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徒なり。


黄色い粉末が飛び散り、両方の鼻からグズグズとだらしなく液体を垂れ流す時期も終わると、ここ浜松西部地区は柑橘系の花が一斉に咲き乱れ、かぐわしい香りに包まれる。
ヨーロッパにおいては、この香りの主成分を「香りの女王ネロリ」と言い、大変な価値があるという。
浜名湖周辺で釣りをしていると、特に三ヶ日方面から香水の様な香りがする。
柑橘系の花は、夜にその香りを一斉に放出するそうで、この時期浜名湖で夜な夜な徘徊するシーバスマンにとっては、より身近な香りでもある。

相変わらず膝の調子も悪く、釣りが出来るような状態では無いのもあるが、世の中の大多数の連休を前に愛車が今年2度目の入院。
暫くは身体を休めなさいとの啓示が、ヘドロの様に粘り絡み付くような得たいの知れない重さとなって自身の足に絡み付く。
たまにはそんな時もと、道具も持たず代車に乗り込んだ。



もうすっかり田植えの時期で、栄養の含んだマッディウォーターが流れ込む。
食物連鎖にならえば、いささか膝の状態を恨んでしまう。
あるポイントにつくと、アングラーがいた。
キャストや仕草から考察するとおそらくビギナーだろう。
春にこの場所に来るのは、そこそこ目の肥えたアングラーぐらいなもの。
適当に入ったのだろうか。
暫く眺める事にした。

田んぼのマッディとクリアの境目でたまにボイルがおきる。
居たたまれなくなり、軽装でいける場所ということもあり、足を引きずりながら車に乗り込み、急いで道具を取りにハンドルを握る
往復1時間かけて戻ってみても、ボイルはまだポツポツ出ている。
先程見かけたアングラーも姿があった。

「いいかシーバスってのはこう釣るのだよ」
ジジイのエエカッコしィ、非常にダサい思考が心の声となって思考を支配していく。
新しい全く思いがけない、極めて単純な疑問が湧いてきた
なぜ、そんな思考が働くのか?
これだから歳を喰うのはご免だ。

邪な思考を遮断し、冷静さを取り戻し独りの世界に入る。
ボイルより上流にルアーを落とし、手首を地味に動かしルアーをピクピクさせる。
時折プイっと潜らせる。
○○パターンというやつだ。
しかし自分の腕はあいかわらずで、安定して無視される。

シーバス釣りの釣果の全てが、バカげた偶然からではなく確固たる目的をもって、その思考を落とし込み、実践から編み出した手法で組み立てるのである。

釣れない時間が続く。
そのうち自分で自分をおびやかし、くるしめながら自分がしている事がよく分からなくなる。
自分は、きっとそうゆう重い病気にかかってしまったのだ。そしてまた夢遊病者のようにキャストを繰り返した。

魚からの答えが帰って来ない。
思考のどこか下のほうの深いところへ、足下の遥か遠くへ、過去の全てや以前の思索も疑問も以前のテーマも感銘もそして自分自身さえも、一切の何もかもが霞んで見えた。

取り留めもなく心のどこかにある古い記憶の様なモノが繋がりもなく流れ去り、こうしたものが浮かんでは消え、消えては浮かびグルグル回った。
その中には心地よい釣果もあって、ソレにすがり付こうとするとすぐに消えた。
反応がないと、良くは分からないが体の中の方が、なにかに押し付けられるような感じがした。
ソレは苦になるような感じではないのだが、軽い悪寒のようなものはフワリとのし掛かった。
やがてソレはむしろ心地よくなっていった。






つづかない。











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