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上宮則幸

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夢追五夜 第四夜

第四夜



三日を費やしていまだ絞れないでいる。
下流側にもまだ可能性を感じる。

上流側は毎年魚信を得る一級ポイントながら、この数日カワヌベだけでなく鱸からもコンタクトは全く無し。
左岸側の漁港は二日目の下見での印象は薄いが、ベイトは少なからず居る。



昼、おれのアパート近くにある、嫁と同じ名前が屋号のラーメン屋で昼飯。
テーブルの上に置いてある、刻みニンニクが漬けの『デコー醤油薄口』をすすめる。

ケンさんをここに連れて来た時にこの醤油をスープに溶かして飲んでもらったら「エッジが立つ!」とか言ってましたよ。
でも、別のラーメン屋で辛子高菜をスープに溶かした時も同じ事言ってました。

あ、おれも同じ表現使う(笑)

そうでしたっけ?(笑)



のんびり店を出る。

とにかく、昼間の下見が鍵を握る筈だ。
夜中の実釣で関知できていない事実を見付ける。

先ずは漁港。
相変わらず浚渫作業中のエリアは黒い濁りで生命感ゼロ。
しかし、少し離れた場所は明らかにベイトが増えた。
20cm程のイナが頻繁にライズ。
串良と汐入の水が改善されるならば選択肢に充分なり得る。

次に河口を見に行く。
左岸側から水を見た。
タイミング的には昼間のソコリを迎えた頃。
川の水の色が一番良くわかるタイミングだ。

先ず、河口に最も近い汐入の水。
左岸のテトラに巻き付くように茶色い汐入の水の筋がある。
ダメな水。
ただし汐入の水の筋は細く、串良の水が改善されていれば、左岸も断然可能性がある。
ただし、昨日一緒に仕事した後輩から偶然、串良上流の護岸改修工場の話しを聞いた。
かなり濁りは出ているらしい。
そう言えば、最近串良の水色が少し変だとずっと思っていた。
ただし、それによる影響がいいものなのか悪いものなのか?まだ判然とはしない。
河口から見る限りでは、今日も串良は濁っている。

右岸に目を転じる。
上流側に蠢くおびただしい生命感。
40cm程のボラが時折ライズを見せるが、ライズ以外にも水中にも凄まじい生命感。

対して下流側は微妙にそれが薄い。
前夜までの印象では、ベイトの絶対数は若干上流側が多いものの、下流側は岸際のブレイクに犇めくようにボラが固まっていた。
今も多分そんな状況なんだろう。

明らかに、上流側のポイントは岸際の深みが魚道となる雰囲気で、流れはほとんど受けず淀んでいるが、広い範囲にベイトを多くストックしていて、絞り難い印象。

対して下流側のポイントは地形的な要因から明確に流れが発生しやすく、ベイトも充分でしかもステイするブレイクがはっきり掴めていて、狙いが絞りやすいように感じる。

アングラー側の勝手な印象では、『地形』『流れ』『ベイト』の複合要素が明確で、且つ数日前には外道ではあるがシーバスが連発した下流側が美味しそうに決まっている。

ただし、今回本命としているカワヌベを春に長年追い掛けて来た経験では、地形流れベイトの必要比率が鱸や夏のカワヌベとは異なるのは明らかだと感じている。

ベイトに重きを置こう。




夜中、漁港をちょっと叩いた後で河口右岸へ。
クルマを停めたら、いったん川辺の堤防から耳を澄ます。
やはり上流側が騒がしい。

今夜は迷わず上流側にエントリー。
ただし、未だに下流側も気に掛かる。

浸かってすぐに、鱸が一匹釣れた。

しかし、変な釣りだ。
ガンガン流れる流芯に立ち、全然流れが利かない淀みに投げ込む。
立ち込んでみると流芯にも少なからずボラが居るのがまた決心を鈍らす。

今やってる釣りとは真逆の、淀みに立って流芯に撃ち込む釣りで、正にこのポイントでもう何本もカワヌベを掛けているし、そっちの方がセオリーだと言える。
対して、自分達がやっているのはそのセオリーに反しているんだろう。
しかし悩ましいのは、おれはこのアンチセオリー的釣りでより多くのカワヌベを掛けて来た実績があるからだ。

セオリーとアンチセオリー。
その時々で頭と釣りも切り替えて実績を重ねて来た。
その切り替えの根っこには、PDCAの繰返しがあったからだ。
プランドゥーチェックアクションをひたすら繰返して結果に繋げて来た。


ところが今シーズンは現場に通い込んでの実践が出来ていない。
それが不安要素。
信じるべき何かに霞をかけてしまう。
経験による勘?
それを積めば積む程に、日頃の考察と現場での実践以上のものは無いと確信するようになった。




小波立っていた水面が、にわかに鏡のように静まり返った後、トプントプンと少し波長の長い波が来た。
今に上げが込む。

もちろん実績ある時合は今からもう少し続くが、採るべき策が見出だせない限りは神頼みしか打つ手がない。
釣れさえすれば万々歳だ。
しかし神頼みが最善の策だと、今夜の一時と明日一晩しか時間が無い、わざわざ遠方から来た友人にそう打ち明けられるだろうか?

腹付近まで水位が上がり、ブーツの外からの水圧による締め付けを強く感じ、ボトムに底潮が動いているのがわかっる。
来るんならそろそろ…


ズパァッ!


唐突に炸裂音を聞いた。

ヤツですよ!聞きました?

え?いや、多分キャストと重なって聞こえなかった。
本当に?

明確に聞いたおれには疑うべくもない。
間違いない!カワヌベの補食音!!

不安、疑念、悩み…
ネガティブから一転、強烈なモチベーションに奮い立った。

このままでいい。
策は1つに絞られた。


希望スイッチ起動





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