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関根崇暁

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BlueBlue.jpg 「背中に背負う蒼色は鳥から見た海の色」 「お腹に抱く蒼色は魚から見た空の色」 「BlueBlue 海を愛する人へ―」 「Where's your Blue?」 ima_banner.gif 株式会社アムズデザイン運営のima公式web site。シーバスルアーkomomo,sasuke等の紹介。ルアーテスターの釣行記、コラム等も掲載。

釣具屋の未来 

今回は釣行記ではありません、読み物として読んでください(笑)
少しメッセージが含まれます。
僕らがこれから出来る事を伝えたいと思います。




前回の小物釣の翌日の事である。

外出の張り紙がしてあった近所の釣具屋が気になり、出かけてみた。

昭和の雰囲気を残した、昔の商店街にその釣具屋はひっそりと店を構えている。派手な看板は無く、○○釣具 と書かれたシンプルな看板。
良く見なければそこが釣具屋であることを見逃して通り過ぎてしまいそうな佇まいだった。

僕が子供の頃、そう昭和の時代、街の釣具屋と言えば、店内に魚拓が貼られ、店先には玉網や四手網、魚篭に、一本モノの竹竿がずらりと並び、場所によっては料亭にあるような水槽を店先に設備して、その地域で釣れる魚を展示してあったりするものだった。

釣具屋の店の奥には小さなテーブルとガラスの大きな灰皿が置いてあって。
ベテランのオジサン達が釣り談義に花を咲かせる。

釣具屋は、ただの釣り具を売る店ではなくて、昼下がりの営業マンが油を売ってたり、雨の日の大工さんがいたり、外交帰りの社長さんが来たりと、大人の隠れ家的な場所でもあった。

少年時代、僕は、遠巻きにそんな大人の姿を見ていた。
秘密の情報。小声でヒソヒソと話、時折、笑い声が噴出す。
どんな凄い話なんだろう?と思いはしたが、恐れ多くて大人の輪には入れなかった。。

話は現在に戻り、先ほどの釣具屋の前で僕は様子を窺っている。
店内の電気は消えているが、入り口の鍵は掛かっておらず、カラカラと
音を立てて引き戸を開けた。

「はい。いらっしゃい~」の声を期待するが何も聞こえない。
人の気配が無い、3年位前に来たときから品揃えも変わっていない。
薄暗く、埃っぽい店内に冬のひんやりとした空気だけが何年もそそまま漂っているかの様だった。

ここは釣具屋なのに、少しハセガワの軍艦や戦闘機の模型が置いてある。まだ日本製であろう、古いトミカのミニカーもそのまま。

釣り具のコーナーには宇崎日新の釣竿、オリムピックの投げ竿、吊り下げられた、缶魚篭、フラシ。
懐かしいものばかりである、僕は物を買いにきたのではないのだけど、見ていると懐かしさのあまりどれも欲しくなる。

あ。またか・・・

もう数分は過ぎようとしているのに誰も出てこない。

ふと店の奥に見慣れない物を見つけた。

車椅子だ。

ひんやりとした薄暗い店内に、まだ新しい車椅子が折りたたまれてそこにあった。

しばらくして、店主のご老輩は現れた。
壁伝いに手を添えながら、足を引きずり、かぼそい声で。

「はい・・・いらっしゃい・・」

と 微かに聞こえた。

嫌な予感は当たってしまった。

70代の店主は、僕が8年くらい前にそう感じただけで、目の前には80代の白髪の少し弱ったご老輩の姿があった。

どういう訳か、この場から早く離れたかった。

渓流の解禁日を教えて下さいと関係ない話をして。

他愛もない言葉を交わし。

「また、春に来ますね!」

と、元気に挨拶をして店を後にした。

ご老輩には悪いが、近い将来、いや春には、この店は無いかもしれない。正直に言うとそういう危機感を感じた。

そそくさと店を後にしてしまった事へ少し後悔があるのだけど。
寂しい店で年老いて、終わり行く人生を見るのは辛い。

「また、春に来ますね!」

此れは僕の遠い約束。

筑後川の事を教えてくれたご老輩に、元気に長生きして欲しいという願いである。

釣具屋に行くのに気が重くなってしまった。

今、商店街の釣具屋、その存続が危ない。

これを読んで気になった方、餌でも針でも何でもいいから近所の釣具屋で買ってやってください、お客が来るうちは!って頑張る人もいると思います。

この続きには春にでも。
 

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