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上宮則幸

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昔ばなし

  • ジャンル:日記/一般
ま、つまらん昔ばなしだよ。


おれが小3の時にお向かいさんの幼なじみが近所の野池で変な魚を釣った。
背中が黒っぽくて胴が緑がかったような金色。
側線に添って黒い斑な模様があり、口がすごく大きい。
上げる時にバシャバシャと水面で騒がしく飛沫を上げて、いつも釣るフナやオイカワとは比較にならないくらい引きも強かったと言う。
当時はおれ達は釣り雑誌なんか存在も知らないから、この魚が何なのか全く見当もつかない。
とりあえず持ち帰り、小学校に入学する時に父ちゃんが買ってくれた子供向けの百科事典の中から、『水のなかのいきもの』を引っ張り出して幼なじみとページを捲った。
玄関横のテラスに辞典と釣ったばかりの謎の魚を並べて。

日本のさかなには『オヤニラミ』と言う似た魚があったが、頭と胴体の比率や体色やボリュームが子供の目にもなんとなく違う。
外国から来た魚のページでおれ達の目は、ある写真に釘付けになった。
その魚の名前は『ブラックバス』。
北米原産で、体長は50cmにもなると…
ランドセルの脇に差し込んである竹でできた30cm定規を釣ったブラックバスに当ててみる。
ギリギリ定規で計れる25cm で、おれ達には充分大物だった。
魚のしっぽに定規のゼロを持ってきて、更に25cm伸ばした位置に右の人差し指を置いた。
少年達の目の前に、めっちゃくちゃにデッカイ、空想の『ブラックバス』が現れた。

以来、おれ達はブラックバスに夢中になった。
ミミズを餌にいくらでも釣れた。
外国から来た魚ってのはもう頭に無い。
次掛かるブラックバスは50cmかもしれない!そう信じて次から次へ釣り上げたが、どれもこれも25cmほどだったが、楽しくて楽しくてたまらなかった。

ある日、幼なじみが延べ竿の先に何やら耳飾りみたいな不思議な物を結んで野池に現れた。
『スピナー』だ『ルアー』だと言う。
延べ竿を上手に操りスピナーを投げ込んで竿を扇状に動かしたり、水辺を歩いたり…
しかし、なかなかブラックバスは食いつかない。
その間におれはミミズで何匹も何匹も25cmのブラックバスを釣り上げた。
おれはとっくに幼なじみの釣れないスピナーに興味を失っていたが、唐突に彼が『やった!』と叫んだ!
延べ竿をしならせ水面が爆ぜる。
どうやら大物だ!
50cmかもしれない!?
幼なじみは岸を後退して、漸く大物を引きずり揚げた。
大物を二人で押さえつけて、おれが竹定規を当てた。
30cmのところから更に尾は余る。
手で印を付けた場所に定規を継いだ。
45cm。
でもデッカイ!
二人でデッカイデッカイ、やったー!!!と騒ぎに騒いだ。

おれは幼なじみの大物を喜んだが、内心悔しく思った。
うちは平屋だが、彼の家は2階建の大きな家。
おれの竿は自分で切り出した竹竿だが、彼は釣具屋で買った軽い延べ竿。
おれは必用な物しか買ってもらえないが、彼は小遣いも一杯貰っていて、好きなものを買っていた。

おれもスピナーを使ったら45cmのブラックバスが釣れるかもしれないのに…

その晩、弟と父ちゃんの三人で風呂に入っている時に父ちゃんにお願いした。
「父ちゃんスピナー買って!」
父ちゃんは何言ってるか良くわからないと言ったふうだったが、向かいの幼なじみがスピナーで大物を仕留めた話をしたら、「ソフトボールの練習も、もう少し一生懸命やったらな」
と、言った。
父ちゃんは魚釣りをするからスピナーを知っている様子だったが、ブラックバスが近所の野池で釣れるのには驚いていた。

次の日の放課後は父ちゃんの言う通りにソフトボールチームの練習を頑張った。
暗くなる頃、疲れて帰宅。
父ちゃんの帰りが少し遅い。
晩飯後に父ちゃんが帰宅。
果たしておれはスピナーを手に入れた。
父ちゃんが買ってきてくれた。
驚いた事に、父ちゃんが買ってくれたのはスピナーだけではなかった。
振り出しのスピニングロッドとリールに釣糸…

翌日の放課後はもちろんソフトボールはサボった。
野池で新しい釣り道具を試すんだ!
幼なじみがおれの道具を見た時の顔は今も思い出せる。
まぁ、それ以降彼に道具で優位に立つ事は無くなったが…




この話は続きます。
昔ばなしではあるけど、現在に通じる話なんで、ちゃんと書いておきたいと思って。
できたら完結するまで黙って読んで下され。







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