実釣インプレッション(悪魔編)


かのゴーダマ・シッダールタは言った。

「迷った時は中道を行きなさい」と。


ファーストインプレッションで書いた「売りが無い」。

要は際立った特徴が無い。

が、それがラインセレクトにこれだけの幅を持たせる事になるとは思わなかった。

メーカーが謳い・開発した所謂ラインの「特徴」が、如何にデメリットに繋がるか。

前回が準備段階までの話だったので、今回は実際にフィールドに出てからの話を具体的に書いていこうと思う。

その前に先に断っておきますが、私の釣りは所謂「ストラクチャーの釣り」のみ。

目に見える物は勿論、水中のストラクチャー周りに居着く魚しか狙いません(バチの時は除く)。

なので、そういう釣りをする人以外には全く参考になりませんので、悪しからず。

因みに、これから挙げていくラインの名前は、しっかりと使用感が自分の記憶の中にある物だけです。

また、あくまで感覚だけでやってますので、実際の数字とは異なる事もあります。

その辺りを考慮して頂いた上で読んで頂ければ幸いです。


特徴:細さ

PEを使用するメリットのツートップの一角として、(他のラインより)「同じ強度で細くなる」というのがある。

もう一つの「感度」については後述するとして、ラインを細くする事による飛距離アップを狙わないなら、PEにする必要が無い。

何故なら、PEの方が高いしトラブるし面倒だし。あ、寿命が長いってのはあるか。

となると、各メーカーは凌ぎを削って「如何に同じ強度で細くするか」を焦点に開発すると思う。

で、消費者としては、その太さを「号数」で見る。

PEの場合、「断面が真円」というのは構造上ほぼ不可能なので、ナイロンやフロロと違い結構な誤差が出る。

その為、どこで測るかというメーカーの 良心 判断によっては、「なんじゃこれ」となる。

消費者にとって同じ号数でより細い方が「得した気分」になれるが、メーカーとしては同じ太さならなるべく細い号数で売りたくなるだろう。

そんな中で、「ヨツアミ」というメーカーがある。

ここの「WX」シリーズは、表示号数で比較すると明らかに他社よりも細い。他社製品1号と1.2号が同じ位。

このメーカーの良心的なトコは、同じ号数だと他社より若干強度を弱く表示している事。

その姿勢は認めるが、一番の問題は「擦れ耐性」。

消費者としては、例えば「1号」という太さ表記の扱いをする訳で、その意識で取り扱うとあっさりと切れる。

一番酷かったのは、WX8の1.2号を使い始めて3日目。

ネットランディングした魚を床に置き、フィッシュグリップで持ち上げた瞬間、リーダーから30cm位の所で何の抵抗もなく切れた。

ラインを追うと、タモ枠と床の間に挟まった部分から切れてる。要は、床に少し擦れただけで切れたという事。

ウェーディングやサーフの様に「擦れる」物が無い釣りには良ラインかも知れないが、私の様にテラス釣り専門の人間には怖くて使えない。

当然号数を大きくすれば良いのだが、それでは先に書いたPEのメリットが無くなる。

また切れた場所を良く見ると、コーティングは完全に剥げて(毛羽立ちではなく)ザラついていた。

確かに一番負荷の掛かる部分(丁度キャストの瞬間にトップガイドを通る場所)なので、毎回組み直せば防げたのかも知れない。

が、これまで「1.2号」というラインならば傷さえ無ければ全く問題無かった訳で。やはり「太さ=安心感」という事になる。

という事で「細過ぎるラインは快適な釣りに不向き」という結果になった。

「スーパーXワイヤー」というラインもこれに該当するが、これは違う項目で後述。


特徴:太さ

先程とは真逆で、表記よりも太いライン。具体的には「キャスタウェイPE」「パワープロ」等。

これはメーカーの売り戦略を優先した結果であり、リールに巻いた瞬間に裏切られる代物(笑)

