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▼ 夜釣りに行こうよ
- ジャンル:日記/一般
- (独り言)
古いパソコンのやらしいデータなどを削除したり
とハードディスクの整理してたら、10年前に書いた原稿が出てきました。
これは、文芸社の「親から子へ・・・」という書籍の公募に採用され、出版された時のものです。
子育てにおいて、釣りはあらためていいものだなと思い、子育期の方の何かのお役に立てば思い、むちゃくちゃ恥ずかしいですが、乗せてみました。
短編とはいえブログには長いですが、興味のある方だけどうぞ。
---------------------------------------------
合言葉~ 夜釣りに行こうよ~
今、息子と二人きりで一年ぶりに波止場で釣りをしている。夜風は涼しい。
波間に揺れている蛍光のウキをぼんやり見ていると、静かな時間がゆっくり流れていく。
ここは自宅から二時間程車を走らせなければいけないが、海の水も綺麗だし、車のそばで釣りが出来るので気に入っている。
「お父さん、なんか久しぶりだね。」
「そうだなぁ、この頃忙しかったからな。」
今年から中学生になった息子とは、よくこの波止場までアジの子を釣りに来ていた。
このところ私は、仕事が忙しくて家族をかえりみない父親になっていた。
数年前までは、家族で週末ごとに車に布団を詰め込んで、車の中で泊まりながら貧乏旅行をやっていたのだが、不景気でそんな心の余裕も無くしていた。
あれほど家族が一つになっていたのに、この頃はそれぞれの用事も出来はじめ、息子は週末しいえばクラブ活動、小学生の娘は習い事、妻はその付き添い、私は休日出勤と言った具合だ。
それは仕方ないことだと、頭の中ではわかっているが、少し仕事が落ち着くと、胸の中に寂しさが大きく広がってくる。
そんなことがあって、今日は息子にクラブを休ませて釣りに付き合わせているのだ。
息子は、短気なところもあるが優しい心の持ち主だと客観的に思っている。鈍くさいところもあるので、いじめの対象になるのではないかと心配もしている。
「なかなか釣れないね。」
「そうだなぁ、でもお父さんはこんな時間も好きだなぁ。」
「えーそうかなぁ、餌を取られたかな? 」
「学校はどうだ、楽しいか? 」
「うん、楽しいよ。」
「そっか。」
ふと、何かで読んだ父親の子供に対する言葉で多いのが「学校はどうだ? 」という言葉だったのを思い出して、嫌ってたはずの世間並みの父親だと思い情けなくなった。
「おとうさん、さっきコンビニでさ……」
「あぁ。」
「あれって、いじめだよね。」
夕食の調達のために立ち寄ったコンビニの駐車場の隅で、息子と同じ年頃の子供四人が一人の子を囲むように立っていたのだ。
息子はそのことを言っているようだ。
「そうだな、いじめだったかもしれないよな。」
私は、囲んでいた子供たちの陰湿ささえ、うかがえる表情にいじめを感じているからこそ、彼らの方をみながらタバコを吸っていたのだ。
しかし、息子の問いに対してあえて断定をしなかった。それは心のどこかで、触れたくない話題だったからだろう。
「お前のところでもイジメはあるのか? 」
「無い…と思う。」
正直安心した。今まで自分の子供がいじめに遭ったときの対処についてなんて、深く考えたことが無かったのだ。
「やっぱりさ、あんな時は見ないふりがいいのかなぁ… 」
息子の問いに自分でも狼狽しているのがわかった。一番答えづらい言葉だったからだ。
心の中では、出来れば息子にはうまく立ち回って、いじめる側にもいじめられる側にもならないで平穏に過ごして欲しいと願っている。
ただ、それを父親として言っていいものなのか、仮に見て見ぬふりはいけないと言って、息子がいじめを注意していじめの対象となってしまったらとも考えてしまう。
「釣れないから、少し休むか。」
息子の問いに答えないままリールを巻いていく。
息子の「ん? 」という視線を感じたが、釣りの仕掛けをはずし、車のルーフに竿をしまい、替わりにケトルとガスバーナーを取り出した。
「カップ麺食べるぞ。」
息子は無言でリールを巻いて、仕掛けがついたまま竿を車に立てかけた。周りは、波の音とバナーのシューというガスの音だけになった。
星空の綺麗な穏やかな夜だった。
「さっきの話だけどな。」
バーナーの炎を見たまま、息子に顔を合わさないで話し始めた。
「おとうさんは、見て見ないふりがいいとは思わない、ただおまえがいじめている人を注意しろとは言えないなぁ。」
「それってさ、なんかずるくない? 」
「そうだなぁ、ずるいな。」
少しの沈黙の後、息子の顔をみて
「お父さんにも、答えが出せないんだ。」
「なんだそれ。」
息子は、ちょっと苛立った顔をみせた。
「さっきのコンビニでもさ、誰も何にも言わないんだよな、大人ってさ。」
