プロフィール
BENsan
東京都
プロフィール詳細
カレンダー
検索
タグ
タグは未登録です。
アーカイブ
アクセスカウンター
- 今日のアクセス:17
- 昨日のアクセス:19
- 総アクセス数:47629
QRコード
▼ インプレ Huerco XT610-4C
- ジャンル:釣り具インプレ
《タックルインプレッション》
Huerco XT610-4C
Huercoという新しいメーカー。まだまだ知られていないし、気にはなっているけれど、実際どうなの?と思っている方もいるかと思うので、今回は自分なりにインプレを書いてみたい。

Huercoのロッドもバリエーションが増えてきたが、今回のイギリス遠征でメインロッドに選んだのはHuerco XT610-4C。
(遠征の様子はこちらから)
http://www.fimosw.com/u/slide/exujiv7mkakj26
(大型とのやりとりの様子はこちら)
http://www.fimosw.com/u/slide/exujiv7esf4o6o
実はロッドを選ぶ際、いくつか候補があった。約7フィートでスーツケースに入る遠征用パックロッドを、例えばフィッシュマンで考えるならBC4が考えられるが、問題は6.10XHでは硬すぎること。そして5.10では短かすぎる。今回僕の求めるその隙間に上手く収まるのがこのロッドだった。Beams Crawlaともすこし迷ったのだが、少し弱いのと、遠征でスーツケースに入れて持ち運ぶため、やはり収納性で勝るHuercoを選んだ。Crawlaのブランクスが良いのは投げたことがあるので分かっているのだが、海外遠征の場合はやはりスーツケースに入ると安心だし、飛行機で荷物を預けることはもちろん、収納性が高いと街歩きにおいても面倒がない。Crawlaも7.5フィート前後の4本つなぎを出してくれれば間違いなく買うんだけど。
さて、Huerco XT610-4C。実際に使ってみると、なかなかバランスのいいパッキングベイトロッドだった。
ロッドの性能を考えるときにまず必要なのは、そのロッドの性格や本質的な存在意義をはっきりと見極めることだと思う。パックロッドと1ピースロッドでは優先されているものが全く異なるので、それを踏まえて、このロッドを使用して感じるところを、できるだけ公平に書いてみたい。
『ロッドの適正ルアー重量』
まずはキャスト可能な範囲から触れていこう。このロッドのルアー重量の適正範囲だが、メーカーの表示では最小10g〜最大70g、ベストウェイトは12g〜65gと表記されている。実際ミノーからビッグベイトまで、どれもそれなりにキャストできる。フィネスロッドではないのであまり軽いルアーはさすがに投げにくく、特に比重の軽い小型ミノーなどはちょっと苦手かもしれない。個人的なフィーリングとしては、15〜45gくらいの範囲が、このロッドの反発を一番うまく引き出せる最適値ではないかと思う。
適正値外の重いルアーについてだが、ティンバーフラッシュなどはとりあえず投げることはできた。もちろん適正値外のルアーを投げる場合は、くれぐれも自己責任でお願いしたいが、どちらにしろエスドライブのような適正重量のルアーに比べると、当然だがかなり投げにくい。
80gぐらいのルアーの場合、まず垂らしているだけでティップが入り気味になるが、ペンデュラム気味に気をつけて投げれば投げられないことはない。とはいえ、これではアキュラシーが狂ってしまうのは仕方がないし、当然操作性や飛距離は落ちる。80gのルアーで実用的かというと、フィールドと腕次第というところだろうか。繰り返すがこれはあくまでも適正値外の話。要するにこのロッドがカバーできる重量の範囲はある程度広いということだ。バーサタイルに使えることの理由の1つ。
『ブランクスのフィーリング』
①フィーリングと硬さ
