【RAICO】3.特殊ブリッジ構造のリップ

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特殊ブリッジ構造のリップ

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ライコを見た瞬間、誰もが目を向けるであろうこのリップ。
幾多の試作を重ね辿り着いたこの構造は第2話で解説した4つの基本性能を共立するために必要不可欠な効果を発揮します。



|空気抵抗の軽減
表層付近を泳がせるウェイクミノーは、潜らせるミノーに比べてリップが立っているのが特徴。
しかしリップが立っていれば立っているほど、飛行時に抵抗となるうえ、飛行姿勢を崩してしまう要因にもなります。

開発最初期、リップ単体でテストしていた時はやはり飛距離は出ず、飛行中も回転してしまっていました。それを解消したのがリップ裏に設けた面。

 
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飛行中、リップに対しほぼ垂直に当たるはずの空気を面がうまく逃がし、整流することで、飛行姿勢の安定化と飛距離アップを実現しました。
 



|リップ強度の確保
ファットでボリュームのあるボディを動かす大きめのリップは、強い流れの中でも破綻し難い安定性と理想の潜行レンジを出すための理想的な形状で設計されています。
 
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しかし、リップ単体では強度が足りず、壁にやボトムにぶつけてしまった場合破損の危険性が高いため、このブリッジ構造が補強構造としての役割を担っています。



理想のタイトアクションアクションレスポンス

このルアーのメインのアクションは“ロール”

ボディを回転方向に動かすこのアクションにおいて、回転軸から遠い位置に重さがあるほど、アクションレスポンスが悪くなるという物理的性質があります。
 
例えばこの画像のAとBを比べるとどちらの方が回転方向に動かすために大きな力が必要でしょうか。
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答えはBです。

慣性モーメント(物体の回転し難さの度合い) の公式は、
[慣性モーメント]M[質量]×R[回転軸からの距離]2
 
簡単に言えば、物体の回転し難さは、質量と回転軸からの距離に比例するということ。
 
ルアーの話に戻すと、ロール(回転方向の運動)の軸から最も遠いのはリップ部分。
アクションレスポンスを高める=弱い力でもアクションさせるためには、リップ部分を軽くすることが効果的ということになります。

 
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そして辿り着いたのが、リップ中央の肉を抜き取り、軽量化を実現したこのブリッジ状のリップというわけです。
 
ただ一部の方は、「軽くするためなら中空のリップにすればいいのでは?」と疑問に思うかもしれません。
 
ライコのリップが中空でなくブリッジ状を選択した理由は2つ。
 


1つは、ロールアクション時にリップ側面にかかる水の抵抗を減らし、アクションレスポンス向上に寄与させるため。

もう1つは、テスト段階においてリップに浮力を持たせ過ぎるとアクション安定性が損なわれ、強い流れでの破綻し難さが不合格であったため。

 

数々の試作・テスト・失敗・再試作を繰り返し、この特殊なリップへと至ったのです。
 
とは言えリップを拘っただけでは成立しないのがルアーというもの。


第4話では、ボディ部分に関してのお話をさせて頂きます。


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シーバスシリーズ第一弾。
RAICO ーライコー132Fの開発ヒストリーを公開中‼

1.開発に至った経緯とルアーコンセプト
2.高い基本性能
3.特殊ブリッジ構造のリップ
4.ボディシェイプと内部構造・ウェイトシステム
5.こだわりのアクション

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