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上宮則幸

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春の幻 朝焼けより朱く

横で眠る相方とみなもが目を覚まさないように、今鳴り始めたばかりのスマホのアラームを止めたのが午前2時。
布団を抜け出すと足と肩がズンと重いがそれは今夜に限ったことではなく、慢性的な疲労を溜め込んでしまっているから。
行かない理由を探してしまっている自分を感じるいや~な時間。

先日の大鱸捕獲で一応今年の春の釣りの成果を出したつもりでいたのだが…
同じ志布志湾に流れ注ぐ河川でソル友さんの、あの魚の釣果をfimoで見せ付けられてからと言うもの、メラメラとした思いが積もりおれを川に向かわせていた。

その魚の名前は『カワヌベ』。
標準和名『アカメ』。

おれのログの読者ならばご存知であろう、毎年おれの春の釣りは大鱸とカワヌベの為に費やしている。

昨年は年間通して80アップの鱸を100本近くキャッチしている。
90アップが10本ほどか?
その中で唯一の100アップとなる112と言う大鱸はもちろん春に捕った。
カワヌベはと言うと、昨年のキャッチ数は僅かに1本。
全長111、ウエイトは20kg。
モンスターと呼ぶに相応しい魚ではあるが、初夏のもの。
じゃあ何故春のカワヌベに拘るのか?
答えは簡単で、春にヒットするカワヌベがより巨大だからだ。
昨年の3~4月の間にヒットさせたカワヌベは実は4本もいる。
その全てが優に120cmを超えるものだったと確信させるほどのファイトだった。

春カワヌベ、桜赤目…勝手にそう呼んで毎年この時期に血眼で追ってきたんだが…
これまでトータルで9本のカワヌベをキャッチしてはいるが、春カワヌベだけは未だ手にしたことのない幻。

ただ、毎夜の踏査により狙うエリアの地形は詳細に脳内に3D化され、雨毎に繰り返す地形変化ですら、一回の釣行で脳内イメージを補正できるほどになっていた。

それにより導き出したカワヌベが河川に侵入する際の導線。
その経路中にある、カワヌベがステイするであろうピンを6箇所に絞り込み、毎夜ランガンを重ねていた。

捕れれば間違い無く必然。

だが今年の春カワヌベが間違いなく肝属に侵入するなんて保証はある筈がない。
なぜならば、カワヌベのベイトとなるボラやキビレの接岸が極端に少ないから。
夏に産卵すると言われるカワヌベがこの時期に河川に侵入するのは、手っ取り早く食えるボラやキビレを追いかけてやって来ると考えるのが自然だろう。

だがこの時期はもう直ぐ始まる水田の田植え準備による濁りの影響で一時的に川からベイトが抜けてしまう傾向にある。
今年はそれに雨が絡み濁りがひかない。
そういう要因が今年の春の釣りを非常に難しくしていた。

これまでのところ、成果は4月に入ってキャッチした鱸が一本。
3月中はまるまるホゲた。
カワヌベのバイトは皆無。
惨憺たる結果。
普通ならば諦めてしまうほどに何も起こらない状況。

そんな日々に突然舞い込んだ朗報、ソル友さんのカワヌベ捕獲のニュース!
彼のログの冒頭『こつこつ…こつこつ…何年も…何年も…追えば遠ざかり…巡り会えたかと思えば… 』の言葉に感銘を受けた。
おれは知ってるんだ、それがどれだけ労力を要して、どれだけ価値がある事なのかを。

だからおれがやらない訳がない!
出来ない訳がない!