まず、このロッドはあくまでも携帯性や堅牢性を重視したパックロッドなので、当然だが高弾性カーボンのロッドのように、羽のように軽くてシャキッとしているブランクスではない。このロッドはバットの太さからすると柔らかいフィーリングだが、特にティップからベリーにかけて柔らかさと粘りがあり、バットにはそれなりのパワーがある。好みによっては取り回しに若干のモタつきを感じる向きもあるかもしれないが、特性を理解して使えば個人的には扱いやすいブランクスというフィーリングである。
魚を根から引き剥がすだけのガチガチのロッドとは違い、適度な柔軟性としっかりした粘りが反発力や吸収性を生んでくれるので、それを理解しうまく利用することができれば、キャストや魚とのやりとりを優位に運べる特性として引き出すことができる。ただし柔らかいロッドの宿命だが、多少のねじれは感じられる。ブランクスの性能には好みの差があるので、実際に使ってフィーリングを確かめてほしいが、個人的にはメインロッドとして使い込んでみるのも面白いと思っている。
雷魚をヘビーカバーから力任せに引き離すようなガチガチのパワーがあるわけではないが、前回のログで書いた大型パイクぐらいならば不安もなかったし、まだ余裕がある感じ。逆に小さい魚には明らかにオーバーパワーなので、ある程度の大きさの魚とやりとりすると楽しいと思う。
②トラブル
ライントラブルについては、リールの性能にもよるであろうが、今回の釣りを通して再起不能なバックラッシュは一度もなかった。ただしPEは5号を巻いているので、そもそも軽いバックラッシュなら簡単に解けることを付け加えておく。ちなみに今回はビッグシューターコンパクトを使用した。
飛距離については、今回はフルキャストするようなフィールドがなかったため未知数。通常のキャストではオーバーヘッドでもサイドでもアンダーでも普通に飛ばせる。
③感度
感度についても書いておくと、正直パイクフィッシングではあまり感度は求められないので問題を感じなかったが、パーチフィッシングに関して言えばもう少しほしいところ。これはリトリーブ中に水中のインフォメーションがほしいということよりも、むしろ小さい魚の場合は魚の引きを楽しみたいのにブランクスがそれを吸収してスポイルされてしまうという意味が大きい。一方でその特性は大型魚の引きや首振りを吸収してくれる性能でもあるので、両立はなかなか難しいことだと思う。つまりアングラーが何を優先したいのかでロッドを選ぶのがいいと思う。
純粋な感度という意味では、正直なところ特に高くはないが、もちろん高弾性カーボンと比べても意味がないし、ある程度釣りのキャリアが長くなるとビンビンの感度でなくとも状況判断はできるようになるので、インフォメーション収集という意味での問題は僕はあまり重要ではないと感じている。もちろん近年の感度が高いロッドに慣れている人や、研ぎ澄まされたロッドの感覚が好きな人にとってはもの足りなく感じるかもしれないが。しかしこの手のブランクスで、かつ4ピースであることを考えると、別にそれほど悪くないと思う。
『トラベルロッドとしての機能性』
パックロッドにとって、ここが最も重要なところではないだろうか。ともに旅をする相棒として、ともに旅先で遊ぶ道具として大切な要素は、①携帯性(収納性と利便性)、②堅牢性、そして③使っていての楽しさ、ということではないかと思う。何と言っても、ロッドというのは思い出を共有するパートナーなのだから。
①携帯性(収納性と利便性)
まず、携帯性についてだが、4ピースというのがシンプルで個人的にはちょうどいいところ。横着をして糸を通したまま仕舞ってもライントラブルになりにくいのが僕にとってはとてもいい。そう、こんな横着な使い方をしていると、5ピースではライントラブルなどが増え、急に面倒になるが、4ピースだとシンプルで色々と楽なのだ。1ピースの違いは意外と大きい。
