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関根崇暁

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BlueBlue.jpg 「背中に背負う蒼色は鳥から見た海の色」 「お腹に抱く蒼色は魚から見た空の色」 「BlueBlue 海を愛する人へ―」 「Where's your Blue?」 ima_banner.gif 株式会社アムズデザイン運営のima公式web site。シーバスルアーkomomo,sasuke等の紹介。ルアーテスターの釣行記、コラム等も掲載。

闇の渓

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九州に移り住んだ10年前に一度入った渓がある。

当然、初ヤマメを求めて入ったのだが、東北や北関東の感覚とは違い戸惑ったのと、魚の少なさに愕然とした。

そんな記憶の渓。

当時は時間の都合を付けては、彼方此方の渓や海で竿を出して、右も左もわからな九州の地で住むために、釣る為に必要な土地勘を得るために必死だったのかもしれない。

結局、何週か目に別の水系に行って尺山女を釣る事は出来たのだが、どうも納得が出来なかった。

その昔はどんな渓でもヤマメを釣ってきた。

スレスレの激戦区だろうが、藪に包まれたボサ川だろうが、漁協も放流も無い渓だろうが、そんなのは関係無く釣りをしてきたから、どんな場所でも・・という自信もあったのに、そんな自惚れや自信はこの土地で砕け散った訳である。

釣師は謙虚であるべき。

釣りを長くやると天狗になってしまう時期もある。

それは悪い事ではないけれど、その先に本当の世界、この釣りの真髄の部分があるのでは無いだろうか?

渓流ルアーで1日30、50匹釣っても尺ヤマメを何本も釣っても、きっと何の自慢にはならない。

渓流のルアー釣りは、釣りとしては簡単、シンプルな釣りだからである。

ただ、限りある魚を釣るという事は、釣れば釣るほど釣れなくなるという事がある。

その日釣られた魚は、丁寧にリリースされたとしても基本しばらくは姿を見せない。もちろん基本的な話、例外で言えば人馴れしている成魚放流魚などは何度も釣れる。

何度も同じフィールドを釣るということは、そのフィールドに与えているインパクトが大きくなるという事である。

適度に釣りを楽しみながら、1匹という魚との出逢いを大切にする。

それが、この釣りと、この釣り場とを長く楽しむコツなのだと。

今の僕はそう考えている。

さて、今回は15時過ぎに同行の仲間が来るとゆっくりと家を出た。

山は相変わらず、工事の重機だらけでがっかりするが、比較的最近の工事が無かった区間を探る事にした。

古い踏み跡を辿り、薄霧の渓に降りると独特の雰囲気があたりを包む。

何が原因なのか、人の跡も多い訳ではないし、水も悪い気はしない。
ただ少し、この渓は薄気味悪い。

なぜそんな感覚に?
特に理由は無いのだけれど、ただただ独特の雰囲気がある。
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そんな時には、気分を変えて、まずはルアーワレットの整理整頓から、使うものが正しい場所に無いとルアーを使い切る事は出来ない、こんなに数を使う事も持ち歩く必要は無いのだけど、昔からルアーは沢山無いと心配な性分なので。

タイプごと、カラーごとに分けて仕舞う、自分の感覚と道具の場所を合わせておくのも重要な事。
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案の定、やはり魚は薄い、というよりも何故か気配すらない区間が続く。

そうそう、そうなんだよ、ここは。。。

やはりいないのか?と諦めた頃、ルアーの後ろに魚影が。
細かなアクションでルアーを振ると直ぐにヒットした。
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何とか魚はいたけど、これは放流魚だろう。
それっきり反応の無い時間が続く。

暫く釣り上がると、別々に入った仲間に追いついた。
話を聞けば、まったく・・・との事。

これは、駄目かもしれん。それも釣りだから仕方あるまい。

何時間釣りあがっただろう。
何も無いまま時間は流れ夕闇があたりを包む。

再び、仲間と別れ僕は夕闇のワンチャンスを狙いに、下流を目指した。
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不気味さを増した森を越えて、木々に包まれた流れに降り立つ。

ルアーの着水点が良くわからないギリギリの明るさ、というよりもほぼ夜になっていた。

月明かりに照らしながらワレットの中からスプーンを選ぶ、昼間整理してあったからスムーズだ。それをユニノットで結ぶと倒木の横に放り込んだ。

一瞬、水中のスプーンの後ろが青白く光った。
やはり魚はいる、昼間は出てこない魚なのだろう。
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何とかヤマメを釣る事が出来たその時、静寂の森からは薄気味悪さは消え何か晴れ晴れとした気持ちに変わって行く。

そんな自分の気持ちの中に何か光が差し込んで行くような感覚に包まれ闇の渓を後にした。

この渓に感じていた薄気味悪さは、僕の心中にあった何かなのかもしれない。
 

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