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村岡昌憲
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▼ ガチペン 開発の記録
- ジャンル:釣り具インプレ
- (elegy-つぶやき-)
BlueBlueから2017年5月に発売されたガチペン200。
BlueBlueにとって初めてのオフショア用プラグです。
BlueBlueの2017年のテーマはアドベンチャー。
20cmのプラスチックプラグは金型製作費が200万円を超えます。
財政的にまだまだ小さい会社であるBlueBlueにとっては、すごいアドベンチャーしたルアーです(笑)
(しかも、この後、スネコン180と220もあるし、お金どうすんの?)
と冒険の日々は続きますが、世の中に出したいものは出したいのです。
ということで、この度発売したガチペン200がどんな開発の軌跡を辿ったのか。
その記録をここに紹介したいと思います。

開発がスタートしたのは2015年です。
BlueBlueが創業した2011年から、毎年のように遠征に行っていた長崎オフショアゲーム。
主に投げマサゲームを楽しんでいたわけですが、5回ほどの遠征を経てたくさんの魚を釣りながら、なんとなくこんなルアーがBlueBlueにあったらなぁと思うようになりました。
それがガチペンのアイディアのベース。
・クリアカラーが作れる樹脂製である事
・樹脂製だけどすごい飛ぶ
・樹脂製ならではの複雑な造形で多用途に使える
ということで、
・ポッパーのようなペンシルを作ろう。
・スネコンのように不思議な軌道を出せるようにしよう。
そうやって最初にできたのがこいつ。

かわいい顔してますが、ダイビング性能がまったくダメ。
使えなくはないが、油断すると水面を滑って跳ねてしまいます。
アイの位置、形状を少しずついじりながら修正をしていきました。

2016年の春になると、一度はこんな感じでいけそうな形が見えてきました。

この頃は、まだフロントにもしっかりとしたウェイトが入っていて、やや水平な浮き方。
東京湾レベルではいいんだけど、これで実際のオフショアに行ったらどうなるかなぁと不安に思ってましたが、案の定的中。
このプロトが最初に行ったトカラでは、他のダイペンに比べて存在感が小さい印象、荒れた波の中で動かすのがかなりシビアで使いづらい。
そんな結果に終わりました。
ガチペンはどちらかと言えば、ヒラマサなどの大型青物を意識しているものであり、GTをメインとは考えておりませんでしたが、船をドテラ流ししてプラグを撃ち込んでいくスタイルは一緒。
往々にしてGTゲームの方が船の流れ方も速いです。
川の流れの中の釣りでいえば、川の中に立ち込んでドアップにキャストして、自分に向かって流れてくるルアーを動かしていくのが、このキャスティングゲーム。
だから、水の止まっている陸から投げるのとオフショアの現場で投げるのでは全然、動かした結果が違う。
もちろんそれはオフショアに出る前に解っていることなので、準備できることは全てやっておいた上で、オフショアでしかできないことを全部その場でやってしまいます。
全てのアイテムを投げて、鉛貼ったり、重心変えたりと、できることは全部やって、ゴールに当たりを付けて帰りました。
2016年5月頃になると、かなり製品版に近い形になってきました。

アイの位置が決まったことが良かった。(開発する人が必ず迷うことの一つですよね、ラインアイ)
この頃は、アゴの部分のシャープさについて検討していた頃。
アゴが鋭角であればあるほど、水の中に入りやすく、鈍角だと水面を滑ろうとします。
そのバランスをどこに取るか。
プロトを作ってはオフショアの遠征に持って行く。
だけど、シーバスプラグの開発と違い、オフショアの開発はそんなしょっちゅういけません。
2015年、16年はハイシーズンは毎月1回の遠征を入れて、テストしては作り直し、テストしては作り直し、という工程をひたすら繰り返しました。
UKKY船長から、「今年一番奄美に来てるアングラーは君だよ。」とまで言って頂き、投げ込み投げ込みの日々。
もちろんテストが終われば、他社プラグも投げ込んで性能を比較したり、GTアングラーとしての経験値を上げていくことも忘れません。


この頃のガチペンのプロトモデルは性能も良く、遠征では大活躍で、消耗が激しい。
今ではこんな形で少しだけ残っていました。


目玉は剥がれ、GTやヒラマサの歯形が付き、貼った鉛も取れている。
ワイヤーが手で曲げて作った仮のものなので、ワイヤーを引きちぎられてバラシというケースもけっこうありました。
そして2016年8月頃に、ファイナルプロトができます。