また、この仕舞寸法なら当然海外用のスーツケースに入るので旅にも最適。ちなみに僕が乗っている大型スクーターだと、シート下の収納スペースにスッポリ入ってしまうので、自転車やバイク釣行のときなどもこの携帯性が重宝するだろう。
さらに、小径ガイドが干渉し合わないので束ねたときにまとまりやすく、ヨーロッパの街中では鞄に挟んで持ち歩くようにしていた。携帯性というと仕舞寸法ばかりに目が行きがちだが、束ねたときのまとまりやすさはパックロッドの大事な性能。束ねたときにバラけにくいことでトラブルが減らせ、さらにはスペースをとらないために携帯性が上がり、もう1ついいことにそれぞれのピースがピタッと合わさっているので互いのピースを守ることにもなる。つまり、どこかにティップを引っ掛けてポキッというリスクが減るということだ。これはたとえ袋に入れていても同じこと。
もう1つの携帯性として、このロッドは見た目と比べると軽い。当然持ち歩くにも釣りをするうえでも大きなアドバンテージ。
この携帯性の高さと、それが生み出す手軽さはこのロッドの大きなメリットだと思う。
②堅牢性
堅牢性は使用期間が短いので正直よく分かっていない側面もある。でも僕はボサの中に入ったり、バットまで枝の間に突っ込んでキャストしたり、結構ラフに使っている。おそるおそる遊ぶのはイヤなので自分のペースでやりたいように使っているが、いまのところ破損や傷などはない。現段階では結構頑丈なのではないかなという感触を持っている。
とはいえ、運搬は慎重に、しっかり保護して。スーツケースを開けたらティップが折れていたでは遠征がパーである。もちろんスペアのロッドも持って行きましょう。
あと、抜き上げはサイズを見定めて!サンマパイクは問題ないけど、60㎝クラスでもかなり重い。大型はとても抜く気にならない。僕の釣り歩いているエリアは概ね足場が低いけれど、フィッシュグリップではまったく届かないところも多々あるのでネットを持ち歩いている。
③楽しさ
このロッドの楽しさは、釣り場だけでなく、いつでも気軽に持ち歩けて、思い立った場所でパッとつなぎ、すぐに釣りが始められることではないだろうか。
ヨーロッパの街歩きのときなら、鞄にロッドを放り込み、マーケットで買い物をして、カフェでコーヒーを飲み、散歩がてらに立ち寄った教会の裏の小川ですぐに釣りが始められる。電車やトラムでちょっと移動したり、コーチに乗って小旅行なんてときもリュックの中に放り込んでおくだけ。両手をふさぐことのない身軽さは、特にアーバンフィッシングでは思った以上に快適。これはアジアでも南米でも北米でも同じではないだろうか。もちろん日本でも。少なくとも僕は裸の2ピースロッドを持ってロンドンの繁華街を歩き回りたいとはあまり思わない。
例えるなら、モアザンやエクスセンスなどのもつ特性が、軽やかさと精度を研ぎ澄ましたF1マシンならば、このロッドの存在価値は『自由さと遊び心』。これはまさに解放感である。アングラーは気の向くまま、行きたい場所を歩き、好きなときに釣りができる。これは逆にF-1マシンにはない部分。僕は正直どちらの方向性も好きだし、どちらも使う。要はそのときにどういう釣りをしたいかなのだと思う。F-1マシンを手に、眉間にシワを寄せて釣りをするのももちろん楽しいし、やはり釣りそのものの質を圧倒的に上げてくれるのは間違いないのだから。
でも、僕のように海外を含め年間に大小合わせて数十回の旅をするような、旅がライフスタイルになっている人なら、きっとこのロッドの出番は多いんじゃないかな。
デザインもおしゃれで落ち着いているので、個人的には気に入っている。このロッドの性格をよく表現しているなぁと感じるし、北欧なんかで使ったら、きっと街によく馴染むと思う。若いユーザーが多いイメージだが、むしろ大人をターゲットにしたほうがいいんじゃないかな?
