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▼ 【関東】 メーター 10kg 【祝福】
- ジャンル:釣行記
あの日の旧江戸で、確かにそれは限りなく近づいた・・・・
思い出を熱く語る骨さん
容赦なく唸りを上げるドラグ
必死で詰めた間合いは、暴力的なトルクで再び振り出しへ
バットエンドをわき腹へあて、極限のカーブを描くロッド
東京湾奥、ちゃんとやってりゃ80cmは釣れる
最前線で数多く、そのサイズをとってきた彼は直感的に思った
「これはメーター行った!」
しかし無残にも、そのストーリーの結論は望んだ形ではなく、あと僅かのところで手からヌルりと滑り落ちる事となる
破綻したPEが風に吹かれて宙を舞う
その姿は最後まで見えなかった・・・
3年前の話である
今年 6月某日
貴重な梅雨の晴れ間に、ここぞとばかりにウェットスーツとウェーダーを洗濯する日
貴重な梅雨の晴れ間に、ここぞとばかりにウェットスーツとウェーダーを洗濯する日
13:00
骨さんから電話があり、他愛の無い世間話しをした後に、軽く釣りへと誘う
場所はココ数ヶ月一人で開拓してきた、関東河川中上流域のフラットシャロー
開拓と言っても、魚の反応を獲るのではなく、それ以前の地形・流れ、そしてエントリーポイントを見つけることである
ただ、「ついに見つけた!」という手ごたえはあった
夏の魚を獲りに行きたい
そろそろ入ってきても良いのではないかと思い、1週間前にスズキ☆さんを誘っていた
当然、、優しい釣りではない
確率も何も、まずはそこがただ通りすぎる場所なのか?それとも一息つける場所なのかも解らない
そういう釣りだけど、僅か数キロはなれた場所の去年の結果を考えれば、確実に夢は在る
骨さんは快く、一緒に行く事を承知した
18:00
先に合流したスズキ☆さんへ、明るいうちにポイントを見てもらう為に、高速を急いで走った
骨さんは19:00に店を閉めるということで、暗くなってから現地近くで合流という事に
18:59
かろうじて明るい時間にポイントへ到着し、入水せずにスズキ☆さんと視察
「なるほど、これは行けそうな場所ですね」と、経験豊富なベテランも頷く
水辺には、まだ新しい大型の獣の足跡
用心深い彼らは、無用な動きをしない
恐らく何か、絶対的な欲求の元に、ココへ足を運んだはず
全体的な水の動きと、エントリー位置を確認し、一旦川からはなれて骨さんとの合流場所で準備をしながら待機
21:05
骨さんと無事合流し、3人でポイントへエントリー
ヒザ下ほどの場所から本流筋をまき巻き込み、一気に流れが加速する
水はやや冷たい
「ネオプレーンでも良かったな・・・」と、骨さんがつぶやく
22:00
何かが絡みつくようなバイトを数回
しかしヒットせず
期待が高まる
22:15
下流アウトベントの闇に消えていたスズキ☆さんが戻ってきて開口一番
「このエリア、やっぱり何か居るよ・・・」
3人で並び、黙々とキャストを繰り返す
シーズン走りの魚はデカイ
そして、そういう意味の魚が釣れる時は、やはり今日のように小さい魚の気配は消える
出るなら・・・
デカいはず・・・
22:26
骨さんにヒット
流芯へ流し込んだバイブに、突如襲い掛かった魚
関東一の太い流れは、容赦なくリールからラインを引き出していく
それを見て、すぐにサポートが必要な魚と解る
言葉に出す事もなくスズキ☆さんも、すぐさま流し込んでいたルアーを回収し、立ち位置を変えて骨さんのサイドへ回り込んだ
両脇からアシスト
「3年前と同じ引きだ!」と骨さんは叫んだ
フローハントは美しく曲がる
それは道具としてのロッドが、最大限評価される獲物と向き合っている証拠
使い切る直前の、刹那的な美しさ
「骨さん、それ以上下流には行くな!」
そのポイントの流れ出す位置でさっきまで釣りをしていたスズキ☆さんが、的確な誘導ルートとランディング場所を指示する
フック、スナップ、ライン、ドラグ、ロッド