ええ、1号150mきっちり巻けるよう下巻きを調整したにも関わらず、120~130m位しか巻けないからw

その場合、残った20~30m、どうしたらいいのよ?と。

今となってはアシストフック用として使えない事も無いが、んなもん使い古しのラインで充分。

かといってそんな長さで使えるのは、鯊釣り位なモン。となると、残りはゴミ箱行きとなる。

元から(その当時は)安いラインではあるが、約20%を捨てなきゃならんという事は、実際は2割増しの金額を払ったのと一緒。

それだけの価値があるかと聞かれたら、太さによる安心感はあれど

・太いので飛ばない。
・8本撚りのくせして表面は4本撚り並にザラザラ
・コーティングは速攻剥げて、直ぐに毛羽立つ

接近戦のみならばメリットを享受出来るが、私の場合は15~18gルアーで60m程度の飛距離を必要とするのでデメリットのみw

これならばナイロンの方が余程いいやとなる。


特徴:硬さ

硬さというのは、3種類あると思う。

・編み込み
・低伸縮
・コーティング

PE原糸がほぼ2種類しかなく、基本同じ原料という事を考えると、編み込みでしか本来の硬さは出せない。

その編み込み方法で各メーカーはラインの特徴を出している訳だが、大概は「コーティングが剥げるとヘナヘナ」な編み込みが甘いライン。

コーティングについては別枠を設けた方が良いので、そこで後述します。

で、「ノンコートだけど芯がある」感じのラインは編み込みが密であり、その硬さがほぼ不変なので交換するまで使用感が変わらない。

「シーバスPEパワーゲーム」の素晴らしさはこれで、毛羽立ちによる飛距離ダウンはあっても使用感が最後まで変わらない。

伸縮については、元々「伸びないから感度が良い」のが謳い文句のPEライン。

が、PEも多かれ少なかれ伸縮する。そしてその伸びが少ないのが違う意味で硬いラインとなる。

低伸縮を謳っているラインと言えば、「スーパーXワイヤー」。

ええ、ブログモニター当選して「二度と使わねぇ」と断言したラインw

これの低伸縮の部分のみ書いていくと、感度は良いし確かにフッキングは決まる。
(まあ、感度は誤差レベルだけどw)

そりゃそうだ。全く伸びなければ10の力でフッキングしたら10の力で針に掛かる(テコの原理が~とかいうのはこの際無しで)。

ラインが伸びれば、そこに力が取られる為、針に掛かる力は落ちる=フッキングが甘くなる。

となればメリットだけじゃんと思うが、伸びないという事は、それと同じ力がラインにも掛かってる訳で。

少しでも弱ってる部分があると、そこからいとも簡単に(糸だけにw)あっさりと切れる。

原因としては傷なのだろうが、先数mならばチェック可能だがリールに巻かれた状態で20m部分の傷なんて見るのは不可能。

毎回リーリングしている中でラインを全て見てチェックするなんてのも、当然不可能。

つまり、「いつ切れるか判らない」状態で釣りをしなければならず、となると予防方法としてドラグを緩めるしかない。

とすると、フッキングの際の力はドラグに持っていかれる為、低伸縮の意味は全く無くなる。

またもう1つの問題も起こりやすい。

それは高切れ。

キャストというのは、竿の遠心力を使ってルアーを飛ばし、ラインはルアーに引っ張られていく。

その際、ラインの放出速度よりルアーの移動速度が速くなると失速するか高切れを起こす。

ほんの僅かな差ではあるが、ラインが伸びれば一瞬の差は許容される。

高切れが起こるのはキャストしてリリースした瞬間が殆ど。

その一瞬を耐えれば、その後切れる事は(ほぼ)無い(はず)。

硬いラインは、それが無い為、一度劣化が始まると頻発するようになる。

余談ではあるが、昔(今もあるのか?)PEPETという格安ラインがあった。

これも結構な硬さがあったが、材質の違う糸を編み込んでいた為、耐久性・伸縮性の違いからあっという間に劣化しプツプツ切れた。


特徴:柔らかさ

先程からの続きになるが、編み込みが粗いライン(要は柔らかいだけのライン)でも使用感については同じ事が言える。

製品名を忘れてしまったが、ただ柔らかいだけのラインは風の影響が大きく出過ぎてしまい、キャストコースに難が出てしまう。

また、編み込みが粗い=表面がザラつく(というかボコつく?)のでキャストで指痛くなるし飛距離も落ちる気がする。

キャストスピードを遅くするとガイドやロッドを叩く事が多く、ガイド絡みが起こったりする。

真異の程は不明だが、昔「剛戦X」というラインがあった。

他のラインでは全く起こらないのに、このラインだけガイド絡みが頻発した。

頻発なんてモンじゃなく、3回に1回位。

当時は「シーバスPE」というラインを軸に使っていたのだが、それでガイドに絡むのは数百回に1回位。それも変な投げ方した時だけ。

同じ様なノンコートラインなのに…と何の知識も無かった自分は相性で済ませていたが、今となってはこれが原因だったのではと思ってる。


特徴:コーティング

PEラインの主軸と言えば、こちらになるだろう。

厳密に言えば全てのPEラインがコーティングラインとなるが、ここでは「硬度に影響する」コーティングがされている物を指す事にする。

私も使い始めの頃は散々お世話になったし、ナイロンから移行する際はこちらの方が馴染みやすい。

そういう点では評価出来るが、PEを使い込んでいくと(ほぼ)デメリットしか出てこないw

使ったラインを具体的に挙げていくと…多過ぎて製品名が出てこない(爆)