『トータルな評価』
ヨーロッパではこの強すぎず弱すぎないブランクスが、結構バーサタイルに使えると思う。もちろん対象魚によってはこのロッドだと強すぎたり、弱すぎるということはあるのでそこはよく見極めたほうがいい。ヨーロピアンパーチや30センチ程度のトラウトを相手にすると、あっさり上がってきてしまう。トラウトやパーチを専用に狙うならスピニングタックルの渓流ロッドやライトなバスロッドを使う方が楽しいだろう。
7フィート弱という長さについては、ヨーロッパの内水面の環境ではちょうどいいと思う。もちろんヨーロッパといってもいろいろだが、水面に張り出したブッシュをかわすこと、ラインメンディングのしやすさ、森でのキャストなどを考えると、必要な長さでありながら、ちょうど取り回しやすいのは7〜7.5フィートほどだろう。総合的に見れば、ヨーロッパ遠征派にはかなり便利で、なおかつそれなりにいろいろ使えるロッドと言っていいのではないかと思う。
ちなみに、日本で使う場合はどうか。シーバス釣りならセイゴやフッコだと物足りないかもしれないが、60センチを超えてくると面白いだろうし、大型のナマズなども楽しそうだ。またラージマウスだとちょっと物足りないかもしれないが、いいサイズのスモールなんか掛けたら楽しいだろうと思う。ただし、どちらかというと巻物に強い特性だと思うので、リトリーブやドリフトの釣りに向いているように思う。シーバスで使うなら、そもそもあまり小さいミノーは得意とはいえないのと、手首を多用するような細かいロッドワークを長時間持続するには重たいので、手首が強い人でないとちょっとキツイ。港湾部でトゥイッチとかダートなどの細かいロッド操作を長時間正確にするなら、軽く張りのあるロッドの方がはるかにしやすいと感じる。むしろ河川で大型のミノーのドリフトして、ドンとランカーを狙う釣りに向いていると思う。
もちろん全てが理想的な魔法のロッドというのは存在しない。これはとても楽しいロッドだが、あくまでもパックロッドであり、何度も言うように精度や飛距離、感度などを優先させたブランクスではない。だが、パックロッドの枠の中で、できるだけ性能を上げようとしている意思はよく伝わってくる。
最後に、魔法のロッドなどは存在しないことを承知のうえで、個人的な欲を言えば、もう少し軽くなるとグッと操作性が上がり、もっとルアーを動かしたくなると思う。中途半端なロッドにしては意味がないのだが、より多様なルアーをローテーションしたくなるということはバーサタイルなロッドには大切なことであり、中型のパーチからパイクまでしっかりカバーできるようになると思う。そうなると、たとえば僕の住んでいる湾岸地域にはりめぐらされた運河や港湾でのストラクチャーゲームにも、より高精度に対応できるようになるということ。運河や港湾では5㎝のアキュラシーが必要だったり、ピンの一撃勝負やひたすら動かし続ける釣りをすることも多いので、今のままだと手首がつらい。このレングスは足場の低い運河だとドンピシャなので、よけいにそこがネックに感じるのだと思う。まあそうやってブランクスに張りをもたさせればもちろん、その分多少破損しやすくなるだろうし、遠征用としての特性である堅牢さ耐久性、コスト面を優先した結果がこのブランクスということなら、もちろんこれは1つの答えなのかもしれないが、持ち重りせず動かしやすいバランスになればより多くのユーザーに受け入れられるように思う。ユーザーニーズのフィードバックと、フィーリングがより伝わればという意味で書いておく。
もちろんこういう味つけも個性だから、楽しめればいいのだと思うし、使いどころを選べばいいのだが、さらに使いどころが増えればアングラーとしてはなおありがたい。価格帯もかなり絶妙なところを狙っていると思う。これはぜひ維持してほしいところだ。
いずれにしろ、携帯性と手軽さ、釣具として必要な性能をうまく実現しているバランスのよさからして、XT610-4Cは遊び道具力が高いロッドだと言っていいと思う。
