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上宮則幸

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大潮四日目~中潮初日 黄色い月 赤い目

晴れ
南南西の風4m
月齢17.3
気温21℃
水温23℃

我ながら大したもんだと思う。
既にナイトゲーム9連敗(笑)
今夜ホゲれば連敗記録10!
ホゲの内容も奮ってるんだよ。
ほぼほぼノーバイトの完封負け(笑)
しかし、一晩に一度くらいコツリとバイトが取れていたら、もう少し違う結果になっていたんじゃないかな?

バイトが無かったから続けられた…

昼間にピン撃ちでそこそこ釣ってたのもガス抜きになってたかな?
夜、フッコクラスが連発する釣りも知ってますが、そういう釣りはおれがする必要無いでしょう?

とにかく、この場所でこの釣りでそこそこ釣れてなかったから安心できました。
じっくり待てました。
釣れない事が当たり前と思えるようになれた。
この川で化け物と出会う遠くて近い回り道を楽しんでいた。
負け惜しみじゃないよ(笑)



クルマから降りて右弦が少し欠けた黄色い月を眺めた。
湿り気を帯びた空気は月の周りの黄色い輪郭をぼやけさせて、雨が近い事を知らせていた。
いつもと変わらない肝属がそこに横たわる。

連夜の敗北にも関わらず、今夜もここに浸かる。
全くもって芸がない(笑)
ボックスの中身も同じまんま、やる事も違いがあるわけじゃない。
ただ、流れやうねりの差し込む角度、ベイトの位置で微妙に立ち位置をずらしていくだけ。
掛ける予定のブレイクは同じ。
ターンさせる角度やレンジの微調整のために忙しく立ち位置を変えていく釣り。

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絵心が無くてすいません(笑)
TT120SR、ピース100等で怒濤のラッシュ!
やっとこの場所に鱸が帰った事を素直に喜びつつ80アップを5~6本抜く。
最大が

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こんな感じ。
アベレージ85ぐらい?
短時間でバタバタと掛けるが、潮止まりになると魚が入れ替わり

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キビレが連発!
しかもサイズがいい!
これも短時間で終了(笑)
後は上げが込むに従って大ボラが溜まり始めた。

いや~いい釣りだった!と、上がるのが普通だろうけど、いやちょっと待てよ…と我にかえる。

突然の好転…
これは何かがおこる!





もう、かれこれ1時間も同じルアーだけで押し通していた。
セビル、マジックスイマー。
おれのログで度々登場するが、巷ではあまり見かけないルアーだと思う。
福岡の凄腕さんから沢山いただいて使うようになったルアーで、昨年もカワヌベをコイツで釣っている。
17cmほどのビッグベイトで2OZあるが、ナナテンでちょうど使いやすいサイズ。
高知でも赤目ハンターに注目されているらしい。
20キロオーバーがヒットしてももつサイズのフックを装着できる。

追い風に乗せてビッグベイトとは思えないほどの飛距離でブレイクに流し込むがバイトが得られないだけじゃなくて、徐々に満ちてくる潮のためにそろそろ退却を迫られてきた。
ボラ達の様子も平和そのもの。
「帰りに中流域でも見てみるか…」
なんとなく諦めムードになっていた時にその時は訪れた。

カッ!

ラインにコウモリでも触れたんじゃないか?と思うほどに小さな衝撃の後、フッ…とラインのテンションが抜けた。
慌ててラインを手繰りフルテンションでナナテンのバット前半まで入るほどに完璧な合わせが極まる!

