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連続しない小説〈日常編〉


夜中に、けたたましい呼吸音で目が覚めた。
枕元には、黒い小型の箱型炊飯ジャーを想わせる機械。
そのサイドから蛇腹の管が延びていて
この管の先に、ちようどビッグバンベイダーの様な帯状のマスクに、鼻がすっぽり入るカップが付いている。
このカップを鼻に当て、マスクをセットし床につく。
強制的に空気を送り込んで、睡眠中の呼吸停止を防ぐのだ。
いわゆる睡眠時無呼吸症候群のCPAPという代物だ。

この機械がまた優れもので、しっかり寝付けば、昼間など全く眠気が襲って来ない。
ところが、睡眠中に口を開けてしまうと、口からゴジラの放射能の様に、おびただしい空気が洩れ、音が響き渡り目が覚めてしまうという寸法だ。

人間はぐっすりと寝なければいけない生き物らしい。
脅迫観念さえある。


魚はと言うと、同種が昼も釣れれば夜も釣れる。
いつ寝てるのであろうか?
基本人間以外の地球生命体は、皆飢餓と危険の隣り合わせと言うことなんだろう。

 
夜中に目が覚めると、ろくなことがない。
部屋の角から、パキッやらゴソっやら。
これが俗にラップ現象というヤツだ。
そういった類いのものは信じてないのだが、気持ちの良いものではない。
怖いものは怖いのだ。


ゆっくりと起きあがり、カーテンの端を人差し指と親指でつまみ上げて、ガラス越しに外を見てみると、ぼんやり東が明かるい。
やってしまった。
完走睡眠まであと少しだった。
11Rでダウンした様な気分だ。

部屋の角に居るであろう音の主に、一階に降りるのでもういいよ。と声をかけ、妻を起こさない様、静かにリビングに向かった。

暫くぼーっとしていると、大分明るくなった。
春になると、しっかりと日が早い。
何億年も前からのルーティンで、ずれることはない。

3月だというに、朝もかなり暖かい。
地球温暖化が叫ばれて暫く経つが、長い歴史から見れば、今は氷河期なのだそうだ。
いずれ、トラウト類は北極圏のみの生息になるのであろう。


暖かいので、朝っぱらから庭に出てみる。
毎朝、時間通りに家の前を通りすぎる、お互いに名前も知らない老婆と挨拶を交わした後、足元を見てみる。
思いの外、雑草が繁っている。
毎日通るというのに、気にもとめてなかった。
よくよく頭の中のレンズを通して覗いてみると、陽気に誘われようが誘われまいが、今はもう3月なのである。
観察を続けると、結構な種類の虫がうごめいていた。
皆、準備をしている。
蠢くとは良く言ったものだ。

暫くすると、一匹の虫が飛んできた。
一見、欧州の兵隊さんの後ろ姿の様なたたずまい。
背中の中央にクリーム色のハートマークが付いている。
エサキモンキツノカメムシだ。
人生二度目の遭遇である。

こんな珍しいカメムシは、どんな匂いがするのだろうと、手で触る勇気もあいなにく持ち合わせてなく、仕方がないので落ちている枝でつついてみたら、飛んで行ってしまった。
次はいつ遭遇できるのだろうか。

カメムシと言っても、世界に数百種類いる。
アメンボやタガメ、タイコウチなんかもカメムシの仲間。
あの匂いにも色んな種類があり、青リンゴの様な香りがするヤツもいれば、生物農薬として使われる種類もいるらしい。

世の中広いもので
カメムシソムリエなる方も居るとの事。
見たことは無いが、きっとタキシードを着て、ワイングラスにカメムシを入れてぐるぐる回す。
香りが立った所でグラスを鼻に近づけ、目をつむり、首とグラスを小刻みに横に揺らしながら、香りからカメムシの種類を判定する。
そんな所だろうか。
今の時代、Youtubeでやったら面白そうだ。

一般から見ればルアーフィッシングを深い趣味にしている人も、数あるルアーを見て、名前をザッと言える事を考えば、特殊能力を持った同種なのであろう。

今更ながら手元のOSやアプリのおかげで、知らなかった漢字や、気にも止めてなかった動植物の名前も知ることが身近になり、わざわざ無理して変換してしまう事もあるのだが、滅多に使わない知らない漢字に至っては、読むほうにとっては大変な時もあると同時に、変なヤツと思われる危険性もあるので、気を付けねばなるまい。


時間があるので、少し足を延ばしてウォーキングを試みてみた。
近所には、オーシャンに面した小規模な雑木林がある。
かるく散歩するにはちょうど良かった。
目の前の樹木の間をトントーンと横切る動物がいた。
こんな所にもリスがいるのだと感心しながら暫く歩いていると、カサカサと後ろから音がする。
よくよく見ると、またリスがいる。
先程の個体と同じかどうか判断はつかないが、コソコソついて来たとすれば、カワイイヤツだ。
コンビニのミックスナッツで手なずけてみるか。
次にあったら、名前をつけてやろう。
お前の名前は次からチキンだ。

歩を進めると、クロダイ釣りのオジサンがいた。
釣果を尋ねると、今来たとこだと言う。
釣れてないのだね。
釣人はすぐウソつくので、家庭には持ち込まないように気を付けねばなるまい。



寒く暇な冬に終わりを告げ
皆、蠢き始める。


春の陽気に誘われて~
トンマノマントに誘われて~。
オシィナオシィナモゥチョットー。




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