もちろんベイトロッドの選択肢は他にもいくらでもあるし、釣りのスタイルなんて人それぞれ。遠征でも精度の高いロッドを使いたい方は、バズーカで持っていけばいいだけの話だ。僕も国内の遠征なら飛行機のときもバズーカを使うことが多い。それももちろんアリだし、そっちにはそっちの扱いやすさや快適さ、楽しさも必ずある。あくまでも僕が自分のスタイルでパイクの海外遠征に求めている要素については、このロッドが比較的いい水準で達成しているので、現行のロッドのなかでは、自分はやはりこれを海外遠征用のロッドに選ぶと思う。
あくまでも個人的なインプレッションだが、一意見として参考になればと思う。
Huerco XT610-4C
Huercoという新しいメーカー。まだまだ知られていないし、気にはなっているけれど、実際どうなの?と思っている方もいるかと思うので、今回は自分なりにインプレを書いてみたい。

Huercoのロッドもバリエーションが増えてきたが、今回のイギリス遠征でメインロッドに選んだのはHuerco XT610-4C。
(遠征の様子はこちらから)
http://www.fimosw.com/u/slide/exujiv7mkakj26
(大型とのやりとりの様子はこちら)
http://www.fimosw.com/u/slide/exujiv7esf4o6o
実はロッドを選ぶ際、いくつか候補があった。約7フィートでスーツケースに入る遠征用パックロッドを、例えばフィッシュマンで考えるならBC4が考えられるが、問題は6.10XHでは硬すぎること。そして5.10では短かすぎる。今回僕の求めるその隙間に上手く収まるのがこのロッドだった。Beams Crawlaともすこし迷ったのだが、少し弱いのと、遠征でスーツケースに入れて持ち運ぶため、やはり収納性で勝るHuercoを選んだ。Crawlaのブランクスが良いのは投げたことがあるので分かっているのだが、海外遠征の場合はやはりスーツケースに入ると安心だし、飛行機で荷物を預けることはもちろん、収納性が高いと街歩きにおいても面倒がない。Crawlaも7.5フィート前後の4本つなぎを出してくれれば間違いなく買うんだけど。
さて、Huerco XT610-4C。実際に使ってみると、なかなかバランスのいいパッキングベイトロッドだった。
ロッドの性能を考えるときにまず必要なのは、そのロッドの性格や本質的な存在意義をはっきりと見極めることだと思う。パックロッドと1ピースロッドでは優先されているものが全く異なるので、それを踏まえて、このロッドを使用して感じるところを、できるだけ公平に書いてみたい。
『ロッドの適正ルアー重量』
まずはキャスト可能な範囲から触れていこう。このロッドのルアー重量の適正範囲だが、メーカーの表示では最小10g〜最大70g、ベストウェイトは12g〜65gと表記されている。実際ミノーからビッグベイトまで、どれもそれなりにキャストできる。フィネスロッドではないのであまり軽いルアーはさすがに投げにくく、特に比重の軽い小型ミノーなどはちょっと苦手かもしれない。個人的なフィーリングとしては、15〜45gくらいの範囲が、このロッドの反発を一番うまく引き出せる最適値ではないかと思う。
適正値外の重いルアーについてだが、ティンバーフラッシュなどはとりあえず投げることはできた。もちろん適正値外のルアーを投げる場合は、くれぐれも自己責任でお願いしたいが、どちらにしろエスドライブのような適正重量のルアーに比べると、当然だがかなり投げにくい。
80gぐらいのルアーの場合、まず垂らしているだけでティップが入り気味になるが、ペンデュラム気味に気をつけて投げれば投げられないことはない。とはいえ、これではアキュラシーが狂ってしまうのは仕方がないし、当然操作性や飛距離は落ちる。80gのルアーで実用的かというと、フィールドと腕次第というところだろうか。繰り返すがこれはあくまでも適正値外の話。要するにこのロッドがカバーできる重量の範囲はある程度広いということだ。バーサタイルに使えることの理由の1つ。
『ブランクスのフィーリング』
①フィーリングと硬さ
まず、このロッドはあくまでも携帯性や堅牢性を重視したパックロッドなので、当然だが高弾性カーボンのロッドのように、羽のように軽くてシャキッとしているブランクスではない。このロッドはバットの太さからすると柔らかいフィーリングだが、特にティップからベリーにかけて柔らかさと粘りがあり、バットにはそれなりのパワーがある。好みによっては取り回しに若干のモタつきを感じる向きもあるかもしれないが、特性を理解して使えば個人的には扱いやすいブランクスというフィーリングである。
