理論派アングラーの教科書 その1

この記事はFimo記事の中でも理論を愛するそんな変態アングラーたちに読んでもらいたい。
ほとんどが自分の妄想の域なのであくまで引き出しの1つとして提供する。


 
まず初めに質問
釣り場について
何を根拠にルアー選択をするのか。
ベイト?レンジ?流速?経験?
 


 個人的にはルアー選択においてベイトは非常に重要な要素と成り得ると考えている。

 例えば, コノシロパターンだったら, 大きいブリブリ系ルアーやデカトップ選んどけ!!!そんな感じだと思う。

ベイトを基軸に, 大きさ, 波動, レンジを操り魚にアプローチする。
私はこの考えの1つとして魚の

・「突進速度」
・「巡航速度」
・「魚の体型」
  
に注目した。

まずは魚の突進速度が何であるかについて説明をする。

突進速度
国土交通省によると突進速度とは「魚の遊泳速度の一種であり、瞬間的にだけ出すことのできる最大の速度を突進速度 と呼ぶ。体長の10倍/秒程度とされている。」ということである。


出典:国土交通省HP, 用語解説(五十音順)(2003), https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kankyo/kankyou/sakana_tebiki/pdf/yougo.pdf (最終確認:2025年2月3日)

ただし, 種によっては体長の10倍ということは当てはまらない。
その根拠として下の研究を参考文献としておくので, 時間がある際には是非閲覧して頂きたい。


鬼束ら(2009). 河川に生息する数魚種の突進速度に関する研究∼アユ,オイカワ,カワムツ,ギンブナを対象∼ 土木学会論文集, 第65巻, 4号, pp.296-307.


突進速度が発揮される場面は, ベイトを捉えるとき, 捕食者から逃れるとき, 瞬間的に生じた流れに耐えるときなどである。

魚には一定速度で泳ぎ続ける力巡行速度」と瞬間的に泳ぐ力「突進速度」の2種類が存在しているというわけである。さらに言えば, この2つに関して, 必ずしも正の相関関係があるとは限らない。
さらに突進速度に影響する筋肉は瞬間的な使用にのみ適している。マリオカートの「キノコ」のようなイメージである。

さらに抑えておきたいことは, 魚の泳ぎ方は体型によって大きくは, 5つに分類されるということである。

その5つとは「紡錘型(ぼうすい)」「側扁型(そくへん)」「縦扁型(じゅうへん)」「うなぎ型」「ふぐ型」である。

紡錘型
紡錘型の魚は正面から見たときには, 楕円形をしており, 速い魚は基本的にこれにあたる。ベイトフィッシュで例えるなら, イワシや稚鮎, イナッコなどである。この手の魚は体よりも尾びれだけを使いながら泳ぐ傾向がある。巡航速度には優れているものが多い

側扁型
側扁型は左右から押されたような形をしており, 紡錘型よりも永続的に泳ぐ力は劣っているが, 突進速度に関しては巡航速度に比例していないことも多い。ベイトフィッシュとしては, アジ, ヒイラギ, フナなどである。この手の魚はヒレだけでなく, 体の一部や尾びれ以外のヒレを使うことで, 瞬間的な方向転換や突進速度に定評がある。

〇縦扁型
縦扁型は, 上下から押されたような形をしており, 体型の都合上, 底物に多い。ベイトでいえば, ハゼ, キス類にあたるだろう。この手の魚の浮力は中性ではなく, 底に定位しやすいように, やや小さくなっている構造が多い。ルアーに例えるなら, サスペンドではなく, シンキングといったところだろうか。

〇うなぎ型
簡単に想像つくので省略する。ただ1点だけ。この種の魚は他の魚と異なり, 泳ぐ際にはヒレだけでなく, 体全体を使うことについて言及しておく


 これらを前提としてルアー選択, 操作の方法などを組み立てた場合, どのような釣りが展開されるのだろうか。

 例えば, この厳寒期における代表ベイトとしてハゼがあげられる。ハゼパターンのセオリーは底をバイブレーションただ巻きである。他にバイブレーションを用いる状況としては, 
イワシベイトの表層ただ巻き」や, 「ヒイラギパターンにおける底のリフトフォール」などだろうか。

 ただし, リアクション的な使い方においてのバイブレーションゲームはこの記事の対象外とさせてもらう。

 このような同じバイブレーションゲームでの操作の違いは, ベイトの体型と突進速度と巡航速度から説明がつく

 イワシであれば, 紡錘型であり, 永続的な遊泳力がある。基本的には, 表層を素早く泳ぎ続けることでフィッシュイーターから逃れる。巡航速度に優れた体型であるため, 基本的にはただ巻きがベストである。だからこそ, その中でたまにジャークなどを入れることでそれが破綻した=チャンスだと錯覚しバイトに至ると考える。つまり, この場合はジャークがミソなのではなく, それまでのタダ巻きがミソなのである。小沼氏がある動画で, バイブレーションゲームが上手な人は, 一定速度で巻くことが上手いと言っていたが, それらと通ずる側面があるかもしれない。

 では, ヒイラギパターンにおけるバイブレーションゲームではどうだろうか。ヒイラギは, その体型から永続的な遊泳よりも, 瞬間的な泳ぎに優れる。

その前に下の動画を見て欲しい。

ヒイラギが捕食されるシーンが残っている。動画を見るにやはりベイトとなるヒイラギは瞬間的に捕食者から逃れている。ただ先述しているように, 突進速度に関わる筋肉は瞬間的な使用しかできず, 使用後の停止時間中に動画内では捕食が繰り返されている。
バイブレーションにおける, ボトム付近でのフォール時間はおそらく, この筋肉使用後のクールタイムに相当するのではないだろうか。

ハゼにおいては, 底からなるべく離さず, 波動弱めのボトムドリフトやスローのタダ巻きが有効であるが, これも泳ぎ方や特性上の浮力に起因すると考えられる。


このように考えると, なぜバチやサヨリパターンにおいて, シンペンが強いかや, イナッコパターンでタダ巻き後の浮上アクションにバイトが集中するかにも合点がいく。

バチであれば, うなぎ型であり, おそらくヒレだけでなく体全体を動かすことから, ロングシンペンのような頭やルアー中央を支点としたスイングアクションが有効になる。
(と予想している(笑))


このようにこれらが全てに当てはまるわけではないが, 釣り場で困った際の一手として引き出しにしまっておくといつか役立つ日が来るかもしれない。

ここまで長々と呼んでくださった, 熱心なアングラーに感謝申し上げます。


 

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