全ての道具は高い次元でバランスし、最終的に「獲れるか獲れないか」はアングラーの体力と技術にゆだねられる
「3年前、PEラインを引きちぎった魚と同等、いや、それ以上かもしれない・・・」
「悔しかった。獲りたかった。そしてそれを獲ってきた人たちを尊敬した」と話していた骨さんは、今この場所であの夜の再現をしている
一進一退の攻防
やがて、口から出た言葉
「もう良いかな・・・」
自分の限界を大きく超える魚と向き会うと、アングラーはそう思ってしまうときがある
恋焦がれ、大金を積み上げてきてもなお、その直前に「もう良いかな・・・」と迷う時が在る
これは、そこのレベルの魚と向き合った人にしか解らない
近年はマグロやGTで、その姿を見た人は多いだろう
その心の葛藤を見抜くように、魚は流れをつかみ加速する。
さらに心は迷う
「獲れなくてもいい?」
しかし、それを許さないのは私とスズキ☆さん。
「だめだ!がんばれ!ココまで来たら必ず獲れる!」
辛かった。
疲れた。
悲しい。
それに対し、「大変だったね、頑張ったね」は誰でも言える。
「少し休みなよ、体を大切にね」も、使って困る言葉ではない。
心の迷いから出る「辛い」に対し、「うるせぇ、がんばれ、休むんじゃネェ!」と言うことはとても難しいし危ない。
でも、もしもその釣り人がそれを目指すというならば、そこの迷いを振り払い叱咤激励するのが本当の仲間なんじゃないだろうか。
腹部にめり込むロッドの圧力に耐え、歯を食いしばりながらの戦い。
でも、自分が苦しい時は、相手も必ず苦しいのだ。
必ず勝機は見出せる。
一瞬、魚が浮いた!
ズドシャッ!と音を響かせ、水面を割るその姿は、禍々しい神の姿でもある。
一言で言うなら、怒り。
けして神々しいとはいえない。
3年前は見る事が出来なかったその魚を、骨さんはやっと視野に捉える。
あの夜は勝負から降りた。
しかし今夜は降りない。
この先は引力。
人は、目標物を目に捉えた瞬間に、限界値を超えてゾーンへ入る事が出来る。
音と色の無い世界。
主役は骨さんであり、私達はサポート。
それでも三人は、確実に1つの命に向き合い、それを認めあえた。
22:31
スズキ☆さんの出したフィッシュグリップへ、その巨大魚の口が吸い込まれるように挟まれた。
最後の抵抗で手首を壊されそうになるが、ここで離してしまうほど彼は優しいアングラーではない。
骨さんの為に歯を食いしばって耐える。
骨さんの為に歯を食いしばって耐える。
やがて浅瀬に横たわる巨大魚の呼吸音で、やっと私達の耳に本来の世界が帰ってきた。
今、改めて、画像の整理をしたが、15分と思っていたその時間はたったの5分でしかない。
人はゾーンに入ると、時間軸が狂う。
その素晴らしき出逢いは、一方通行の恋愛となんら変わらない。
しかし、一回だけのその交わりは、雄の心を満たす事に十分である。
ただ思うのは、最後まであきらめなかった骨さんへの祝福だけが本物であり、あのゾーンは見させてもらったもの。
アングラーとしての夢の前では、私達は脇役でしかない。
さぁ、勝利のブツ持ちだ!!
congratulation!
震える手には、もはや魚というよりも獣。
そして大量のヌメヌメ。
そして大量のヌメヌメ。
「せ、精子がライジャケにぃぃぃ・・・(涙)」
大物釣りの1つのラインである「メーター 10kg」の壁。
それを友人が破った瞬間に立ち会えた事を誇りに思う。
- 2012年6月22日
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魚というものに順位・優劣はなく、
まして、外道などとののしる輩を釣り師とはいわない。
魚釣りの楽しみは人それぞれ。
他人の価値観など、強制されるものではない。
長年、追い求めていた夢に辿り着いた骨さん、おめでとうございます。
素敵な感動を、ありのままに伝えたかった工藤さんの素直な心が文面からあふれておりました。
なお、ツギハ、シッカリトムネニダキシメタシャシンヲバ、ゼヒニ。
某記者その1