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ルアー開発日記 タピオスF (その4)

  • カテゴリー:釣り具インプレ
その1はこちら↓
http://www.fimosw.com/u/yasutakak2/pgfhpcv6r7ytmv


先日のファーストトライで伝えた方向性に対し、坂本さんがパターンを組み合わせてサンプルを作ってくれました。
 
これ、サラリーマンテスターには、本当にありがたいことです。
 
何せ時間がありません。
もうね、これに付きます。
 
本職の仕事の力を抜くというのは、現在一切考えられることではありません。
ここ数日は、原価低減活動の報告書作りで徹夜続きでした。
 
趣味という位置付けでありながらも、仕事でルアーを作っているメーカーの開発プロセスに絡むという事が、単に釣り人としてのステイタスであるという思いの人もいるかと思いますが、私の場合はそこに想いはありません。
 
「物を作れるという喜び」が真ん中です。
だから頑張れるというのはあるのですが、自分のペースだけで進めるハンドメイドと異なり、樹脂ルアーを作るのはそのメーカーのプロジェクトの一部である事を忘れてはいけません。
 
メーカーの多くは、「何をいつ売る」という戦略をもって仕事をしています。
思い付きで始まっても、マーケティングで始まっても、それは必ず付きまとう現実です。
ただ、その予定が重要度でどの位置に来るかはメーカーによって異なります。
私が携わっているメーカーは、わりと寛大(笑)なメーカーばかりなのですが、それでもある程度のスケジューリングはされています。
 
じゃぁ、その発売時期の目標に合わせてすべてがうまくいくのか?と言われると、これは進めていかなくては判りません。
ただ、HALは、「作り手が納得行くのが大前提」と言ってくれるのはありがたいことです。
でも、甘えていい部分ではないのです。
 
タピオス立ち上げの時は、サンプル作成の1から10までを自分でやったので、時間はいくらあっても足りませんでしたが、いまはHALには開発担当という立場で坂本さんがいるので、方向性の指示を伝えると、仕事として作っといてくれます。
 

話しをして2週間でセカンドサンプル(絞り込み済み5タイプのプロト+α)が上がってきたので、テストをしました。
 chskhj3aowggcdjyvist_480_480-d3a8c1bc.jpg
テストは長丁場なので、サンドウィッチ食べながら一人でコツコツと。

細かいチェック項目を自分で決め、面倒でも一回一回ルアーを付け替えて、その項目だけを確認して記録していきます。
5サンプルで5チェックですから、25回のルアー交換。
ここまでは数値の記録がメイン。
その後に、引っかかった部分の感じをチェック。
これは気持ちのチェックなので文章となっていきます。
私はこの部分はかなり明確に分けるようにしています。
特に「なんとなくの気持ち」は嘘をつくので、必ず帰ってこれるように「現実の数値」は客観的判断のためにも必要となります。
 
正直いって、「魚釣れるから良し!」はかなり危ないのです。
ある程度のルアーなら、フィールド条件が合えば魚は簡単に釣れるものなので、それ以上に「魚が釣れる前の感覚や数値」がルアー作りには大事なのです。
というか、厳しい言い方をすると、「当然そのレベルにないならば、ルアー作りなんかできない」と思ってます。
「魚に効くアクションって何ですか?」と、初心者の方は思うでしょうが、それは確かにありますが、それは日替わりで変わります。
全てに合わせるルアーは「絶対にありません」と言い切ります。
ただ、「~~なフィールドで使いやすい」は絶対的にあるのです。
ルアー作りの肝の大半は、この部分に合わせることだと思います。
 
安易に「釣れるルアー」から脱していないと、この事には気が付きません。
そして、それに気が付けば、広告に踊らされることもありません。
 
さて、金曜日着で送ってくれたので、土曜の昼にはサンプルチェックでコメントを出します。
忙しいゆえに、できる時間を作って即実行。
このレスポンスは、ルアー作りだけではなくあらゆる仕事で、最も大事なことです。
 
次回海水テストまでに1週間あるので、現段階の考えをまとめておきます。
考えるのはいつでもできますが、フィールドテストは少ない貴重な機会(多いから良いって問題でもないけど)なので、一回のテストで多くの事を拾い上げていきます。
 
迷ったら、数値に変える。
そしてまた泳がせる。
 
それを繰り返すと、方向性が見えてきます。
方向性とは、「作るべきもの」の事を指します。
よって、次にいじる部分が答えとして出てきます。
 
ただ、今回はボディーの変更はできません。
ゼロベースの場合は、ウェイトでつけられない部分を、ボディーをいじって中間を捕まえることも出来ますが、それができないウェイト違いってのは、本当に難しい作業だと痛感します。
AとBのウェイトの中間が欲しい時に、Aにしてリップをもっと掴ませる・・・とか、できないので。。。
 