「そうかもしれないな。」
「お父さんも、何にもしなかったしね。」
「お父さんはちゃんと見てたぞ、見ないふりはしてない。全てを保護することは出来ないさ、あの子も自分で解決すべきところもあったのかもしれないだろ。」
息子は黙ってしまった。
「お父さんの正直な意見を言うと、見て見ぬふりはして欲しくない。ちゃんとそのことについて考えて欲しい。仮にその場で何も出来なくても、何か自分に出来ることは無いかとか考えて欲しいな。でもな、無理はするなよ。自分に出来ることを考えてくれよ。」
息子が小さくうなずいた。そう話しながら、自分の中学の頃の出来事を思い出した。
「お父さんな、中学の頃に塾に通っていて、その中にちょっとグレてる生徒がいたんだ。夏休みの授業の時にその生徒が、扇風機を自分の方にだけ当たるようにしたんだよ。」
お湯をカップ麺にいれて、息子に渡した。
「お父さんには別の扇風機が当たっていたから関係なかったんだけど、友達の方には風がいかなくってな。」
「エアコンはなかったの。」
「そんなもんあるか。」
思わず笑ってしまいながら話を続けた。
「おとうさんな、その扇風機を首を振るようにボタンを押しに行ったんだよ。」
「えっ、不良のやつの? 」
「そうだよ。」
「仕返しされなかった? 」
「塾が終わって外に出たら、3人に囲まれてボコボコにされたよ。」
「まじ! 」
「でもな、一番悲しかったのは、かばったつもりの友達が逃げて行ったことかな。」
私は笑ったのだが、息子は笑わなかった。
「まず、自分がイジメにあったら立ち向かって欲しいな。自分に起こっていることから逃げるなよ。これは喧嘩に勝てって言ってるんじゃないぞ。イヤなものはイヤと意思表示して欲しい。それから俺に話してくれ。」
「お父さんに? 」
「そうだ、頼りないか? 」
「そんなことは無いけど、自分で解決しろって言われるのかと思った。」
「大人になってもイジメは無くならないさ。だから一緒になって考えよう。」
「大人でも? 」
「そうさ、だから一人で悩んだりするなよ。かっこ悪いとか思わなくっていい。お父さんだってかっこの悪い過去を話したんだからな。お父さんにはかっこ付けずに話せよ。」
私はちょっと照れくさくなって、まだ固いカップ麺をほぐし始めた。
「相談することができたら、また夜釣りに連れて来てよ。」
「夜釣りに行こうが合図だな。」
息子とこんな会話が出来たことが嬉しくて、心の中で思いっきり息子を抱きしめていた。
何があってもお前の味方だからな。
END

これは、文芸社の「親から子へ・・・」という書籍の公募に採用され、出版された時のものです。
子育てにおいて、釣りはあらためていいものだなと思い、子育期の方の何かのお役に立てば思い、むちゃくちゃ恥ずかしいですが、乗せてみました。
短編とはいえブログには長いですが、興味のある方だけどうぞ。
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合言葉~ 夜釣りに行こうよ~
今、息子と二人きりで一年ぶりに波止場で釣りをしている。夜風は涼しい。
波間に揺れている蛍光のウキをぼんやり見ていると、静かな時間がゆっくり流れていく。
ここは自宅から二時間程車を走らせなければいけないが、海の水も綺麗だし、車のそばで釣りが出来るので気に入っている。
「お父さん、なんか久しぶりだね。」
「そうだなぁ、この頃忙しかったからな。」
今年から中学生になった息子とは、よくこの波止場までアジの子を釣りに来ていた。
このところ私は、仕事が忙しくて家族をかえりみない父親になっていた。
数年前までは、家族で週末ごとに車に布団を詰め込んで、車の中で泊まりながら貧乏旅行をやっていたのだが、不景気でそんな心の余裕も無くしていた。
あれほど家族が一つになっていたのに、この頃はそれぞれの用事も出来はじめ、息子は週末しいえばクラブ活動、小学生の娘は習い事、妻はその付き添い、私は休日出勤と言った具合だ。
それは仕方ないことだと、頭の中ではわかっているが、少し仕事が落ち着くと、胸の中に寂しさが大きく広がってくる。
そんなことがあって、今日は息子にクラブを休ませて釣りに付き合わせているのだ。
息子は、短気なところもあるが優しい心の持ち主だと客観的に思っている。鈍くさいところもあるので、いじめの対象になるのではないかと心配もしている。
「なかなか釣れないね。」
「そうだなぁ、でもお父さんはこんな時間も好きだなぁ。」
「えーそうかなぁ、餌を取られたかな? 」
「学校はどうだ、楽しいか? 」
「うん、楽しいよ。」
「そっか。」
ふと、何かで読んだ父親の子供に対する言葉で多いのが「学校はどうだ? 」という言葉だったのを思い出して、嫌ってたはずの世間並みの父親だと思い情けなくなった。
「おとうさん、さっきコンビニでさ……」
「あぁ。」
「あれって、いじめだよね。」
