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村岡昌憲
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▼ 6月 1日 海の幸界のワントップ その2
- ジャンル:釣行記
- (life-遊び-)
海の幸界のワントップ その2
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もちろん全員の分は買ってある。
しかし、いつも言うように美味いか不味いかは舌が決めることではない。
脳が感じるかどうかなのだ。
その為に勝者と敗者を決定づける。
そして勝者のみが知り得る味こそが美味しいのだ。
それこそが
鉄網、独り占め
敗者はただ眺めるばかり。
勝った順番に海老を選び、捌き、焼いていく。
すでにこの時点でマリーナの利用者のギャラリーができるほど注目の的。
何とか一口あやかれないかと、輪の中に入ってくるロレックスなオヤジが巨大な伊勢エビを見て、思わず後ずさりし、マグロの大トロブロックを見て逃げ出していく。
それだけの破壊力と決定力が今日の食材にはあった。
そしてようやっと10番目ぐらいの人がMy伊勢エビを愛おしそうに焼き始める時。
すでに平らげて昼寝をする勝者!
そして未だ順番が来ないのでふて寝する敗者
普通の日本人なら刺身で食えるほどの海老を焼いて食うことはしない。
しかし、今回のソースを担当した月島サエラのコウ吉さんは縦に割って焼いて食べろと言った。
片方は身から、もう片方は殻側から焼けば蒸し焼きと直火焼きの両方の味が楽しめる、と。
今回用意してもらった2つのソースを塗りながら僕らはエビにむさぼりついたのだった。
やがて出番が回ってきたホタテやアユ、シロイカ、タコなどを焼きながら僕らはまったりと初夏の陽気を楽しんだのだった。
しかし、今回は何かが物足りなかった。
それが何かは解ってる。
飲み食いに情熱のない人間は、玉の盃底なきがごとし。
死ぬ時に本当に走馬燈があるのならば。
願わくばそのコマのほとんどを幸せな絵にしたい。
そして、そのうちの何コマかはとてつもなく旨いと思ったものであって欲しいと思ってる。
百回旨いものを食べるより、千回に一回でいいからとてつもなく旨いものを食べたい。
その為に必要なのは食べる前に何をしたかということであろう。
冬の旧江戸川でウェーディング中に流されて死にそうになったことがある。
死に神の気配を感じながらも、最後まであきらめずに流れに耐え、3時間かけてようやっと岸にたどり着き、
がたがた震える体をカーエアコンで必死に暖めて
そして暖かい物を食べようと飛び込んだ吉野家。
そこに出てきたあの熱いお茶。
そこには感動があった。
とてつもなく旨いものだったのだ。
苦労を惜しんではならない。
今回の料理は世界最大の魚市場の前に住む僕らだからこそ、金で解決できる食べ方なのだ。
伊勢エビにむさぼりついている最中、長崎の五島列島で伊勢エビを獲ってる漁師さんたちの姿が頭に浮かんだ。
僕たちはあなた達の努力に恥ずかしくない食べ方ができただろうか。
そんなことを考えた。
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- 2002年6月1日
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