【ヘビーシンキングミノー】
今となっては渓流では猫も杓子もヘビーシンキングミノーが全盛。
そして、それなりに釣れる。
でも、ずっとどこか気に入らなかった。
形状、ウェイト、素材。
それぞれで、その特徴を持ってアプローチするのだが、私が良く入る渓流にフィットするルアーとなると．．．
食わせ方、誘い方もアングラーそれぞれであるからして、やはりコレは好みの問題なのかと思ってしまう部分もある。

ルアーを引いてこられる距離、水深、流れ等々。
特にわりかし太めの渓流や本流なら別の話しになるのだが、源流域もしくは藪沢、或いは小渓流になると、より自分とルアーの性格がどこまで寄り添えるか
それでも何にげに一番フィットしてきたのがそれなりにお手軽に手に入る
Itocraftの蝦夷type1




抜けや沈下スピードと、まぁ申し分ないのだが、あと少し理想に届かない。

【イワナの川】
最近はイワナの川に入ることが多い。
当たり前の話だが、アマゴとイワナの生息ゾーンは割かし住み分けが出来ている。
一部混在してる場合もあるが、大体別れている。
混在ポイントでは稀に混血も現れ、背中にサバのような虫食い模様が現れたハイブリッドが出現することもある。
一般的に川サバと言われる。
もっと良い名前を付けてあげれば良いのにと思う。
淡水釣り師は、割かし珍しい魚を海の魚になぞらえる事もしばしば。川メバルとかね。

アマゴとイワナでは若干アプローチが変わって来るので一概には言えないのだけれど、
上手く表現出来ないがイワナのほうがルアーを見せると言うか、トゥイッチ後のストロークが長いほうが反応が良い。
比べてアマゴは細かな動きに良く反応する。
そしてイワナのほうが、ちょっとアホと言うかなんちゅうか本中華。


【春の渓流】
浜松もだいぶ暖かい日が続き、山のほうもそろそろ活性があがってくる。
意気揚々と車を走らせたが、現地についてみると
たった2時間車を走らせただけで

日陰にいたっては4度程。
日頃の行いの悪いジジイに神様は厳しい。

少し心配ではあったが、谷を降りてみれば

もうワサビがいたるところでワサワサしていた。


【実釣】
今回渓流に同行してくれた、ルアービルダーでもある友人から、ハンドメイドルアーを渡された。
渓流では珍しいリップレス。ハンドメイドでウッドと言うこともあり、市販のインジェクションルアーと比べるのも変な話しなのだが、どんなものかと拝借して泳がして見る。

ビルダーとしての彼の腕。
ウッドの浮力にバランサーの配置云々。

トゥイッチした時の抜けをチェッキング。
そのさなかに

釣れてしまう(笑)
決して簡単な川ではない。
なにせこの川はイワナの放流が何年もない。

スローシンキングでシミーフォール。
浅く切り込みの入った顎で程よく水を噛み、決して水を掻き回さず平打ちをさせてくれる。
この緩やかなシミーフォールが堪らなく良い。イワナに口を使う間を与えてくれる。
良くこんなルアーが作れるものだと、いつも感心する。


決して大きくはないが、ネイティブとの出逢いは嬉しい。
緩やかなフォールが効いた。

どうせなら、今日は3種類のリップレスを堪能する。

リップレスミノーの抜きに対する反応。
直線的になりがちな渓流でのミノーイング。
今度は、少しだけスライド幅の大きな市販品のリビングデッドを試す。
チョコマカ動かさず、ターンターンと大きめにイレギュラーにダートさせる。

小型だが、気持ち良く出てくれた。
このポイントの魚は、先行していた同行者がDコンで叩いた後に出ただけに価値があった。

友人がコレもどうぞと、さらにハンドメイドのシンペンを渡された。
渓流ルアーではあまり見慣れない形状。
一抹の不安を感じながらキャストする。
トゥイッチすると操作によっては真横に飛ぶ。
横にスライドしたルアーがお尻を見せた瞬間1m程離れた真横の岩影からイワナが猛烈にアタックしてきた。

良い魚が出た。

この後も何度となく魚の姿を確認出来た。
特筆すべきは、通常なら2ターンで出てこなくなるのだが、謎に数回チェイスしてきた事だ。
ネイティブでは珍しい。


【退渓】
今日のコースは入渓～退渓まで5時間かけて登った。
痛めている膝が悲鳴を上げている。
弟にテーピングを施してもらいながらの釣行。
弱った内転筋に膝のクッションもやられている。
ココの退渓ポイントは比較的楽な登り。
なのだが、激痛で踏ん張りが効かない。
でも登らなければ帰れない。
登るしかないのだ。

最後の力を振り絞る。
武藤が引退試合でムーンサルトが飛べない気持ちが、ほんのり理解できた。

命からがら、やっとこさっとこ登り終わり、友人とダベりながら道路沿いに車まで歩く。

5時間かけて登った川は道路でわずか15分足らずだった。

今回の釣行は渓流ルアーにスライドするシンペンの可能性やヘビーシンキングでは出しにくい緩やかなフォールへの反応など、色々な発見を感じる濃い回となった。