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▼ かつて釣れた、という物語を増やしたくはないのです
「いやぁ、昔はよく釣れたんだけどなぁ」
そんな回顧録じみたセリフが飛び交う釣り場ほど、私は寂しさを覚える。

なぜか。
なぜならそれは、我々がまいた種によって失われた風景だからである。
たとえば、マナーの悪化で釣り禁止となった堤防。
あるいは、果てしない釣果自慢の末に、すっかり姿を消してしまった魚たち。
これらは神の機嫌ではないし、自然のいたずらでもない。
我々釣り人の、ちょっとした業(ごう)の積み重ねに過ぎない。

まずはマナーについて申そう。
釣り場にゴミを捨てる。
これは、愛してやまない水辺に対する、最大級の裏切りである。
漁港で漁師と揉めたという話も聞くが、それもまた、十中八九は「釣り人」という種族に対する長年の積もり積もったストレスの結果なのだろう。
「いきなり怒鳴られたんです!」という主張もある。
だが私はこう思う。人間関係における「いきなり」などこの世にそう多くは存在しない。
だいたいは、ちまちまと積もった何かがあるのだ。
ほんの少し、相手方の背景に思いを馳せる余裕を持ちたい。
ちなみに私は漁師さんに怒られたことがない。なぜなら礼を尽くすからである。
どんな礼か。いきなり酒でも酌み交わすのか?そうではない。
挨拶だけでも、人間関係という名の海はずいぶんと穏やかになるものだ。
それでも、どうにもこうにも話が通じない、こじれの化身のような方に出くわした場合は?
もう、潔くあきらめて他の釣り場へ旅立てばよい。
日本は広いのだ。こじれや場所に執着するより、魚に執着した方が健康的である。

さて、次は釣りすぎ問題である。
これはもう、自制と理性、あるいはルール。その中での揺れ動きの話だ。
私は陸っぱり派ではあるが、船釣りにも時折浮気する。
中でもバチコンアジング。あれはもう、釣れてしまうのである。
釣れる、釣れてしまう、釣れすぎて怖くなる。
楽しすぎる釣りだ。
実は一時期、束釣り(100匹越え)を狙い通い詰めた事もある。
しかし問いたい。100匹釣って、どうするのか。
冷蔵庫を満杯に?
冷凍庫をアジで埋め尽くし、ファラオの軍勢よろしく並べて悦に入る?
いや、ご近所に配るのか?それとも魚好きの親戚が自宅の周りに円を描くように住んでいるのか?
もちろん、住んでいない。
もちろん、人には人の事情がある。私の想像力では到底及ばぬ深い背景もあるかもしれない。
しかし、忘れてはならぬのは、釣りもまた、漁であるという事実。

そして漁には、確かな「圧力」がある。
ざっくりと算数をしてみよう。
1人30匹釣ったとして、10人乗りの船なら1便で300匹。
これが年間200日稼働すると……1年で60,000匹のアジが海から消える。
6万匹だ。これはもう、笑えない。
「たかが釣り」と思っていた背中に、じわじわと冷たい潮が迫ってくるのを感じないだろうか。
ましてやこんな船が全国にいくつもあるのだとしたら。
我々が思っているよりずっと、海には圧がかかっているのだ。
釣り船の集客方法も見直すべきではないかと思う。
「竿頭○○匹!」というアピールはわかりやすく魅力的だが、
1名あたりの上限匹数を定め、できれば「目標達成!船中全員個人上限に到達!」のような、
スマートな魅せ方をした方が、美学としても健やかである。
そして思うのだ。
この文章を読んで「それがどうした」と思うか、「これはまずい」と思うか。
それはきっと、その人の中にある釣り人としての流儀が問われているということなのではないか。
絶対の正解を論じているつもりは毛頭ない。
だがしかし、多少なりとも身近な問題提起はしているつもりだ。
最後に。
この手の話をする以上、妄想ではいかん。
根拠がなければ、ただの悲しき暗黒ポエムである。
というわけで、苦手な統計資料に脂汗を垂らしつつ、マアジの資源量についても調べた。結果はこうだ。
1996年:資源量ピーク(16.2万トン)
2022年:5.6万トンまで減少。約1/3以下。
若齢魚に偏っており、成熟魚(2歳以上)は少ない。
親魚量も低く、6.0万トン必要なところ2.6万トン。
漁獲圧は2020年まで過剰、2021年以降やや改善。
今後、漁獲圧を80%以下にまで抑え続ければ2031年までに回復可能性60%との試算。
こうしてみると、我々にできることは意外にあるように思う。
だからせめて、「かつて」の釣り場をこれ以上増やさぬように、今日も釣り場に立つ前に、少しだけ立ち止まりたい。
そんな回顧録じみたセリフが飛び交う釣り場ほど、私は寂しさを覚える。

