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上宮則幸

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砂塩鱗 再始動




おれは既に出来上がっていたその【場所】が崩壊していく様をつぶさに見た。
その【場所】はもう2度とここには形成されないんだろう。
しかしまた来期かならずその【場所】はどこかに形成される。
そう言えばいつか、地元の手練れは言った、昨年はあっち、その前はそっち…

また時季が来たら、おれはこの宮崎の浜に立つんだ。
そして今季出来なかった事、その【場所】の形成を見守るのさ。




昨期の『砂塩鱗』の2017,2,24最終話の一節。
お目当ての魚が釣れてたならそんな事も思いはしなかったかもしれないんだが、幸か不幸か?釣れなかったものだから多少意固地の虫が騒いでしまって書いた一節であった。
…釣れなかっただけじゃねーか、バイトすらもらえなかったか…


本来ならば12月に入ると同時に宮崎の浜に入り浸るつもりでいたのだが、会社の状況がそれを許してはくれず、年末にまで再開がズレ込んだ。
ただ、前期からお世話になっている宮崎ローカルのアングラーさん達の話しでは口を揃えて「シーズンが遅れている」との事でそれほど焦る事もなく遅い再開の日を迎えた。



高速を飛ばせば1時間40分だが、一般道だと2時間40分の道程。
昨年散々通った下道だが、今回は車載ナビではなくスマホアプリのナビで検索すると、15分短縮できる事がわかり、試しにそのルートで宮崎の浜に夜の内に到着。

駐車スペースにクルマを停め、暗い外に出る。
この場所は松林に遮られてはいるが波打ち際から100m程しか離れていないから波音は良く聞こえる。
ただ、ちょっと聞こえ過ぎなような気が…
海岸に設置されている消波ブロックに波が思いっきり打ち付ける、「バーン!!!」と、怒号にも似た重い響きが海岸から聞こえてくる。
松林を越えて海を見に行く。
タイミング的に砂浜が見えているはずなのだが、それが見えない。
コンクリートのスロープの下まで波が打ち寄せている。
暗いためはっきりとは分からないが、地形が昨年とは様変わりしているようだ。

不安な気持ちのままクルマに戻る。
今夜はこの場所で今から車中泊だ。
予め敷いておいたバックスペースのマットと寝袋の上に寝転び、道中買い込んだ発泡酒を数本煽る。
疲れた身体にアルコールが巡る。
軽く痺れるような感覚を悦ぶ。
そうなると先程までの不安は何処へやらだ。
明日への期待だけが膨らむ。
いつものおれならば、その期待が膨らみ過ぎて眠れなくなるもんだが、やはり疲れの為なんだろう、微睡みがやってきた。
目覚ましのタイマーもセットしないまま…





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