魚を根から引き剥がすだけのガチガチのロッドとは違い、適度な柔軟性としっかりした粘りが反発力や吸収性を生んでくれるので、それを理解しうまく利用することができれば、キャストや魚とのやりとりを優位に運べる特性として引き出すことができる。ただし柔らかいロッドの宿命だが、多少のねじれは感じられる。ブランクスの性能には好みの差があるので、実際に使ってフィーリングを確かめてほしいが、個人的にはメインロッドとして使い込んでみるのも面白いと思っている。
雷魚をヘビーカバーから力任せに引き離すようなガチガチのパワーがあるわけではないが、前回のログで書いた大型パイクぐらいならば不安もなかったし、まだ余裕がある感じ。逆に小さい魚には明らかにオーバーパワーなので、ある程度の大きさの魚とやりとりすると楽しいと思う。
②トラブル
ライントラブルについては、リールの性能にもよるであろうが、今回の釣りを通して再起不能なバックラッシュは一度もなかった。ただしPEは5号を巻いているので、そもそも軽いバックラッシュなら簡単に解けることを付け加えておく。ちなみに今回はビッグシューターコンパクトを使用した。
飛距離については、今回はフルキャストするようなフィールドがなかったため未知数。通常のキャストではオーバーヘッドでもサイドでもアンダーでも普通に飛ばせる。
③感度
感度についても書いておくと、正直パイクフィッシングではあまり感度は求められないので問題を感じなかったが、パーチフィッシングに関して言えばもう少しほしいところ。これはリトリーブ中に水中のインフォメーションがほしいということよりも、むしろ小さい魚の場合は魚の引きを楽しみたいのにブランクスがそれを吸収してスポイルされてしまうという意味が大きい。一方でその特性は大型魚の引きや首振りを吸収してくれる性能でもあるので、両立はなかなか難しいことだと思う。つまりアングラーが何を優先したいのかでロッドを選ぶのがいいと思う。
純粋な感度という意味では、正直なところ特に高くはないが、もちろん高弾性カーボンと比べても意味がないし、ある程度釣りのキャリアが長くなるとビンビンの感度でなくとも状況判断はできるようになるので、インフォメーション収集という意味での問題は僕はあまり重要ではないと感じている。もちろん近年の感度が高いロッドに慣れている人や、研ぎ澄まされたロッドの感覚が好きな人にとってはもの足りなく感じるかもしれないが。しかしこの手のブランクスで、かつ4ピースであることを考えると、別にそれほど悪くないと思う。
『トラベルロッドとしての機能性』
パックロッドにとって、ここが最も重要なところではないだろうか。ともに旅をする相棒として、ともに旅先で遊ぶ道具として大切な要素は、①携帯性(収納性と利便性)、②堅牢性、そして③使っていての楽しさ、ということではないかと思う。何と言っても、ロッドというのは思い出を共有するパートナーなのだから。
①携帯性(収納性と利便性)
まず、携帯性についてだが、4ピースというのがシンプルで個人的にはちょうどいいところ。横着をして糸を通したまま仕舞ってもライントラブルになりにくいのが僕にとってはとてもいい。そう、こんな横着な使い方をしていると、5ピースではライントラブルなどが増え、急に面倒になるが、4ピースだとシンプルで色々と楽なのだ。1ピースの違いは意外と大きい。
また、この仕舞寸法なら当然海外用のスーツケースに入るので旅にも最適。ちなみに僕が乗っている大型スクーターだと、シート下の収納スペースにスッポリ入ってしまうので、自転車やバイク釣行のときなどもこの携帯性が重宝するだろう。
さらに、小径ガイドが干渉し合わないので束ねたときにまとまりやすく、ヨーロッパの街中では鞄に挟んで持ち歩くようにしていた。携帯性というと仕舞寸法ばかりに目が行きがちだが、束ねたときのまとまりやすさはパックロッドの大事な性能。束ねたときにバラけにくいことでトラブルが減らせ、さらにはスペースをとらないために携帯性が上がり、もう1ついいことにそれぞれのピースがピタッと合わさっているので互いのピースを守ることにもなる。つまり、どこかにティップを引っ掛けてポキッというリスクが減るということだ。これはたとえ袋に入れていても同じこと。