夕食の調達のために立ち寄ったコンビニの駐車場の隅で、息子と同じ年頃の子供四人が一人の子を囲むように立っていたのだ。
息子はそのことを言っているようだ。
「そうだな、いじめだったかもしれないよな。」
私は、囲んでいた子供たちの陰湿ささえ、うかがえる表情にいじめを感じているからこそ、彼らの方をみながらタバコを吸っていたのだ。
しかし、息子の問いに対してあえて断定をしなかった。それは心のどこかで、触れたくない話題だったからだろう。
「お前のところでもイジメはあるのか? 」
「無い…と思う。」
正直安心した。今まで自分の子供がいじめに遭ったときの対処についてなんて、深く考えたことが無かったのだ。
「やっぱりさ、あんな時は見ないふりがいいのかなぁ… 」
息子の問いに自分でも狼狽しているのがわかった。一番答えづらい言葉だったからだ。
心の中では、出来れば息子にはうまく立ち回って、いじめる側にもいじめられる側にもならないで平穏に過ごして欲しいと願っている。
ただ、それを父親として言っていいものなのか、仮に見て見ぬふりはいけないと言って、息子がいじめを注意していじめの対象となってしまったらとも考えてしまう。
「釣れないから、少し休むか。」
息子の問いに答えないままリールを巻いていく。
息子の「ん? 」という視線を感じたが、釣りの仕掛けをはずし、車のルーフに竿をしまい、替わりにケトルとガスバーナーを取り出した。
「カップ麺食べるぞ。」
息子は無言でリールを巻いて、仕掛けがついたまま竿を車に立てかけた。周りは、波の音とバナーのシューというガスの音だけになった。
星空の綺麗な穏やかな夜だった。
「さっきの話だけどな。」
バーナーの炎を見たまま、息子に顔を合わさないで話し始めた。
「おとうさんは、見て見ないふりがいいとは思わない、ただおまえがいじめている人を注意しろとは言えないなぁ。」
「それってさ、なんかずるくない? 」
「そうだなぁ、ずるいな。」
少しの沈黙の後、息子の顔をみて
「お父さんにも、答えが出せないんだ。」
「なんだそれ。」
息子は、ちょっと苛立った顔をみせた。
「さっきのコンビニでもさ、誰も何にも言わないんだよな、大人ってさ。」
「そうかもしれないな。」
「お父さんも、何にもしなかったしね。」
「お父さんはちゃんと見てたぞ、見ないふりはしてない。全てを保護することは出来ないさ、あの子も自分で解決すべきところもあったのかもしれないだろ。」
息子は黙ってしまった。
「お父さんの正直な意見を言うと、見て見ぬふりはして欲しくない。ちゃんとそのことについて考えて欲しい。仮にその場で何も出来なくても、何か自分に出来ることは無いかとか考えて欲しいな。でもな、無理はするなよ。自分に出来ることを考えてくれよ。」
息子が小さくうなずいた。そう話しながら、自分の中学の頃の出来事を思い出した。
「お父さんな、中学の頃に塾に通っていて、その中にちょっとグレてる生徒がいたんだ。夏休みの授業の時にその生徒が、扇風機を自分の方にだけ当たるようにしたんだよ。」
お湯をカップ麺にいれて、息子に渡した。
「お父さんには別の扇風機が当たっていたから関係なかったんだけど、友達の方には風がいかなくってな。」
「エアコンはなかったの。」
「そんなもんあるか。」
思わず笑ってしまいながら話を続けた。
「おとうさんな、その扇風機を首を振るようにボタンを押しに行ったんだよ。」
「えっ、不良のやつの? 」
「そうだよ。」
「仕返しされなかった? 」
「塾が終わって外に出たら、3人に囲まれてボコボコにされたよ。」
「まじ! 」
「でもな、一番悲しかったのは、かばったつもりの友達が逃げて行ったことかな。」
私は笑ったのだが、息子は笑わなかった。
「まず、自分がイジメにあったら立ち向かって欲しいな。自分に起こっていることから逃げるなよ。これは喧嘩に勝てって言ってるんじゃないぞ。イヤなものはイヤと意思表示して欲しい。それから俺に話してくれ。」
「お父さんに? 」
「そうだ、頼りないか? 」
「そんなことは無いけど、自分で解決しろって言われるのかと思った。」
「大人になってもイジメは無くならないさ。だから一緒になって考えよう。」
「大人でも? 」
「そうさ、だから一人で悩んだりするなよ。かっこ悪いとか思わなくっていい。お父さんだってかっこの悪い過去を話したんだからな。お父さんにはかっこ付けずに話せよ。」
私はちょっと照れくさくなって、まだ固いカップ麺をほぐし始めた。
「相談することができたら、また夜釣りに連れて来てよ。」
「夜釣りに行こうが合図だな。」
息子とこんな会話が出来たことが嬉しくて、心の中で思いっきり息子を抱きしめていた。
何があってもお前の味方だからな。
END
- 2015年5月20日
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