戦略的にも機材的にも出来る限りの準備をしてきた。
居れば食わせられる、食わせれば捕れるという自信はあった。
しかし、カワヌベの回遊の有無だけは運を天に任せるより他はなかった。








明け方までに3ヶ所叩いて、カワヌベはおろか鱸のバイトすら無し。
この時午前5:30。
日曜日の朝でなければそろそろ帰る時間だったのだが、もう少しだけ時間が自由に使える。
最後に向かったのは最河口部のとあるストラクチャー。
そして、そこへは実は下げ止まり前に一度入った場所。

実は先月、パーン!と言うカワヌベ独特の捕食音を聞いている場所でもある。
それが今年唯一のカワヌベの存在を感じさせる手掛かりなのだが、当然その後も重点的に攻めてきたが、何の反応も得られていなかった。
その場所へ、上げの3分ほどのタイミングで入り直した。

最初から同じトレースコースだけをひたすら流す。
コースは一定なのだが、レンジは細かく散らせて反応を見たいのでルアーチェンジを頻繁に繰り返す。
暫く経つと辺りが明るくなりはじめ、薄暮を迎えた。
下げもそうだったが、周囲には全く魚っ気が無い。
ボラのライズすらおこらない。
明るくなるに従い、リールを巻く手が早くなる。
「落ち着け!」と自分にいい聞かせる。
対カワヌベでおれが意識している事の一つなのだが、ルアーをゆっくり見せてやる事が非常に重要と思っている。
レンジがバッチリ合えば比較的早い攻めでも反応を拾えるが、少しのズレで途端にバイトが遠退く。
それを補うためにルアーをゆっくり巻きじっくり見せて気付かせてやると言う意味でスローリトリーブが有効だと思っているわけだ。

まだ少しだけ薄暗さが残る空気の中でルアーをBlooowin!140Sに替えた。
実はこの日この場所でBlooowinはもう何回目かの登板。
ストラクチャーの少し沖側に投げて、込んで来る流れに乗せてゆっくりとただ巻き。
Blooowinを弱々しく流れに翻弄されるイナッコのイメージでストラクチャーに擦り付けるように巻く。

不意に『コココン!』と生命反応をVENDAVALのティップが捉える。
フグのアタックか?と思った刹那、ガッツーン!!と引ったくるような衝撃が手元に伝わる。
無意識に合わせた!
お約束のようなカワヌベ特有の強烈なファストラン開始!

ただこの場所では5mもラインを出されたら勝ち目は無い。
ストラクチャーのフジツボにラピノバX♯3が触れた途端にブレイクするのは目に見えている。
VENDAVALのバットが怖いほどの弧を描く。
おれは思い切りコンク200のスプールを押さえてラインの放出を止める。
すると、水中に突き刺さっていたラピノバがキューンと軋む音を立てつつ急浮上しながらVENDAVALのトップガイドを軸に沖側に向かって流れを切りはじめる。
ドバドバドバー!
と、いきなり水面にカワヌベが全身を曝す!
薄暗さは残るが全てが見える。
更に尾鰭で水面を叩きながらテイルウォーク!
実は明るい時間にカワヌベのファイトを経験するのは人生2度目。
1度目はなんと10数年前、初めてカワヌベをキャッチした時。
そしてその時のカワヌベは124cm25kgで未だ破れぬ自己記録。
しかし、今回のカワヌベは間違いなくそれよりデカい!!

圧巻の魚体が繰り出す驚愕の抵抗を一言で言えば『暴力的』。
驚くおれを更に怖じ気付かせるかのように沖に向かっていたカワヌベが急旋回してなんとこっちに突っ走って来る!
あまりのトリッキーさに対応が遅れてラインのテンションが完全に失われてしまう。
必死でコンクでラインを手繰り、もう一度テンションを掛けて巻き続ける。

カワヌベは何故か完全に無抵抗になりどんどんこちらに向かって来る。
VENDAVALの先付近までアッサリ巻けてしまった。
まだ早いとはわかっていながらも、VENDAVALをタメてリフトを試みる。

すぐ目の前を見た事が無いほどに長く太いカワヌベが水中を滑るように寄ってきた。

水中でカワヌベがとんでもなくデカい口を開けた。
真っ白な口腔が露わになり、その中にスッポリ飲み込まれたBlooowin140Sが見えた。
カワヌベが鰓蓋まで開き水中でとてつもなく激しく鰓洗いをする。
付近の水面が急に波打つ。

おれは呆気に取られて竿を握り締めているだけ。
するとカワヌベが目と鼻の先で水面に躍り出てテイルウォーク!
鰓洗い!
飛び散る水飛沫!
転じて底まで潜り凄まじい地力で強烈な底走りを始めた。
ファストランをしのぐスピードでコンクのスプールが逆転する。
スプールからビチビチとラインが食い込む音!