もう1つの携帯性として、このロッドは見た目と比べると軽い。当然持ち歩くにも釣りをするうえでも大きなアドバンテージ。
この携帯性の高さと、それが生み出す手軽さはこのロッドの大きなメリットだと思う。
②堅牢性
堅牢性は使用期間が短いので正直よく分かっていない側面もある。でも僕はボサの中に入ったり、バットまで枝の間に突っ込んでキャストしたり、結構ラフに使っている。おそるおそる遊ぶのはイヤなので自分のペースでやりたいように使っているが、いまのところ破損や傷などはない。現段階では結構頑丈なのではないかなという感触を持っている。
とはいえ、運搬は慎重に、しっかり保護して。スーツケースを開けたらティップが折れていたでは遠征がパーである。もちろんスペアのロッドも持って行きましょう。
あと、抜き上げはサイズを見定めて!サンマパイクは問題ないけど、60㎝クラスでもかなり重い。大型はとても抜く気にならない。僕の釣り歩いているエリアは概ね足場が低いけれど、フィッシュグリップではまったく届かないところも多々あるのでネットを持ち歩いている。
③楽しさ
このロッドの楽しさは、釣り場だけでなく、いつでも気軽に持ち歩けて、思い立った場所でパッとつなぎ、すぐに釣りが始められることではないだろうか。
ヨーロッパの街歩きのときなら、鞄にロッドを放り込み、マーケットで買い物をして、カフェでコーヒーを飲み、散歩がてらに立ち寄った教会の裏の小川ですぐに釣りが始められる。電車やトラムでちょっと移動したり、コーチに乗って小旅行なんてときもリュックの中に放り込んでおくだけ。両手をふさぐことのない身軽さは、特にアーバンフィッシングでは思った以上に快適。これはアジアでも南米でも北米でも同じではないだろうか。もちろん日本でも。少なくとも僕は裸の2ピースロッドを持ってロンドンの繁華街を歩き回りたいとはあまり思わない。
例えるなら、モアザンやエクスセンスなどのもつ特性が、軽やかさと精度を研ぎ澄ましたF1マシンならば、このロッドの存在価値は『自由さと遊び心』。これはまさに解放感である。アングラーは気の向くまま、行きたい場所を歩き、好きなときに釣りができる。これは逆にF-1マシンにはない部分。僕は正直どちらの方向性も好きだし、どちらも使う。要はそのときにどういう釣りをしたいかなのだと思う。F-1マシンを手に、眉間にシワを寄せて釣りをするのももちろん楽しいし、やはり釣りそのものの質を圧倒的に上げてくれるのは間違いないのだから。
でも、僕のように海外を含め年間に大小合わせて数十回の旅をするような、旅がライフスタイルになっている人なら、きっとこのロッドの出番は多いんじゃないかな。
デザインもおしゃれで落ち着いているので、個人的には気に入っている。このロッドの性格をよく表現しているなぁと感じるし、北欧なんかで使ったら、きっと街によく馴染むと思う。若いユーザーが多いイメージだが、むしろ大人をターゲットにしたほうがいいんじゃないかな?
『トータルな評価』
ヨーロッパではこの強すぎず弱すぎないブランクスが、結構バーサタイルに使えると思う。もちろん対象魚によってはこのロッドだと強すぎたり、弱すぎるということはあるのでそこはよく見極めたほうがいい。ヨーロピアンパーチや30センチ程度のトラウトを相手にすると、あっさり上がってきてしまう。トラウトやパーチを専用に狙うならスピニングタックルの渓流ロッドやライトなバスロッドを使う方が楽しいだろう。
7フィート弱という長さについては、ヨーロッパの内水面の環境ではちょうどいいと思う。もちろんヨーロッパといってもいろいろだが、水面に張り出したブッシュをかわすこと、ラインメンディングのしやすさ、森でのキャストなどを考えると、必要な長さでありながら、ちょうど取り回しやすいのは7〜7.5フィートほどだろう。総合的に見れば、ヨーロッパ遠征派にはかなり便利で、なおかつそれなりにいろいろ使えるロッドと言っていいのではないかと思う。
