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古賀 亮介‐snif

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朝を待つあいだ

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行かない時間に巡る回想、祈りと祝いと。









2011年の春、石巻。
眩暈がして、耳鳴りがして、ついでに吐き気もするほどに、簡単で複雑で重苦しい申し訳なさと、多少のくだらなさと大きな無力さを混ぜこぜに感じた季節を過ごした。
だけど僕は笑っていた事も多かった。


泥掻きして、ありがとうね!なんて言われる度に、そんなもん、好き好んで来てるのに、そんなこと言われるもんだから、それは何処か複雑な気分で。

たまたま見ず知らずの人の家に訪ねて行って、泥掻き出来るだけの時間と体力があったから、善し悪しなんて関係なく、知りもせず。
とにかくやるだけやってみた数週間だった。



ボランティアチームに属すると、緩いバイトみたいな作業スケジュールでフラストレーションが溜まったから、自分には合わないと理解してすぐに抜け出して、もっとガツガツやれる場所に同行者と二人飛び込んだ。

飛び込んだ先は、偶然にも友人の友人が非難していたお寺で、
過去に、それなりに縁のあった別の友が育った街でもあった。

そこを拠点に置き、何日か。
雨や何かで作業の出来ない日には、
合間に仙台からの物資を避難所に運んだりしながら、
ただただ泥掻きをして過ごした。

救援物資のオニギリを自分たちの食料として分け与えられた事に疑問を感じたり、石原軍団の炊き出しが来た時に、その撮影のために、水なんか撒いて混乱を生むテレビ局と軽く喧嘩になったり。仮設風呂に入ったり。


そんな数週間を過ごして東京に帰る前の日、
桜の季節だったから、仙台の公園で花見をした。

酒もほとんどなくて、缶コーヒーで夜桜を見ながら、
現地の知人や、同行者と、色んな事を語り明かした。


『そういえば、今年は花見が全部、軒並み中止になったな。
まさか仙台でやるとは思いもしなかったよ。』

僕がぽつりと言うと、石巻の友人はこう切り返してきた。


『飲まなきゃやってらんねぇんだから、やるんだよ。
ロクに酒も手に入らなかった時期だって過ぎた。復興は始まった。
君らには悪いけどな。東京の人たちを見てると、自粛自粛って、見てて逆に辛くなるんだよね。今、これから頑張るしかないのに、そんなの見せられると、もう、何もする気が起きなくなるんだ。コッチに来てまでそんな事言ってるボランティアの学生がいたから、昨日こう言ってやったのよ。
お前らが流されちまえば良かったのに。ってな。』

とんでもない表現を耳にする。

が、笑ってんのか泣いてんのかよくわからない笑い方で、彼は笑い飛ばしていた。



自粛が何になる。
自粛だ哀悼だ、看板も、イベントも、何もかも必要以上に消して暗く静かに。
停電や節電の動きはあった。が、それ以上に、過剰に何でも自粛だと騒ぐ。
当時の東京を客観的に被災地から見ても、元気がない。



2011年の春、必死で生き抜く人々で仙台の街は生に満ちていた。
大変さなんてのは、実際そこに身を置いた人間にしかわからない事。

出来る事を探しながら、見つからない時間を過ごすのなら、
それぞれの人生を、それぞれの場所で必死に歩み進めるべきだろう。
そんな事を友と語って、僕らは別段再会を誓う事もなく別れた。

『がんばれよ。』
『お前らもな。』

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熊本に、大分に、宮崎に、福岡に佐賀に長崎に鹿児島に・・・いや、人に。

何が出来るのか。

今はただ、この先、復興していく時間で、
僕にできる事があれば、それを滞りなく果たすため、
僕は自分にできる事を、変わらずに精いっぱいで続けると。

いつかそう決めた意思と約束を、改めて握り返すこの数日でした。


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この小潮~長潮もジカタ回って調査の予定で居ました。が、
さすがに断続的に続く余震で、家族と離れるのは精神衛生上非常に良くない。

そんなマインドで釣りしたって本来の目的なんか半端になって、ただの作業になっちまうだろう。そんな釣りはゴメンだって事で、今週の夜の時間は、然るべき備えをして、家で嫁の人と過してました。

断続的に続く余震、久しぶりに地震酔いして、セルフ地震、緊急地震警報の空耳。いつとんでもないのが福岡にもくるかわからない不安で、寝入るのも怖いという嫁。


寝れずとも休んでもらうべく、朝までの寝ず番などしてたんですけど、
そうしてぽっかりと家で過ごす時間が出来たので、針を替えて過ごしてました。

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一度の釣行辺り、長くて4日。

僕のメバルプラッギングはランガンスタイルで、数投投げてはとっかえひっかえ。
そのまま洗わずにケースの中。
数時間のうちには次のポイントでまた投げて、とっかえひっかえ・・・
日中休憩して、また午後過ぎから朝まで3~4回使用・・・ってのを繰り返してコレ。
没頭してると洗う暇なんてない。
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これでもフッキングに影響の出るものは都度交換したり、応急で研いだり替えたり。
ヒドイ場合は一度の釣行の時間で後半に既に錆が出ていたり、
掛けすぎて針先が丸くなったり伸びてしまっていたり。

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この針は確か、最後に根掛かりを強引に外して針先が丸くなっていたんだった。

エリクサーで最初にコートしておいたんだけど、泳がすだけならほぼ無傷で錆びる事もない。けど、釣れば釣るほど、コーティングってのはどうしても剥げるし、気温差、湿度など鑑みれば、もっと朽ちてて当たり前なレベル。

このギリギリ使えるレベルで錆の進行が持っているのでも、結構凄い事だと思う。

錆びた針ってのも、刺さっちゃえば、滑り止め効果でバレなくなるし、悪い事ばかりでもないので賛否あって、どのタイミングで変えるかってのも、人それぞれかもしれない。
僕はプラグの場合は刺さればよし、折れる不安がない表面の錆は、あんまり気にしないです。
ええ、アジングの時のちょっとしたことを気にするような、細かい神経とは、全然違う思考回路かと思います。

そのかわり、針先とタックルバランスでの貫通力にはこだわりますけど。



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エリクサーのお風呂に入れてキレイに磨いて、次の準備。


針を変えたばかりのプラグを眺めながら手に取り、
朝を待つ、想いに耽る。




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もう、気づけば夜を越え、
カーテンの隙間から朝の始まる音が聞こえていた。

隣からは、変わらず静かな寝息が聞こえる。
今朝は少し穏やかだな。


片付けてそろそろ寝ようかというところで、ふと二つのルアーに手が止まる。

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空の蒼さと海の碧さを纏ったブルーブルー。
いつもふと思い出す、いつかみたような憧れの景色。
天気予報なんて見ちゃいないけど、今日も晴れるとそれだけで嬉しい。

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寒い冬から春への風を閉じ込めたスプリングスグリーン
これは雪が解け、春の訪れを告げる緑を祝うための歌。


このふたつは、なんだか希望に満ち溢れた色だと思う。


ゲン担ぎはあまりしない方だけど、
次の釣りはこいつらで釣れる魚を引き出してみたくなった。


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間もなく始まる大仕事。



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一歩ずつ、少しずつ。
確かめながら、ただただ前へ。

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どんな負荷にも負けたくない。
これは君の無事を祝うための祈り。


立ち止まる事は僕らには出来ない。



今、ただ単純に、目の前に並ぶ日常を。

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