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上宮則幸

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You may dream 不安の後の信頼

佇まいはまさにウイークリーマンションといったその宿の部屋に入ってすぐに佐藤君が「あれっ?」。
あれっ?あれっ?を連呼しながら部屋を見渡す。
部屋内のただひとつのドアを開けて溜め息をつく。
もちろんそのドアはバストイレのドアだが、彼が憤った声を発した。
「あの親父やっぱりやらかしてる!」

あれっ?とおれも思った。
この部屋1Kじゃん!
広々とはしているがキッチン意外に部屋はひとつっきり。
ちゃんとしたベッドがひとつ、架設の折り畳みベッドがひとつ、3人がけのソファーが一脚に小さなテーブルがひとつ…
佐藤君から事前に説明を受けていた2LDKでは絶対ない。

とりあえず荷物を床に起き、おれはベッド、佐藤君はソファーに座り込む。
「ちょっとこれは不味いですよ!やっぱりあの親父しくじりやがった!」
佐藤君の不安が的中してしまった。
なんとなくさっきの宿の親父の対応をおれも回想して、佐藤君の不安の意味もこの結果を見て理解した。

「どうします?とりあえ部屋を変える交渉を今からしてみますが、もし万が一2LDKタイプに空きがなかった場合は?」
瞬時におれは言葉が出ない。
まぁ、このままでもいいような気もするが、支払った料金は広い部屋の料金の筈だからそれじゃあ難だ。
しかしながら、おれ自身は部屋自体は我慢できる程度の広さではあるし、このままでも差し支え無いと言えば言えるが、それでも予約内容との食い違いを管理者に知らせない訳にもいかないだろう。
佐藤君にとりあえずさっきの親父に電話をしてもらう。

冷静に端的に事実を伝える佐藤君。
しかし、なんだか要領を得ない様子だ。
一端切った。
「向こうの間違いは認めてくれたんですが、やっぱり2LDKタイプには空きが無いらしいですわ…彼の判断では収拾が着かないみたいなんで、一端上司に相談して折り返すそうです。」
う~ん…

折り返しの電話を待つ間に部屋の中を見る。
格安な宿泊料金ながら部屋は綺麗で電子レンジ、炊飯器、洗濯機はもちろんだが、包丁茶碗皿等の調理用具、洗濯洗剤、石鹸シャンプー歯ブラシ剃刀、おまけにアイロンとか(笑)、ベランダには物干しもちゃんとあり、食材だけ自分で調達出来れば長期滞在も快適そうな部屋だ。
2LDKに空きがあればなぁ…


「やっぱりダメでした、空きがありません。」
少し後にかかって来た電話の後佐藤君が言った。
「今から向こうの責任者が来るから話し合いになります。」


最悪な場合、この部屋のままかぁ…
しかし、良く考えてるとおれが我慢出来たにしても、撮影した動画を仮編集してFishmanオフィスに録ったその日のうちに送信したい佐藤君には大いにストレスになるのは明白だ。
今回は発売前のルアー、『パンプキン』のPVの任務があり、しかもその発売までの期間は短く、宿での作業も重要性は非常に大きい。

責任者が来た。
直談判が始まった。
やって来たのはTシャツに短パンの島らしい服装の男性だが、どう見ても日本人ではない。
大変な男前で、長身に浅黒い肌、濃い顔立ちのニグロ系、おまけに長髪髭面顔面ピアスがビシバシ(笑)

見た目の過激さとは裏腹に、まず向こうが明白なミスを真摯に認めてくれたのはひと安心。
大変丁寧にミスの原因を説明してくれて、現在の向こうの部屋の空き情報を隠さず教えてくれた。
広い部屋には空きが無いと言う。
それでも、何としてでもフォローをするから、おれ達の希望を言ってくれと、誠意が充分伝わる言葉が彼から聞けた。

どうやら彼は誠実な男で充分に信頼に値するようだ。
話し合ううちにおれも佐藤君も彼に親しみを感じるようになり、終いには彼を『サチくん』と気軽に呼ぶようになった。
一先ず今日は、もう一部屋同じ1Kの部屋を準備してくれたが、それはおれ達には満足な提案だった。

それぞれの部屋に戻り、支度を整える。

さて、こうして漸く早速宮古島での活動が始まった。

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