2017年春先の発売が見えてきた瞬間。
これも玄界灘と沖縄本島のGTゲームで投げ込みました。
何百キャスト。
性能としては満足。
だけど、繰り返し繰り返し投げていくと、段々と見えてくる小さな改善点があったり、どういう時に魚が反応するのかがはっきりしてきます。
結論からすると、ファイナルはボツ。
理由は、
他のプラグと一緒に投げていて、釣り勝つことが少ないというもの。
根本的には全ての釣りがそうですが、オフショアのプラグゲームってのは、キャストのやり直しがきかないゲームの一つ
その1回きりのキャスト&リトリーブなわけですから、アングラーは自分が持ってきたルアーの中から一番信頼感のあるルアーを選ぶはずです。
そこでガチペンが選ばれる意味を問うていけば、それは他のペンシルより、断然魚が出てくることが多いと性能が無いとダメでしょう。
それは常にそうであれば最高だけど、そうでなくても、ある状況で最強、というものでもいいのだと思っています。
べた凪の時、とか荒れているとき、とか。
とにかく、ルアーに強みが無いと選ばれない時代です。
よりよいアクションを求めて、一度はボディをファット側に振っていったフォルムをもう一度見直すことにしました。
水中に入っての動き、水の受け流し方、滑り方、ダイビングの仕方、今までの経験値も含めてたくさん試作を行いました。
そうしてできたガチペン200の11世代目サンプル。

少しスリムになって、水中でのウォブンロールの滑らかさが増しました。

スネコン180と220もテスト真っ最中なので、こんな感じで投げ比べながらというときが多かったです。
そして、またも奄美へ。
福井健三郎さんのビッグディッパーでも投げ込みました。

残念ながら魚はキャッチ出来なかったけど、トカラでGTの水面爆発が3回。
ある程度は魚を反応させている事実はとても励みになるもの。
アクションが固まったので、魚に見切られにくいカラーにしてファイナルプロトを製作。

一方、各テスターにも同じものを発送して、ロックショアやオフショアでの使用感も集めていきます。

各テスターからの報告で、こいつが魚を釣るルアーとして、秀でたものがあることを確認。
メーカー側もテストをハイペースで行います。
たつろーがバリ島でガチペン初のGTキャッチ。

ちなみに、流線型を作り込んでいく過程で、非常にマグロっぽい流線型になりました。
マグロに似せたわけではないけど、水を上手に流していくという事を考えていく過程で、似るときは似るんだと。

200万円もした金型ができてから、いよいよワイヤーの最終形状の製作。
大型プラグはワイヤーから浸水しやすいので、強度と浸水対策をキッチリやります。

2017年3月にはブルーブルーカラーなど、発売されるカラーサンプルが海を泳ぎ出します。

こちらは佐賀のサンライズ乗船の時。
最後のテストは金型から産まれる量産用樹脂のインジェクションボディを使ったときのウェイトの決定。
CADで削る樹脂とインジェクションで出す樹脂は比重が違うので、再度のセッティング作業がとても重要なんです。
1g単位で88gから93gまで1g単位で揃えてジャストセッティングを狙いましたが、外れ。
95gがベストでした。

前方の遊動ウェイトも6mm、8mm、10mmとテストして最終的に8mmに決定。
カラーもどんどんと仕上がっていきます。

不規則S字軌道を楽しんで欲しいので、チャートやピンクの背中のカラーを増やしています。見て楽しんでください。
最後に2月〜4月の玄界灘に4回ほど行ってテストテスト。

ガチペンの強みは万能性です。

割れた口や誘導式ウェイト、サウンドが出るといったギミックがあるので、ある状況の中で強いピンポイント的な強さがあるルアーに仕上がると思っていました。
が、使い込んでいくと、しっかりとした飛距離、強い波動、不規則なS字、ガラガラと鳴る音で、いつも確実に魚を引っ張り出す強さを身につけていました。
強みは存在感ある動きを出せることですが、弱めのアピールパターンでも誘い出しの力はとても強いのです。

このガチペン200を仕上げたことで、次の160mmや大型のスネコンや他に進んでる2機種の開発ゴールも決まりました。
ということで、ガチペン200の開発終了。
5月に発売となりました。
発売日するなり、
北陸のロックショアから100cm、8.8kg

アングラー:正宗友祐
佐渡の磯で6kg

アングラー:池田延夫
オフショアからも
10.5kg

アングラー:坂本大輔
ガチペンの魚を引っ張り出す力はかなりのものです。
皆様もぜひ使って頂ければ幸いです。
プロトはこんな感じでずっと保存されます。

今回は早い段階でオフショアとロックショアのテスターに送ってテストしてきたので、僕の手元にはほとんど残りませんでした。
が、10年後か20年後、この袋を出して酒を飲む。
そんな事を夢見て、開発終了ボックスにしまいます。
セッティングのお話しです。
ボディが95g。
リング#9 トレブル4/0つけて108g。

SOMのオーシャンツイン3/0だと107g

フックをトレブルからシングルに変えても、動きは少し軽やかになる程度でほとんど変わりません。
オーシャンツインを1つ掛けにすると、101g。

より軽やかに動くので、しっかりとルアーの不規則波動を出していきたいときはこっちがオススメ。
アクション時、ルアーが横を向きます。それが強いときに抜群の釣果が出ています。
ということで、ガチペンの開発記録でした。
ぜひ楽しんで頂ければ幸いです。
- 2017年6月14日
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