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関根崇暁

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BlueBlue.jpg 「背中に背負う蒼色は鳥から見た海の色」 「お腹に抱く蒼色は魚から見た空の色」 「BlueBlue 海を愛する人へ―」 「Where's your Blue?」 ima_banner.gif 株式会社アムズデザイン運営のima公式web site。シーバスルアーkomomo,sasuke等の紹介。ルアーテスターの釣行記、コラム等も掲載。

九州トラウトドリーム 荒瀬を狙う

雨続きの天気が続く7月、夏の空にはまだ遠く。天気図を見ると日本の南、海上には三つの台風が並んで梅雨前線が九州北部にかかっている。

毎年の事だが梅雨明け間際になると大雨になる事が多い。今年も雨量が気になり気が抜けない。
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平野部で降っていなくても山間部に大雨がくれば川は一気に増水する、釣行時は十分に注意をするべきである。


20年前、僕はこの時期の大雨に遡上するカラフトマスやアメマスを求めて、青森県下北半島まで遠征を繰り返していた。

時には昔の記憶を辿りながら、当時のタックルを引っ張り出すと。
無性に懐かしさと今でも忘れない新鮮な気持ちが湧き上がってくる。

あの頃は良い時代だった、けれど、今も悪く無い。

九州に来たばかりの時、僕は関東と九州、そのフィールドの違いに愕然とした。

この筑後平野は関東に比べれば明らかに自然は豊かでその生き物や魚種は実に多彩であるが、ことトラウトに関して言えばけして恵まれたフィールドとは言えない、僕が好んでいた本流でのサクラマスや大ヤマメ釣りは、ほぼ出来ない環境である。正確にいえば出来ない事は無いが結果に辿り付く事は極めて困難であるということ。

当たり前だけれど、九州のトラウトフィールドは九州のフィールドである。

あれこれ釣りを考えても調べても、フィールドの状況はそう簡単には変わらない。

もしも、その中で楽しみたいのならば、やはり自分が変わるしか無い。

良き時代、嘗ての栄光という名の積み上げて来たものが有るとしても、それにしがみ付いていても何も変わらないという事。

そうして10年前、僕は全ての釣りを再始動する事にした。

自分かしてきた渓流のルアーを一からやり直しすること。

幸いにも沢山釣りたいとか、大物を釣りたいとかそういう時期は過ぎているから、目的は唯ひとつ。

「自由に釣れるようになりたい」という部分だけだった。

「ヤマメの居る場所がわからない」

これは僕にとって大きな不自由だったからだ。

それでも徐々に九州ヤマメという、未知の存在に近づく事が出来る様になったとき、子供が生まれ、自分の一番大切なもの、つまりは優先順位の第一位が釣りではなくなり、仕事と子育てとで日中や早朝に釣りに行く事が出来なくなり、渓流のルアー釣りも休止状態の日々が続いた。

今年は何時もの年以上に渓流へ足を向けている。


それにも理由がある。

僕がヤマメに関心を持った18歳のころから数えれば、実に四半世紀の歳月が流れた。

それは僕の釣り人生がもう折り返し地点に来ている事を意味する。

あと四半世紀、25年経つと僕は68歳だ。

仕事は定年していて時間はあると思うが、今のように体力があるかはわからない。

病に倒れている可能性だってあるだろうし、本当に生きているかもわからない。

残された時間はそんなに長くない、その中で自分の釣りがなんだったのか?その答えを知りたい。

50年釣りをすると自それがわかるようになると聞いた事がある。

釣りのセンスやテクニックを磨くことはとても大切だとは思うが、自分が何をしたいのか?わからなくなった時は気持ちのままに釣りに向かうといい。

僕はそう考えている、いや、そうだと信じている。








朝まで降っていた雨が止み、少しだけ青空が帰ってきた。

僕は車のハンドルを握り、何時ものワインディングを駆け上がる。

そして僕を待っていたのは夏のフィールドだった。
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この時期のヤマメを狙うなら瀬。

流れは太ければ太いほど、速ければ早いほど良い、ガンガンの瀬の中に点在するフラットな水面を狙う。梅雨の増水で大渕や深場から大型のヤマメは移動を繰り返し瀬の中で活発にルアーを追うようになる。

それが関東で覚えた本流ヤマメのセオリー。

九州にその釣りは当てはまらない。

それでも、そんな釣りがしたい時もある。

渓流魚の魚影は決して多いとは云えない流れ。

それでも良い。

釣れないとわかりながら、それでも僅かな期待に賭けてみるのもまた僕の釣り。
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道具は使い慣れたロッドにリール、スプーン達とスピナーとミノーを少し。万が一の大物に備えてラインは太めの4ポンドフロロ。

九州の渓流ではオーバータックルになることはわかっているけれど。
果てし無い夢を見ている時はそれくらいで丁度良い。
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荒瀬、白泡の際に少しだけ生まれる還流帯、梅雨時期にワンチャンスがあるとすれば、そのゾーンと考えて丁寧に釣りあがる。
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まずはfimoで知り合う事が出来た仲間が作ったスピナーでカワムツに遊んでもらう。体長の半分以上の長さがあるのにも関わらず果敢にアタックしてくるカワムツに驚く。
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魚種が何であれ釣れる事は嬉しい。
カワムツとヤマメは明確に棲み分けしているから、カワムツが良い場所にポジショニングしているとしたらそのポイントにはヤマメが居ない可能性が高い。

早春にはこの流れにヤマメを確認できたのだが・・・その後鳥にやられたのかそれとも人が持ち去った後なのかゴールデンウィークを境にすっかり魚の気配は減った。
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これもこのフィールドの現実である。

それでも稀に釣れてくるカワムツをキャッチ&リリースして行くと。
目の前には理想的な流れが現れてきた。

僕はそれまでのスピナーの釣りから、点で狙えるシンキングミノーの釣りへ変えるべくルアーワレットを開いた。

45mmのシンキングミノーをセットすると開けた場所ではロングキャストでトレースコースの釣り。

ピンポイントではショートキャスト、ショートステイで所謂、点の釣りと。
その昔、自分の得意だった釣りを展開する。

釣れても釣れなくても懐かしさと新鮮な感覚と、蝉の声とせせらぎの中にいる時間が、今の僕には心地よかった。

そして。

本当に驚く事に、何時ものようにドラマは用意されていた。
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今までは苦労の末に釣るというか滅多に出会うこの出来なかった九州の尺ヤマメ。
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顔の大きさ、ピンと張った胸鰭、やはり平均サイズのヤマメとは違い、独特の風格がある。
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やや銀化し始めている本流ヤマメに近い魚だった。

誰もが見捨てるような流れにそんな魚が居る事。
渓流の本場である宮崎や熊本などの遠くの流れではく。

筑後地方にある筑後川水系の流れにも。

大きな可能性が見えてくる。

フィールドと魚と仲間と。

そして小さな幸運に恵まれた事を嬉しく思う。

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