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関根崇暁

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BlueBlue.jpg 「背中に背負う蒼色は鳥から見た海の色」 「お腹に抱く蒼色は魚から見た空の色」 「BlueBlue 海を愛する人へ―」 「Where's your Blue?」 ima_banner.gif 株式会社アムズデザイン運営のima公式web site。シーバスルアーkomomo,sasuke等の紹介。ルアーテスターの釣行記、コラム等も掲載。

遥かなる空に。

昭和59年12月のこと。

釣り友達に教わった城下町の釣具屋までは自転車漕ぐ事40分の道のり、ある日、学校が終ると大急ぎでその釣具屋を目差した。

川沿いの道を走り、大きな工場の交差点を曲がり、通りゃんせ♪の電子音の流れる点滅の横断歩道を渡る。

城のお堀を横目で見ながら国道を越えると、黄色いダイワの看板が見てくる。


現在上映中の映画「のぼうの城」の舞台となった城下町に、嘗ての仲間達で賑わった釣具屋がある。

地元で古くからルアーフィッシングの黎明期を支え、常に斬新なアイディア商品で僕等の釣りをサポートしてくれた。

僕達はその家族経営でアットホームな雰囲気の店で「釣りを真剣に楽しむ事」を教わった。

最初に通いだしたのは、ちょうどブラックバスのルアー釣りを始めた頃だ。

小遣いを貯めては、自転車漕いでへドンやバグリーのプラグをせっせと買いに出かけた。

キャスティング大会、各魚種別月間ダービー、忠さんで親しまれたスプーン釣りのパイオニア(故)常見 忠さんを招いて講演会など。

まだ子供だった僕らに、何時も夢を与えてくれた。

僕の永遠のテーゼである「自由な釣り」を求める事や良きフィールド、良き魚、良き仲間に出逢えた事への感謝の気持ちは、その頃から釣師の根っこ部分に確りと備わった。


その店は、店主で竿職人の「おいちゃん」と「おばちゃん」の夫婦に、男兄弟の兄「あにさん」弟の「あんちゃん」の家族四人で切り盛りしていた。

おいちゃんは根っからの職人で商売人じゃないから頑固な人だけど、釣りの生字引きで地域の釣りなら何でも知ってる人情の厚い人。

おばちゃんは商人の娘だから愛想も良くて僕等に話をあわせてくれる優しい人。

あにさんはちょっぴり天邪鬼だけどヘラの名人、地合の事はこのあにさんに学んだ。本物の釣師だ。

ルアー担当のあんちゃんは、やりたい釣りを言うと、何時もそれに必要な道具を探してくれた。誰にでも優しくて皆から好かれる人気者だった。

この店のガラスのショウケースには、レッドヘッドの大きなマグナムラパラが置いてあり、ラウリのサインが書いてあった。

歴史のある店だ。

僕は20年以上の常連だったから、本当に幾千もの話が此処にはある。僕の釣り人生の大半は此処にある。

霞ヶ浦を開拓し続けた日々、利根川を歩き続けた日々。
釣れても釣れなくても、僕の帰る場所は、そこだった。

店の奥のテーブルに腰を降ろして、煙草に火を付けると、釣れた事、釣れなかった事、次にやりたい事、昔やってた事を、常連の連中やあんちゃんに話す。そして作戦を毎回考える。

そうやって僕の釣り方は生まれてきた。

お気づきの方はいるかもしれないが、以前のログに出てくるのはこの店のことである。

やがて誰かに何かを伝えたくて

Blog:東洋式疑似餌釣研究所を始めた五年前。


平成20年2月の事。

一番に読んで欲しかった人。


「あんちゃん」は過酷な闘病生活の末に帰らぬ人となった。

釣行記、PCに沢山書き込んだ記事、溜め込んだ記事、全て間に合わなかった。



哀しみに沈んだのか?といえば、沈んだ。


泣いたか?といえば泣いた。


泣けたか?といえば、まだ泣けてない。

その時、僕の心には、突然、マイナス30度の氷河が注ぎ込まれたまま、五年後の今でも、その氷河は溶け出していない。

本当の事を云うと、あの日から亡くなった事が理解出来ずにいる。

それは、受け入れたくない事実だから。

それでも、明日は命日になる。

今夜だけは、理解しようと思う、何れ、受け入れなければ成らない時が来る。氷河を溶かさないと成らない時期が来たんだ。

写真のカーディナル3はあんちゃんの形見、僕は一生使い続けて行くと決めている。バンブーロッドは、あんちゃんの店で知り合った仲間が僕に作ってくれた竿、写真のルアーも全部に思い出が詰まってる。

僕らは、何時か、その深い哀しみを超えなければ成らない。

貴方の死を、正直に受け入れ、飲み込み、噛み砕き、消化して行かねばならない。

でも、全てを忘れる事はできない、忘れる必要も無い。

残された者が出来る事、それを考える日々は続く。

良き仲間に出逢えた事に感謝します。

遥かなる空へ、本当にありがとう。

 

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