ちなみに、日本で使う場合はどうか。シーバス釣りならセイゴやフッコだと物足りないかもしれないが、60センチを超えてくると面白いだろうし、大型のナマズなども楽しそうだ。またラージマウスだとちょっと物足りないかもしれないが、いいサイズのスモールなんか掛けたら楽しいだろうと思う。ただし、どちらかというと巻物に強い特性だと思うので、リトリーブやドリフトの釣りに向いているように思う。シーバスで使うなら、そもそもあまり小さいミノーは得意とはいえないのと、手首を多用するような細かいロッドワークを長時間持続するには重たいので、手首が強い人でないとちょっとキツイ。港湾部でトゥイッチとかダートなどの細かいロッド操作を長時間正確にするなら、軽く張りのあるロッドの方がはるかにしやすいと感じる。むしろ河川で大型のミノーのドリフトして、ドンとランカーを狙う釣りに向いていると思う。
もちろん全てが理想的な魔法のロッドというのは存在しない。これはとても楽しいロッドだが、あくまでもパックロッドであり、何度も言うように精度や飛距離、感度などを優先させたブランクスではない。だが、パックロッドの枠の中で、できるだけ性能を上げようとしている意思はよく伝わってくる。
最後に、魔法のロッドなどは存在しないことを承知のうえで、個人的な欲を言えば、もう少し軽くなるとグッと操作性が上がり、もっとルアーを動かしたくなると思う。中途半端なロッドにしては意味がないのだが、より多様なルアーをローテーションしたくなるということはバーサタイルなロッドには大切なことであり、中型のパーチからパイクまでしっかりカバーできるようになると思う。そうなると、たとえば僕の住んでいる湾岸地域にはりめぐらされた運河や港湾でのストラクチャーゲームにも、より高精度に対応できるようになるということ。運河や港湾では5㎝のアキュラシーが必要だったり、ピンの一撃勝負やひたすら動かし続ける釣りをすることも多いので、今のままだと手首がつらい。このレングスは足場の低い運河だとドンピシャなので、よけいにそこがネックに感じるのだと思う。まあそうやってブランクスに張りをもたさせればもちろん、その分多少破損しやすくなるだろうし、遠征用としての特性である堅牢さ耐久性、コスト面を優先した結果がこのブランクスということなら、もちろんこれは1つの答えなのかもしれないが、持ち重りせず動かしやすいバランスになればより多くのユーザーに受け入れられるように思う。ユーザーニーズのフィードバックと、フィーリングがより伝わればという意味で書いておく。
もちろんこういう味つけも個性だから、楽しめればいいのだと思うし、使いどころを選べばいいのだが、さらに使いどころが増えればアングラーとしてはなおありがたい。価格帯もかなり絶妙なところを狙っていると思う。これはぜひ維持してほしいところだ。
いずれにしろ、携帯性と手軽さ、釣具として必要な性能をうまく実現しているバランスのよさからして、XT610-4Cは遊び道具力が高いロッドだと言っていいと思う。
もちろんベイトロッドの選択肢は他にもいくらでもあるし、釣りのスタイルなんて人それぞれ。遠征でも精度の高いロッドを使いたい方は、バズーカで持っていけばいいだけの話だ。僕も国内の遠征なら飛行機のときもバズーカを使うことが多い。それももちろんアリだし、そっちにはそっちの扱いやすさや快適さ、楽しさも必ずある。あくまでも僕が自分のスタイルでパイクの海外遠征に求めている要素については、このロッドが比較的いい水準で達成しているので、現行のロッドのなかでは、自分はやはりこれを海外遠征用のロッドに選ぶと思う。
あくまでも個人的なインプレッションだが、一意見として参考になればと思う。
- 2019年9月17日
- コメント(0)
コメントを見る
fimoニュース
登録ライター
- 雨雲レーダーの間違った使い方
- 1 日前
- rattleheadさん
- 淀川バス釣り開拓記と66センチ…
- 3 日前
- 登石 ナオミチさん
- 悔しい一日からスタート
- 3 日前
- はしおさん
- 『DIY系アングラー?』
- 6 日前
- hikaruさん
- クリムゾンワールドワイド:ス…
- 7 日前
- ichi-goさん
本日のGoodGame
シーバス
-
- BELUGA復帰戦
- ハマコー
-
- ナイトリバーシーバス
- OKB48
最新のコメント