ゴッゴッ!ととても硬質な衝撃の後、コココンと軽い違和感がティップを揺らし、刹那に再びグーングーンとバットまで竿が絞られ、少しだけスプールからPE♯2が引き出されてヤツが止まった。

その間僅か3秒ほどだろうか?
おれのラインの先に何が起こっているのか?何がいるのか?全く想像もつかない。

リールのドラグはおよそ2キロほど。
対カワヌベ、きもちゃん対策ではアワセ直後のファーストランの際、止める事よりもワザと走らせる戦法を取る。
止めてしまうと、ハリがもたないか魚の身がキレてトロフィーを失うことになる。
そして、カワヌベならばアワセ直後に驚くほどのスピードとトルクで一気にスプールを逆転させる。

しかしこの魚は…

止まった後にジンワリリールを巻いてテンションを高めると、なんとクルクル巻ける!
アワセ直後のあの重量感からすると呆気ないほどに簡単に寄ってくるのだ!

半信半疑でとりあえずそのまま巻いてみる。
リーリングを開始したのがおよそ35mほど離れた地点だと思うのだが、そこから25mほどまでラインを回収できてしまった。

巻いてくる途中、時折クン…クン…とヤツが動く感触がナナテンのティップを弾く…
もう何がなにやらわからない。
デッカいキビレなのかもしれないと訝りはじめる。

何がどうなってんだ!?

更にラインは巻ける。
ええ?
胸元のライトを点灯する。
何がいるんだよ?
不意にクン…クン…のピッチと重さが増し始める。
どうした?
ハンドルが空転し始める。
ヤツなのか?
糸の先の衝撃が既にゴンゴンと荒振っている!
カワヌベなのか?
おれの心臓も爆発寸前!

頭を支配するのは期待などではない。
得体の知れないヤツに混乱させられている!
この感情は何だ!?

恐怖だ!!

おれは恐れおののき我慢出来ずにゼクサスの光軸をヤツに向けた!



静かな水面を照らす閃光の中におれははっきりと赤い二つの光を見た。


カワヌベ!!!





ゴバッ!
何に例えようのない衝撃音の後、水面は大きく揺らいで団扇のようなまぁるいものが見えたと思った。

左手にナナテンとスコーピオンをもぎ取らんばかりの衝撃が走る。
一瞬ではない!
それは止む事を知らない!

ゼクサスの明かりの中に見えるスコーピオンのスプールからPE♯2が冗談みたいなスピードで無くなっていく。
おれはスコーピオンのハンドルノブから右手を放す事を余儀無くされ、ナナテンのフォアグリップの下にあてがった。
グリップのラバーエンドもライジャケのへそより少し上に当てた。
その怒涛のランを凌ぐために大勢を整えた。

時間にすれば数十秒だったかもしれない。
或いは1分ほどか?
息を我慢する間に過ぎ去るはずの時間に170mほど巻かれていたはずの、スプールを満たしていたはずのラピノバが見るのも怖いほどに引きずり出された。
カワヌベは完全に流れの中に入り時折緩急をつけながら猛進する。
そして、30mほど下流で一度テールウォークで飛沫を上げた。
右弦が少しだけ欠けた黄色い月の明かりの中に白く水面が砕けるのがはっきりわかった。

それからさらにガイドと糸が擦れ合うイビツな音を暫く聞かされ、ロッドが大きく揺れると同時にカワヌベがエラを洗う音が聞こえたと思ったけれども、それは月夜でも見えない距離になっていた。

思い出したようにおれはスコーピオンのスタードラグを弾くように回してドラグの効力を弱めた。
カワヌベも鱸も、おそらく根に潜らない魚ならどれも同じだと思うが、ラインのテンションを抜くとヤツらは走るのを止める。

思惑通りになった!

ヤツは流れの中で自分の身に何が起こったのか解らず無闇と突っ走ったが、身の動きを邪魔する力が解かれるとその赤い目をキョトンとさせているのだろうか?大人しくなった。

おれの方としても呼吸を落ち着かせ、ヤツを生け捕るための策を練る必要があった。

ヤツとおれとの間には底石も杭も無い。
幸いにストラクチャーから逆方向に走ったために根擦れへの警戒の必要は無さそうだ。
スプールの糸の残量から判断して80~100mは走られたが、まだまだ余裕はある。
ただし、これ以上下流に行かれると、底に溜まったゴミがある可能性も否定出来ないため、不用意に下らせてはいけない。

