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老人と渓


【Part1】

山里の割にはヒト気もない。
老婆あたりが歩いていても、絵になりそうなものだが。
時間的には既にそこそこの朝なのだが
見かけるのは、雀と旨そうなキジのみ。
梅雨らしく、いつも通り霧がうっすらとかかっている。

目的地までは、まだ数キロある。

少し車を停めてみる。
何気にこのモヤのかかった小規模な田んぼを見るのが心地よい。

山里の田んぼは、まだ用水路も舗装されてないところも多く、ここを覗きこむのが楽しい。
近くの渓流から引いている為、透明度が高く、カワムツだろう魚影も確認できる。
壺岩の表面のようなボコボコとした水路の一角にカワニナが張り付いていた。
手にとって満足気に観ていると

「珍しいかね?」

突然、少し太めの声のサンチャゴが私の背後に現れた。
とてつもなくビックリした。

「いやぁ、ハハハハ」

突然の事過ぎて、返す言葉がみつからなかった。
柴犬と朝の散歩途中の老人にうっかり捕まってしまった。
長くなることは、容易に想像がついたのだが、こんなところから、色んな情報が得られる時もあるものだ。

暫く彼の話を聞いていると、柴犬がウロウロし始め、人目も憚らず朝の踏ん張りを始めた。
田舎の許容なのか、老人の手に処理用のバッグは見当たらない。

「ほうほう、しょうがないヤツだ」
寛容な声で飼い犬を見つめている。

このブツをこの人はどうするのか、疑問を抱いていたのだが、初対面の人間が横にいるのにも関わらず、チャックを下ろし、おもむろに自分の小便をブツにむかって勢いよくかけはじめた。

小便でブツを裁断し

「ほら、ニュージーランドの出来上がりだ。お兄さんもやってみるかい?」

老人の割には、勢いのある放射に感心しながらも、笑いながらやんわりとお断りをした。



ヨコバイが手の甲に停まった。
すぐに手の裏側にテケテケと動いた。この動きが名前の由来だろうか。
捕まえてみると、セミにそっくりだった。
かわいい虫だが、害虫とのこと。
老人は毛嫌いしていた。


軽く挨拶をし、その場を離れた。
車に戻りナビを確認。

目的地の渓流までは、もう暫く先だ。

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