サバイバル生活+釣り 完結編

  • ジャンル:釣行記
水量の大さに少し戸惑いながら、いよいよ夕まずめを迎える。

日が傾きかけ、ここからは一投たりとも気が抜けない。次のキャストで来る!、という気構えで、丁寧にキャストし、集中してルアーを操作していく。


数投していると、ついにチャンスが来た。


食わせる点の狙いを定める。大きめの沈み石が入っているピンポイント。立ち位置はルアーが活きる引きしろを長く取れるように、ポイントに対し、大きめのアップクロス。



岸際の木陰の水面にルアーを落とす。着水からドリフト、二回のメンディングをしてからミディアムリトリーブで引く。


狙うピンの上流50cmのところで二発のトゥイッチでふらつかせ、流し込んだ直後、







ブルルンッ!








「きたっ!」







ティップがグンッと入る!鋭く小さく合わせを入れる。


台風余波の風が水面を吹き抜ける。それを断ち切るようにラインが走り、ヒューンと糸鳴りがする。やはり本流に磨かれた魚、走りが鋭い!



流れに乗って下ろうとするのをロッドで回頭させつつ、私も下流側に走りながら寄せようと試みる。


魚はこのすぐ下から数十m続く激流に入ろうとする。入られたら面倒なことになる!


ラインシステムは飛距離を確保しつつも大物を想定して、メインラインはPE0.4号、リーダーはフロロの0.8号という組み合わせ。



まさに今はここ一番という場面、激流に突っ込まれる前に、強度を信じて強引に寄せる。









頼む!乗り切れっ!










一瞬、流れの中を下流に向かって猛然と疾走する渓の女王の姿が!










こっちを向いてくれっ!!










瀬頭に落ち込むすぐ上手でなんとか回頭させる。水中でもんどり打つ魚体。




そして、



無事ランディングしたのは、鰭も美しい33センチのヤマメ。

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驚くような大物ではないけれど、パーマークも消えかけ、鮭を思わせる風格が漂っている。


顔つき、体高、鰭の張り、そして背の厚み••••。やはり本流の魚は素晴らしい。


ゆっくりと見とれていたい見事な魚体。けれど、少し出血しているのでグッと我慢、写真を大急ぎで撮ってすぐにリリース。うーん、名残り惜しいけどね。

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リリースを急いだので頭を反対向きのまま撮ってしまったけど、まあ魚が弱るよりはいいかと(笑)


流れにそっと戻すと


尺上ヤマメは急がず慌てず、スーッと清流に戻っていった。




来年の夏、お互いに一回り大きくなってまた会おう!




そのときにじっくりと君の魚体は拝ませてもらうから。




まだまだ大きいのがいるこのフィールド。でも日もだいぶ傾いてきた。水量があるので入渓点までの帰りを考え、今回はこの魚ですっぱり納竿する。こういう釣りの終わり方ができる日は、本当に幸せ。


ニューフェイスは残念ながらノーフィッシュに終わってしまったが、心から楽しかったと言ってくれた。そして祝福してくれた。


素敵な仲間たちと、素晴らしい魚、美しい渓に感謝。
台風もあってサバイバル生活というほどのことはできなかったけれど、楽しい男旅だった。


そしてラストチャンスにやっと出会えた、たった一匹のヤマメ。でもそれは、また新たな忘れられない魚との出会いになった。



サバイバル釣り生活 完



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