なぜか。
なぜならそれは、我々がまいた種によって失われた風景だからである。
たとえば、マナーの悪化で釣り禁止となった堤防。
あるいは、果てしない釣果自慢の末に、すっかり姿を消してしまった魚たち。
これらは神の機嫌ではないし、自然のいたずらでもない。
我々釣り人の、ちょっとした業(ごう)の積み重ねに過ぎない。

まずはマナーについて申そう。
釣り場にゴミを捨てる。
これは、愛してやまない水辺に対する、最大級の裏切りである。
漁港で漁師と揉めたという話も聞くが、それもまた、十中八九は「釣り人」という種族に対する長年の積もり積もったストレスの結果なのだろう。
「いきなり怒鳴られたんです!」という主張もある。
だが私はこう思う。人間関係における「いきなり」などこの世にそう多くは存在しない。
だいたいは、ちまちまと積もった何かがあるのだ。
ほんの少し、相手方の背景に思いを馳せる余裕を持ちたい。
ちなみに私は漁師さんに怒られたことがない。なぜなら礼を尽くすからである。
どんな礼か。いきなり酒でも酌み交わすのか?そうではない。
挨拶だけでも、人間関係という名の海はずいぶんと穏やかになるものだ。
それでも、どうにもこうにも話が通じない、こじれの化身のような方に出くわした場合は?
もう、潔くあきらめて他の釣り場へ旅立てばよい。
日本は広いのだ。こじれや場所に執着するより、魚に執着した方が健康的である。

さて、次は釣りすぎ問題である。
これはもう、自制と理性、あるいはルール。その中での揺れ動きの話だ。
私は陸っぱり派ではあるが、船釣りにも時折浮気する。
中でもバチコンアジング。あれはもう、釣れてしまうのである。
釣れる、釣れてしまう、釣れすぎて怖くなる。
楽しすぎる釣りだ。
実は一時期、束釣り(100匹越え)を狙い通い詰めた事もある。
しかし問いたい。100匹釣って、どうするのか。
冷蔵庫を満杯に?
冷凍庫をアジで埋め尽くし、ファラオの軍勢よろしく並べて悦に入る?
いや、ご近所に配るのか?それとも魚好きの親戚が自宅の周りに円を描くように住んでいるのか?
もちろん、住んでいない。
もちろん、人には人の事情がある。私の想像力では到底及ばぬ深い背景もあるかもしれない。
しかし、忘れてはならぬのは、釣りもまた、漁であるという事実。

そして漁には、確かな「圧力」がある。
ざっくりと算数をしてみよう。
1人30匹釣ったとして、10人乗りの船なら1便で300匹。
これが年間200日稼働すると……1年で60,000匹のアジが海から消える。
6万匹だ。これはもう、笑えない。
「たかが釣り」と思っていた背中に、じわじわと冷たい潮が迫ってくるのを感じないだろうか。
ましてやこんな船が全国にいくつもあるのだとしたら。
我々が思っているよりずっと、海には圧がかかっているのだ。
釣り船の集客方法も見直すべきではないかと思う。
「竿頭○○匹!」というアピールはわかりやすく魅力的だが、
1名あたりの上限匹数を定め、できれば「目標達成!船中全員個人上限に到達!」のような、
スマートな魅せ方をした方が、美学としても健やかである。
そして思うのだ。
この文章を読んで「それがどうした」と思うか、「これはまずい」と思うか。
それはきっと、その人の中にある釣り人としての流儀が問われているということなのではないか。
絶対の正解を論じているつもりは毛頭ない。
だがしかし、多少なりとも身近な問題提起はしているつもりだ。
最後に。
この手の話をする以上、妄想ではいかん。
根拠がなければ、ただの悲しき暗黒ポエムである。
というわけで、苦手な統計資料に脂汗を垂らしつつ、マアジの資源量についても調べた。結果はこうだ。
1996年:資源量ピーク(16.2万トン)
2022年:5.6万トンまで減少。約1/3以下。
若齢魚に偏っており、成熟魚(2歳以上)は少ない。
親魚量も低く、6.0万トン必要なところ2.6万トン。
漁獲圧は2020年まで過剰、2021年以降やや改善。
今後、漁獲圧を80%以下にまで抑え続ければ2031年までに回復可能性60%との試算。
こうしてみると、我々にできることは意外にあるように思う。
だからせめて、「かつて」の釣り場をこれ以上増やさぬように、今日も釣り場に立つ前に、少しだけ立ち止まりたい。
- 4月17日 20:45
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