おれの立ち位置はヤツのランにつられて川を下ってしまったためにずいぶんと深みに来てしまっていた。
勝機を呼び込む為には、スプールをサミングしながらジンワリ魚を引きずり、後退して浅瀬を目指す必要がある。

おれはジンワリジンワリ歩いた。
ヤツは軽く頭を振っているが抵抗はせずに流れを遡ってこっちに泳いでやってくる。
きっとおれに引きずられているなんて思ってないのだろう。
おそらく、ポンピングして寄せようとしたら話は違ったかも?
再び違和感に狂って猛進したかもしれない。

おれは水中を歩きながら冷静にこの後のファイトをどう展開すればヤツに勝てるかを考察してた。
その時間は充分にあった。

このままヤツを流れの止まっているワンド状のシャローに連れて行き、浅瀬で身動きする術を奪い、動かない水の中で存分に暴れさせ、酸欠に追いやるプランを立てた。

ナナテンの柔軟な筋肉はカワヌベに違和感を与えていない。

この思案する時間に勝利はおれのものになったと言っても過言ではないだろう。
さらに、カワヌベを浅いワンドに誘い込み、間合いを詰めてマジックスイマーがカワヌベの口元に横咥えされ、カルティバが口の中に2本共しっかり掛かっているのを確認した時に希望が確信に変わった。


シャローでは何回走ろうが、何回水面を爆発させようが、ナナテンが総てを許容した。
全く素晴らしい仕事としか言いようが無いほどにモンスターの暴発はなだめられた。

ゼクサスの閃光を浴びてもカワヌベは暴れる事が出来なくなり、ナナテンがカワヌベをおれの膝元に導いた。
もう為す術を失ったカワヌベがおれの膝元に寄り添う。
おれはナナテンのグリップエンドをライジャケの胸元に突っ込み左手で掴んだリーダーの先のカルティバに気をつけながら素早く下顎を右手で掴んだ。
カワヌベが始めてその巨体を水面に浮かべた。
その硬く大きな顎に15ldボガは頼りなく、事実ハサミの開きはギリギリだった。

「おまえの勝ちだ」とその赤い目が語りかけたが、巨体の威厳がおれを畏怖させた。

勝った…
いや、捕ったが負けた。
膝の震えがおれにそう思わせた。







おれは直ぐに流れのあたる流心を目指した。
カワヌベのエラにすぐに新鮮な水を通してやらなきゃならない。
歩きながら手早くマジックスイマーを顎から外し、水が通りやすくするために気を配る。
水がヘソまでくる位置で蘇生を試みる。
そして、その美しく堅牢な巨体に酔いしれる

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産卵前なのだろう、胴回りの太さ厚みに驚く。

処置が迅速だったからカワヌベはすぐに泳ぎを取り戻し、手こずるほどに暴れはじめた。
もう大丈夫だ!

おれはカワヌベをもう一度川岸に連れて行き、手早く全長を計測して写真を撮影させてもらう。

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非常にお粗末な画像だが、おれには何の問題も無い。
もしカワヌベのダメージが酷ければ検量も撮影もいらない。

全長111cm、ウエイトはおそらく20kgを超えているだろう。

8回目の快挙だが喜びは毎回計り知れない。




元気なうちに素早くまた流れに戻る。
今回は釣友を呼んでブツ持ちは諦めた。
多分、ワザワザ来てもらいカワヌベの死のリスクを増やす事はもうしない。
元気な事を確認してそっと手を放す。

巨体は悠然と流れに消えた…

右弦が欠けた黄色いお月様が柔らかく輝き優しく祝福してくれた。

肝属の流れは満ち潮に押されて岸際の砂をピチャピチャと食んでいた。

川岸の土手の上からもう一度川に目を移した。

何時もと変わらない風景

何時もと変わらない風

何時もと変わらない匂い

本当に掛け替えのないおれの川




おれの愛する肝属


おれの川だ




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