このままではスプールからラインが引きちぎられるし、ルアーは完全に口腔の中だからリーダーが
保たないと判断してドラグを弱めた。

ギュンギュンとラインを引き出しながらカワヌベが沖に突っ走る。
凄まじいトルクとスピードだが、既に目前で恐ろしいまでの鰓洗いを見せられているので、おれもセカンドランの最中に徐々に冷静さを取り戻してきた。

沖に走られるならば大丈夫なんだ。
フックの掛かりはバッチリだから外れる心配は無い。
ただ、リーダーがいつまで保つかが判断出来ない。
時間を掛けるのが得策か?
一気にケリをつけるのが賢明か?
おれは前者を選択した。

と言ってもそれから10分も時間を要したわけでも無い。
冷静さを取り戻し、明るい時間でヒットさせたアドバンテージを生かしたファイト。
走ればラインを送り出し、隙を見て手繰り、危険地帯から少しずつ遠ざけて体力を削っていった。

このファイト中にカワヌベが水面に躍り出た回数は5回ほどか?
空中でのヘッドシェイクは驚くほどに早く、圧倒的にパワフルなんだが、VENDAVALの曲がるブランクスがその衝撃を見事に吸収して、強靭なバットはカワヌベの暴走をねじ伏せてしまった。

やがてカワヌベが自らの巨体を持て余し始め、走りが緩慢になった。
おれはグリップエンドを腹に押し当ててバットを効かせてリフト。

尾鰭を下にして開いた口を水面に浮かべたカワヌベが足元に。

リーダーを持ちボガ撃ちの態勢に入った時に致命的に傷付いた8号フロロリーダーが目に入るが、カワヌベの下顎がまるで吸い込まれるようにボガのジョーの間に収まった。
トリガーを放してジョーが閉じた。

捕った!

そう思った刹那、カワヌベの強烈なヘッドシェイクでリーダーが力尽きたように簡単に切れた…

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春カワヌベ


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もう幻なんかじゃない
朝焼けを浴びて、より朱い瞳

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あまりの巨体に陸揚げを断念。
頭から尾鰭まででリーダーをカットして後でその長さを計った。

全長128cm
重量は計測出来なかったが、25kg~30kgてとこか?

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ヒットルアーのフックは全て折れたり曲がったり、リップすら折れてしまった。
ファイトの凄まじさを物語る。

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10数年振りに塗り替えた自己記録。

奇しくも昨夜のログでおれは言った「釣り方は教えないが、喜びを伝えたい」なんて。
釣り方は簡単だ。
投げてゆっくりゆっくり巻いただけだ。
誰でも真似できるが、いつでもそうやってヒットする筈がない。
喜び…
伝え切れないよ。

だから、体感してほしいんだ。





この川はおれの知る年月の間にも非常にプアになってしまった。
キビレ一匹でもシーズンと言えども狙って釣るのが困難な年もある。

そんな状況だからこそ狙っていかなきゃこんな出逢いは絶対生まれる筈がない。
通って通って、些細な自然の変化に心動かして、何だっていいからアイデアを考えて試して…

こんなに熱い体験をしながらおれは少しばかり寂しさを感じた。
この時期、このフィールドが無人なのは何故だ?

ここは夢だらけなんだよ!

この魚に憧れる人は、明日はビール飲むのを我慢してみませんか?
DVD一本観る時間だけ開けてみませんか?
そして川原に立ってみてはどうでしょう?

有り得ないようなドラマが待っている夜もきっとやってくるはず…





















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