これまでに出したのは別にすると、憶えてるだけでバークレーのを3種類/ラパラ・DUELのを2種類/サンライン・ダイワ・シマノ・バリバス・ユニチカ・中華サイトで購入したのを1種類。

他にも何種類も使っている(と思う)。

そんな中で判ってきたことはただ一つ。


「原糸のダメさをコーティングで誤魔化している」


細かく説明するのも面倒なので、メリット・デメリットを箇条書きで。

メリット
・(新品ならば)スプレーコート剤よりもコートが持つので、滑りが良い=バックラッシュしにくい)
・(使い始め数日は)多少ラフに扱ってもトラブルは少ない
・色落ちや硬さで劣化が判る
・指先が荒れてる時にラインを触っても解けない(解けにくい)
・カラフルw もあるが、変色しにくい

デメリット
・使って数時間で使用感が変わる。
・コーティングの落ちと共に強度が劣化。
・コート剤の相性によっては、下手にコート剤を使うとラインがベタつく
・相性が良くても、コート剤が直ぐにとれる
・釣りしてる最中にガイドにコーティングが貼り付いていく
・(一部のラインのみだが)ノットが滑りやすい
・編まずにコーティングで固めてるだけのラインは、コーティングが剥げるとバラバラになる
・糸撚れする
・水馴染みが悪い
・(コーティングがそこそこ強い物は)糸癖がつく

とまあ、簡単に挙げていくだけでこれだけのデメリットがある。

見て頂くと判ると思うが、メリットは実釣にはそれ程影響がある物ではなく、デメリットは直結する。

勿論デメリットの解決方法はあり、こまめにラインを交換する事。

キャスト数やヒット数にもよるが、1日3時間程度釣りしたら、最低でも30m位捨てていけば、いつでも新品状態を維持出来るかと。

って事は、(60mキャストする場合)単純計算して4回釣り行ったら新しい糸にすれば超快適。万事OK!


んな事出来る訳ないだろ


そんな事が出来るのは、メーカーから提供されている「プロw」と称される人間だけであって。

そりゃ、年に数回しか釣りに行けない方ならばその方が良いかも知れません。

が、(近年は減ったとはいえ)私の様に年に100日以上は釣りしてる人間にしたら死活問題で。

(多少の自己管理は必要ではあるが)安心して使用出来るのは、ノンコートラインという結論に。

因みにシーバスPEパワーゲーム、表面は本当に滑らか。良く「シルキー」と言われるが、正にその感じ。

4本撚りが木綿糸、コーティングラインがモノフィラメントならば、シーバスPEパワーゲームは絹糸。

下手なラパラとかバークレーとかのコーティングラインよりも、遥かに滑らか。

が、それは「ツルツル」というよりは「しっとり」という感じ。

変に滑る感じが無いし、コーティングが剥げてザラつく事も無いので、安心してフルキャスト出来ます。



とまあ、こんな感じでPEの具体的な性状からデメリットを挙げていった訳だが、そんな中



シーバスPEパワーゲームは、それら全ての中道を行っているラインと感じている。

・太過ぎず細過ぎず
・硬過ぎず柔らか過ぎず
・滑り過ぎずザラつき過ぎず
・安過ぎず高過ぎず

勿論糸なので劣化はしていくが、コーティングラインの様な急激な劣化は起こさない。

その為、「あ、そろそろラインがヤバい。でも今替えられない」時でも安心して使用出来るラインなのだ。

因みに、このラインに出会うまでは1年で5~6ヶのラインを消費していた(激怒して即捨てたりすると、もっと(爆))。

が、出会ってからは2~3ヶで充分間に合うように。

その内1.5~2ヶはバチ用で違う物を購入している為、実質1~1.5ヶに。

財布にも精神衛生上にも優しいシーバスPEパワーゲーム、一度手に取ってみては如何でしょうか。


あ、勿論デメリットもあって…



隅田川で使ってると、直ぐに灰色になっちまう(爆)



常に純白なラインが好きな方のみ、お勧めしませんw

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