さて、前回の最後に書いた、モザイクの話し、ここまで読んでお分かりいただけましたでしょうか。
ブランクも決まって微調整段階なのに、ルアーにモザイクを掛けたくなる理由。
 
それは、スケジューリングと開発の仕上がり状況のバランスなのです。
 
ルアー業界、とにかくパクリは横行しています。
ちょっと節操ないほど、それをやるメーカーはやってきます。
 
真面目にマーケティングもやって、開発も一生懸命にやると、リリースするまでにとっかかりから1年たつのなんて普通にあり得ることです。
そうやって進めているプロジェクトを、平気でパクります。
 
ただ、ルアーというものはそもそも、パクリではないメーカーはいないのです。
小魚の形して、針が付いて、リップが付いて・・・という形状の部分は、それこそもはや「本当は誰のオリジナル?」と聞かれても判りません。
また、「良い思うものを自社でも作りたい」というのは誰もが思う事ですし、少しでも安く作って下をくぐるのも、企業努力の一つです。
 
ここでいう「最近のパクリ」とは、「売るための仕掛け」そのものをコピーしていくのが、恐ろしく速いのです。
 
オリジナリティーで「これが欲しい」とおもってコツコツ進めてきたものを、表に出した瞬間に、さも「自社が開発してきました!私が最初にやりました!」的な売り方をしてかぶせてくるメーカーが多くあります。
しかも、残念ながらそれなりに売っていく力があるメーカーがそれをやるのです。
 
やっとマーケット作れてきたと思ったら、後出しで持ってかれちゃった。
真面目にやってると、悲しくなる・・・(某メーカー関係者)
 
でも、これは事実として仕方ないのです。
法律上の問題もなく、自由競争の上で行われている事ならば、もちろん善悪ではありません。
個人的に「私はそういうのを好まない」と言うだけです。
 
では、先行開発(モノだけではなく、プロジェクトも含む)を頑張っているメーカーがどうするか。
その一つが、モザイクだったりします。
 
「モザイク欠けるぐらいなら表に出すなよ」と思う人も多いと思います。
でも、「新しいこと進めてます」というメーカーからのアピールはしたいのです。
そもそも、そこを含めてユザーヘアピールすることができるのは、実は先行開発メーカーの特権でもあるのです
 
完成品かリリースされたものを買ってきて、メジャー当てて製品図面起こして、ちょこっといじっただけで「新製品作りました」をやってるメーカーにはできません。
 
余談ですが、私の本職(プラスチック射出成型&金型作成)の力を使うと、仮にタピオスをパクるならば、1か月で可能です。
 
製品を買ってきて、図面(製品)起こすのに2日。
型図で2日。
ベース&部品は外部発注して納期は1週間として、その間に製品部の加工。
ベース来たら組みつけ&調整で2日。
出来上がったら成形トライ&測定で1日。
翌日に修正して、成形品打ち出し。
24h後(製品寸法が落ち着くのに24時間は必要)サンプルに部材組み込んで、色ぬって出来上がり。
ここまでで17日ぐらい。
成型は、まぁ1Shot30秒で、10000個作るのに4日以下です。
組み付け・塗装・パッケージングは別途ですが、何も考えずにパクッて物を売るのに掛かる時間はたった1か月です。
広告入れとかのプロモーションは、「もっと」また別です。
まぁ、実際には、開発メーカーよりも先の発売を狙うなら、その狙っている製品のサンプルをOEM先から内緒で入手して・・・なんて事も必要ですが、これは立派な犯罪となる可能性があります。
まぁ、契約の仕方次第でしょうが。
 
ちなみにもっと荒業で、OEM先の金型が一緒でブランクは流出とか、CADデータは一緒で別型です!とかも横行しています。
そういうのを認めちゃダメでしょ、絶対に。
 
なお、通常は、金型は作った(お金を出した)メーカーの資産となってます。
その資産を成形屋へ貸して成形をします。
ですから、その金型で作ったものを勝手に、別の会社へ売るという事は犯罪にあたります。
あ、ちなみに金型減価償却は通常2年。
ですから稀に、「24か月の生産には金型製作費を成形品へONして高く買う。その代わりに金型代はタダにしてね」というパターンもあります。
この場合は、金型資産は成形屋さんの物となります。
 
まぁ、商売には色々ありますから、どれが正解というものはありません。
 
ただ、開発まじめにやってるメーカーからすると、パクられた製品で後出しじゃんけんされるのは「面白いと思うはずがない」のです。
誇大広告で押切の正義をやるのをみると、面白くないどころか怒りすら湧きます。
 
でも、止める手立てはないのよね(涙)
 
ただこれだけは言える。
「真面目にやっているメーカーを生き残らせないと、将来的にろくなものが生み出されない」のだと。
 
それを支えるのは、ユーザーなんです。
 
だいぶ脇道それたので、次回はフィールドテスト実釣編です。
数値化された脳みそを、フィールドへ当てはめて修正していきます。
 
 
 

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