけて改良版作ろうとしないわっっ)

ただ、やはり自作となると愛着(?)があり、何とか結果を出してしまおうとするのは人間の性。

実は、「こうやれば釣れる(掛かる)」というのも、ごく限られた条件ではあるが解っていた。

が、敢えてそれを言わなかったのは、「釣れない事の証明」をしたかったから。

ない事を証明する事は出来ないとかぬかして言い逃げ・論点ずらししまくってたのが居たが、やりようによっては出来るって事。

勿論、偶然でも釣れちゃう事はあるから完全証明ではないが、ちゃんと現実を知って自分の頭使えば、一部分だけでも出来る。

経験が無いってなら根本を知らんから仕方ないが、それすらやろうとしないって事は、己の無知を晒してるだけって事w

そんな恥ずかしい真似はしたくないし今後の糧にする為、恥を忍んで失敗品でも送ったって訳(←言い訳w)

今回は何も知らない純粋な青年にそれを丸投げしてみたら、完璧な回答を出してくれた(←最低w)

だって、全ての製品に使用方法が書いてある訳じゃないし、書いてある通りに使えるかというのも全くの未知数。

そこに、釣り人とメーカーの橋渡し的役割として、テスターという存在の意義があるんじゃないかと。

もう一つ言えば、製作者の意図が判らなければ、テスターってこんな被害にも合うって話ですw


ごく一般の釣り人からしたら、メーカーに絡める事は色んな意味で羨みがあるかも知れません。

当然そこには製品の提供があり、名前が通る事があり、羨ましがられる事もあります。

勿論、そういった側面がある事は否定出来ませんが、その分・それ以上の犠牲の上にあるという事を知っておいて欲しいなと。

…当然メーカーレベルになれば、「釣れないプロト」を作る事は(費用面から)ありませんが(爆)

今回は、あくまで「ごっこ」レベルではありますが、それでも真面目に取り組んでくれた彼には感謝しかない。

最後に一言…



RYU!君、スマンっっ(笑)

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