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少しだけゾッとする話。


「独りで来たのかい?」



【Part1】
本日は急な休みとなり、一人での釣り。
運転もワクワクと、どことなく不安の隣り合わせ。
何時もより少しだけ遅く家を出る。
現場付近までの2時間は、とてつもなく長く感じる。

延々と山間部の道を北上し、1000mを越えた辺りが目的地だ。
日釣り券を購入するため、最初に見えたのぼりの店に入る。
店とは言うものの、普通の家の玄関からチャイムも無いので、ノックして入り、中にいる住人から買うのだ。
朝も早くから、おばちゃんが対応してくれた。
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暫く車を走らせると、田園風景が広がっていて、霧モヤがなんとも言えない雰囲気を醸し出していた。
なんとなく、一枚押さえてみる。

山の割には、舗装の良い道を進み、現場到着。
今日は遡上4時間コース。
一度入ると4時間は出てこれないポイントである。


【Part2】
入渓地点近くに車を止め、急な藪の中に身を投じる。
滑り歩きながら進んでいくと
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突然人工的な石組が現れる。
何故かホッとする。

谷底まで降り、そこから釣り上がって行く。
これがなかなかどうして、体力がいる。
夢中になり、じっくり攻めれば遡上も気が付けば4時間が過ぎてるのもザラ。

何時もなら友人と2人で、あーでもないこうでもないとキャストするのだが、今日は自然と独り言が多くなる。

遡上しながら、何気に川から崖を見上げれば、微かに見える白いガードレールが段々と遠くなり、近代文明から遠退いて自然と同化していく。

鳥や、風になびく木々と水流の音しかしない。
・・・・のハズなのだが、空耳だろうか?
なんとなく、人の喋り声の様な音が耳をかすめる。
「独りで来たのぉ?」
振り返って見る。
当然、誰も居るわけはない。

単調な音が、複雑な流れの変化で色々なパターンとなって脳に響く。

勝手に、音の断片を拾ってそのようなモノを作り上げているのだろうか?
でも、確かに聞こえる様な気がするのだ。

昔の人は妖精の声などと、こんな事を言っているのではないかと思ったりもした。

何度も何度も振り返りながら。


【Part3】
今日は渋い。
今シーズンは、残り後一回行けるかどうか。
いい釣りにしたかったがmdo4979vp35hxs2eaicw-c48f83ab.jpg
釣果は型サイズとも満足の行くものでは無かった。

時計をふと見てみる。
入渓から3時間半ほど経っていた。
齢51のふくらはぎは、気づかないうちに悲鳴をあげ始めている。

やっとのことで退渓しアスファルトの上を歩いて車まで戻る。
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少しの登りがキツイ。
さっきの遡上は、そんなこと何も思わなかったのに。
3~4時間かけて登った渓は、アスファルトの上を歩いて15分で着いた。


【Part4】
車に戻る道中、オジサンとすれ違い話し掛けられた。(こんな山道で歩きで?)

「釣れたかい?」

「まぁボチボチです」

「独りで来たのかい?」

とっさに、あることを思い出して

「いや、2人で来てます。友人は先にクルマに戻ってて」

「おぉそうかい」

と言って、去って行った。

その先のカーブで見えなくなるまで見送ってから、小走りで車のある所まで向かった。


ある事というのは
私に数十年前に渓流を教えてくれた方から聞いた話で、出くわした人物が殺人を犯して山に逃げたり埋めにきたりした場合、大概独りかどうか聞くらしい。
一人だとわかると・・・・
後は想像していただければ。



【Part5】
イヤイヤくたびれたと運転席に座り、忘れたペットボトルの水を、若者の様に一気に体内へ流し込む。
一息ついて、帰りはどこの渓を覗いて行こうかと山道を降りる。

カーブでのハンドリングが何か変だ。
一度車を止めて見てみる。

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やってしまった。
独りの時にかぎって
こんな山奥で。
取り敢えずジャッキ出来るよう平坦な場所まで移動する。
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えっちらほっちら、ジャッキで車高を上げてスペアに交換。

少し残念な気持ちにもなったが、こんな経験は人生で何回起こるだろうか?
そう思えば、貴重な体験をしたものだと府に落とす事ができた。


【Part6】
この近辺に来たら、必ず高原野菜たるものを買って帰る。
そして懐かしい食料も売っていたので、それも買いこみスペアタイヤで恐る恐る帰路に着いた。

帰宅後今日の出来事を、食事しながら身振り手振りで女房に話したのだが、私が手にした買って来た食料を見て悲鳴を上げた。
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こんな時代は、また輪廻してくると言うに。




ロッド : fishman beams blancsierra                           limited

リール : abu garcia revo alc bf-7 

ライン :nyron0.6






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