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▼ テルヌマ
- ジャンル:日記/一般
どうやら俺が出会ってきた男どもは、思い出し笑いを誘発する人間が割合的に多く、何気ない日常の中、
「あいつだったらこっち選んでるな~」みたいな?
生きていく上で考える必要の無い、くだらない事を、もう何年も会ってなくても頭の中に出てくる。
お陰様で社会の葛藤から一瞬だけでも解き放ってくれるあいつらは、芸能界で言う出川や江頭数分?クラスの天才だと思う。
貴重な野郎に出会い、バカ野郎を引き寄せる強烈な運と、そこに気づける俺の脳と、そいつらに引きを取らないバカな運に生まれた俺は、俺の人生と出会ってくれた仲間達に感謝の意味を込める為、そういう人間を文字に残せる才能を神から与えられたのかもしれない。
■釣り堀■
テルヌマ「おいおい、全然上がってこねぇんだけど?」
俺「そんな訳ねぇだろ?さっさとあげろよ」
釣り堀って行ったことないんだよなぁ~って言うから連れてきた、1投目。
ここにはせいぜい20センチ前後から大きくて25センチほどのヘラブナと鯉が放たれた普通の釣り堀である。
「ドッキリとかだるい笑」
笑いを取りに行ったコイツの抜群のセンスの無さを知ってる俺は、大物のフリは良いからさっさと上げろよって心の中で思っていた。
テルヌマ「氏、ちょっと変わってくれ」
俺「釣り堀でフォローとか聞いたことねぇぞ?笑」
テルヌマ「マジでなんかおかしいんだよ。」
おかしいのはお前だよ。
この時点で大笑い。
渋々竿を受け取った俺は、明らかな引きの強さに''何かおかしい''の意味がようやくわかった。
切られないよう慎重に引き寄せると、60センチを超える訳のわからない大きな鯉だった。
「なんじゃゃあコイツ!!!!?笑笑」
笑いが止まらなかった。
釣り堀に置いてあるタモでは入らない為、二人がかりで2本のタモを使ってすくい、釣り堀の縁で腹を抱えた。
釣りの記憶と言うのは、釣れた魚より
''釣れちゃった魚''
のほうが明らかに記憶に残る。
おそらくあの化け物鯉は、釣り堀によくいる水面をフラフラしてる鯉なのだが、深棚の仕掛けに何故食ってきたのか意味不明であり、100歩譲って撒き餌さに寄せられマグレで食ったなら説明が付く。
それを、1投目で引き当て、そろそろ宝くじが当たるんじゃないか?と思わせる運を持つこの男は、唐突にその瞬間を掴む。
狙っていないのに訪れる笑いの神様は、雨雲が怪しい心配を忘れさせ、昼飯の心配を忘れさせ、仕事に行く前の劣等感を消し、感じていないと強がっても蓄積するストレスを忘れさせる。
「あのサイズもう一匹釣ってやる!!」
っと、真剣な眼差しになった時、抜群のセンスの良さを発揮する星に生まれたこの男はまた何かを起こすなと悟った。
直後、力強く合わせた竿がグンっと曲がって竿先が水中に突き刺さった。
「やったー!氏、さっきよりもデカイ!」
その異変に先に気づいた俺は、
真実を伝える前に腹を抱え、静かに、どこに掛けたのか今だ疑問が解けない、釣り堀の根掛かりを外してあげるのであった。笑
■グミ■
いつも食ってた。
すれ違っても
遠くで見ても
電話越しでも
釣りでも
いつも食ってた。
鉄も驚く強靭なフィジカルを持つこの男の身体がおかしくなった。
医者に言われたらしい。。
「君、グミ食い過ぎ。。」
グミのドクターストップを宣言された人間を、俺はこの男以外聞いた試しが無い。
■インフルエンザ■
珍しく頭が痛いと朝から言っていた。
熱計ってきたか?って聞いた所で計ってくる訳ないな~って思いながらも聞くと期待通りの答え。
俺たちは当時、高校の実習で数日後に約70日の長期航海を控え、心は沈んでいた。
出港は延期。
学生の6割。乗り組員の3割がインフルエンザと診断された。
俺は言った、
「テル、お前やろ?」
テル「違うよ、もう熱無いし」
俺「測れ」
体調万全と本人は豪語していたものの、数値と言うのは本音しか語らない。
その言葉通り、治ったと言った男の脇に抱えられた体温計は、38.6を示し、俺は腹が立った。
「鉄フィジカル野郎め。お前じゃねーか」
■デットボール■
バッティングセンターで。
※この物語はノンフィクションです
今やこの男は機械のスペシャリストであって、その世界のトップを張る技術、知識を持ち、おそらく会社からと言うより、この男の才能に気づいた人間からの信頼は厚い。
数年振りに長期休暇を取り、当時住んでた九州へ遊びに来てくれたものの、現場が回らず四六時中電話の嵐。
空港へ帰ったらそのまま現場へ急行すると言う忙しさと、めげないフィジカルとハートの強さは相変わらずだった。
俺もまだまだ青いと脱帽。
そんな男に少しでも楽しんでもらいたいとあちこち走り回ったが、魚にはたどり着けず、申し訳なかった。
心から楽しめたか?
っと心配になったが、バイトしてくるチヌの多さと、唯一ヒットしたヒラセイゴを見る笑顔を見たら、少しは息抜き出来たかな?
っと国宝級の男の笑顔に助けられた俺がいた。笑
また、釣りいこう。
ありがとう、テルヌマ
この男に釣り針の結び方を教えたのは、紛れもなく俺である。笑笑
- 2020年5月11日
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