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発泡樹脂

  • ジャンル:日記/一般
前回に少し触れました、発泡樹脂を使ったハンドメイドの話し。
10数年前に一度手を出して断念したと前回言いましたが、その話しの前に「そもそも発泡樹脂とは?」の話を少し。
 
発泡樹脂とは、基本的にはプラスチック等の樹脂です。
それを「何かしらの手段で発泡(空気を含ませる)」させたものを言います。
元の質量から何倍にも発泡するので、性質としては「軽い」ことや「緩衝性が良い」という物です。
 
よく使われるのに、家屋の断熱材や自動車のフレームに注入されたりします。
私が最初にこの発泡樹脂に手を付けたのは、バイクのフレームへの発泡ウレタン注入でした。
 
当時、フレーム剛性を上げる手段は、スポット溶接の数を増やす「スポット増し」が主流でしたが、そこに登場したのが発泡ウレタンの注入と言う方法でした。
確か当時は、建築資材用の物を試したと思います。
けっか、剛性は上がりましたが、曲がらないバイクになりました(笑)
おまけにスポット溶接が内側の発泡に耐えられず、一部剥がれてしまいましたので、完全な失敗です。
 
その時感じたのは、発泡した時に体積の増加率(要するに、その液体が何倍になるのか)に対し、注入したい空間の量(この時はフレーム中側の体積)が把握できないとむずかしいなぁ・・・という事でした。
 
そんな難題もやれるわけではないので、もう次はやらないなぁ・・・と、あきらめました。
 
その数年後に、懲りずに発泡樹脂を使ってのルアー作製に挑戦しました。
そしてまた、挫折したのですが、その時のやり方を話します。
 
まず、適当に作りたい形のモック(原形)を作りました。
普通のミノーです。
型(発泡剤を注入する為の物)は信越化学のシリコンを使いました。
このあたりの工程は、昔デザイン系のお勉強をしていたので、その時の造形の授業で習っていたので何とかなりました。
 
で、型も出来て、さっそく発泡樹脂を入れました。
この時はいくつかの種類の発泡樹脂を購入しました。
今思うと、この準備の段階までに、ルアーが20個は変えますw
 
何度も何度もトライをしましたが、ひとつ決定的な致命傷が発生しました。
それは、強烈なボイド(気泡)がルアー内部に発生してしまうのです。
これはガス抜き(注入に対し、ガスが逃げる場所)や、ゲート位置(注入口)で改善できるはずだ!という事で、本業の樹脂成型並みにトライ&エラーを繰り返しました。
 
しかし、満足のいくものが出来ませんでした。
ごくまれに、形になるものが在るのですが、それは「発泡しなかった分量(発泡剤は2液です)」の時に起きるので、重量が重たい為に「発泡樹脂を使う意味が全くない」と言う失敗です。
 
また、意外なほど強度が無い事も知りました。
特に細長い形状の真横からの負荷には弱く、パスタのようにポキポキ折れました。
形状もヒケ(冷えていく過程で樹脂が縮む現象があり、製品の肉厚部にポコっと凹みが出来る。これはABS正のルアーでも起きる現象で、樹脂屋の技術の問題もあります)が発生したりしなかったりと安定せず、そもそもバルサ加工ではなく発泡樹脂を選んだ理由が「安定して同じ形状同じ重さの物を複製したい」という事なので、まったく意味をなさないゴミを大量に生産しました。
 
手間暇を抜いても、たぶんルアー40個ほどは買えるぐらいの資金投入をしました。
そして諦めました(笑)
 
で、それからは、「やっぱりバルサだね」と言いながら、ハンドメイドルアーを作って遊んでいたのです。
そんなある日、先日作ったルアーが良い出来だったこともあり、何人かの仲間が使ってみたいと言ってくれました。
 
とてもうれしい話です。
が、知ってますか?
バルサでビックルアーを作ると、ものすごくバラツキが大きく出るんです(涙)
 
しかも、重量違いでいくつか作った中で、欲しいと言った人たちのほとんどが同じものを良いというのです。
 
あぁ、という事は、やはりこのアクションなんだなぁ~というか、コンセプトがでっかいリップレスクランクなので、そりゃぁ当たり前かw的な事でした。
 
で、前回は挫折したけど、年末年始に時間が出来たから、本腰入れて作ってみるかぁ~と言う訳でした。
 
まずは改めて発泡樹脂のことを勉強しました。
あれこれとググったりもしましたが、本業(樹脂成型)の方のいろんな業界資料なども読み漁り、そもそもルアーに最適な発泡樹脂を探しました。
 
で、やっぱりそういうのをちゃんと御商売にされている方が居るんですね。
 
ライガ
http://raiga.jp/
 
↑これでいいじゃん・・・と言う結論になりました。
 
正直いうと、コスト高ではあるのです。
ただそれは、大量に作りたい場合は・・・です。
 
趣味でルアーを何個か作るかなぁ程度の数量の場合は、使いキリが基本なので少量購入になるとそれほど割高ではありません。
まぁフィラー(発泡を安定させるための混入材)ぐらいかな。
原価計算表を作ると、50個作るあたりから逆転しますね(笑)
 
さっそく「初心者全部乗せキット」みたいなのが有るので購入し、手元ハンドメと新しくちょっと作ってみたい形状のモックを作り、シリコン型を起こして一発目の成形(T0)までが3日ぐらい。
そこからアクションテスト確認して、ウェイト幅の変更品を3回ぐらいやって正月が明けました。
 
まず感想として、このキットはよくできているなぁ・・・と。
もしも発泡樹脂で作ってみたいなら、ほんとこれ買えばいいんじゃないかなと。
 
具体的な作り方等は、あっちこっちに情報もあるし、何よりも製品におまけで着いてくる資料が解りやすいので省きます。
現段階で、非常に満足しているのは、「かなりの肉厚でもヒケが起こらない事」です。
これが本当の生命線かと。
よって、重量のバラツキも少ないのですが、どうも温度が(もしくは湿度)が少し悪さをするときが有るかも知れないなぁ・・・と言うのも解ってきました。
 
これはどんな樹脂でも一緒ですから、管理していけばいいだけです。
ちなみに、その後の塗装工程等はやはり通常のハンドメイドルアー作製の技術と同じものが必要です。
 
ひとつ、あぁやっぱり発泡樹脂はこれが弱点か・・・と思うのは、柔軟性がある事です。
表面硬さではなく、ソリッドゆえの柔軟性というか・・・細身や薄いルアーは、力を入れると柔らかく曲がります。
 
これで何が起きるかと言うと、アルミ箔をどんなに綺麗に張ってもすぐにシワが出来ます(涙)
フラットサイドの薄い奴は、片側張り終えた後に裏側で「アルミを伸ばす為に力を入れる」と、さっき張った方が見事にしわが入ります。
 
まぁこのあたりは「技術」か「素材」でもうすこし頑張ってみますが、現段階では課題として残りました。
 
と、ココまでで休みが終わり、お仕事が始まったので放置しています。
試行錯誤していると、時間がたつのはあっという間。
 
コロナ明けまでには、実践投入レベルを作れたらいいなぁ♪
 

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