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▼ ロッドのお話 その1(その2があるかは未定です) by 松本太郎
アピアの松本です。
お客様より製品に関するご質問をいただく際に、最近ではブランク及びカーボンシートの素材に関する部分にまでご興味が至る方も多くおられますので、少しばかり‘ロッドの性格に関するおハナシ’をしてみようかと思います。
もちろん、より踏み込んだトコロにご興味がおありの方は、私が稚拙なご説明を差し上げるより、後述の素材供給メーカーさんのWEBサイトなどをご覧になられてみるほうが、面白いと思いますがw
まずはブランクを形成するための素材(すなわち、カーボンです)、の原料となる
‘炭素繊維’をとりまく簡単なお話から。
昨今、原油価格が高騰し、航空機や高級乗用車などで燃料効率を上げるため、
‘軽くて強い’という特性を持つカーボンが引っ張りだことなっているのは皆さんご存知の通りです。
カーボンといえば、釣り竿は勿論、ゴルフクラブやテニスのラケットなどレジャー関連の需要も多く、様々な利用方法がありますが、その優れた素材特性から90年代以降、先の航空産業などの需要が大きく伸び、2006年頃、2万5千㌧くらいだった炭素繊維の世界需要は昨年では4万㌧程度、2020年には14万㌧くらいになるとの予測もされているそうです。
どれ位の質量なのか、想像もつきませんね。
で、その炭素繊維をもとにロッドの素材となる、いつも私どもが‘プリプレグ’と呼ぶ
カーボンシートが作られるのですが、そもそも炭素繊維とは…
特殊なアクリル繊維を焼いて作られ、アルミのおよそ1/2、鉄の1/5という軽さでありながら、強度は鉄の約10倍とも言われる高機能素材であり、プラスチックなどと合成する形で使われることが多い。
と、いうのが一般的な炭素繊維(カーボン)に対する認識だと思います。ですが、意外と知られていないのは、これらの炭素繊維生産量における世界シェアの実に‘約7割’を日本国内の供給メーカー3社(東レさん、東邦テナックスさん、三菱レイヨンさん)及び、それらの関連企業が占めているということです。
これは今後の釣竿市場の動向にも大きく関与するキーポイントです。
例えば、米・ボーイング社などに代表される大型旅客機にも多くは日本の技術が盛り込まれたカーボンが用いられているワケです。
近年、東レさんのカーボンが次世代旅客機「ボーイングB787」の構造材として採用され、胴体及び、主翼など機体の約50%でカーボン材料が使用されたことで(*1)
軽量化と燃費性能向上に大きく貢献したことは、大きな話題となりました。
*1 一機あたりに用いられる量はなんと30㌧前後!
では、炭素繊維がどのようにカーボンシートになるのか?
釣り雑誌でも、図解つきでロッドメイキングの流れを紹介する記事などでご存知の方も多いと思われますが、一言で表せば、
糸状の炭素繊維を織物状に成形し、熱硬化性樹脂(*2)を含浸させたもの、
がブランクの素材となるカーボンシートになります。
*2これも皆さんお聞きになられたコトがあると思いますが‘レジン’のことです。プリプレグがよく、‘生ものである’と揶揄される所以については、このレジンが大きな関係があります。
写真は離型剤を塗布したフィルムで覆われ、ロール状にして保管してあるカーボンシート。要冷蔵です。

で、カーボンシート本体自体は、それこそ無数のバリエーションと特性が存在する
最新技術の塊であり、当然、炭素繊維の生産工程や、カーボンシートの生産工程そのものは技術の流出防止にかなりの神経を使うものであるコトが知られています。
と、いうのがカーボンシートの原料である炭素繊維及び、プリプレグの極めて簡単なお話です。
少し端折りすぎましたか?
こうして作られる特性(個性?)のあるカーボンシートそれぞれに、弾性率(○○㌧カーボンというアレです。)やレジンの種類/含有率などの要素が加わることで一本のブランクを形成するタメに、素材だけでも膨大な選択肢が出来上がるわけなのですが、それぞれのロッドのコンセプトに応じ、どのように素材の持ち味を引き出すかを考え、適切な素材を選定しなければならないのです。
写真がブランクの材料となるプリプレグ(以下、カーボンシート)・・・の原料となる炭素繊維です。
炭素繊維自体はタールなどで作られるものもあるのですが、私達が製作するロッドに使用するブランクはもちろん、航空機などをはじめとする産業用途に使われているものはポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維と呼ばれるものです。
コレはアクリル繊維を高温で焼成して作られるもので、極めて細い繊維を作ることが出来るのが特徴です。
ロッドを作るためのカーボンシートは非常に繊細なもので、生鮮食品並み?!の鮮度の管理(温度/湿度)を要求されます。
但し、単純に高価な素材であればいいロッドが作れる、というほど単純なものではないことがロッドメイキングを難しくも面白くさせるトコロ。
製品のご紹介をさせていただくときに、私どもに限らず多くのロッドメーカーさんが‘用途・目的に応じて適切な素材を厳選して・・・’という表現を用いることがあるのですが、端的には要求される特性、成形性などによって、炭素繊維/樹脂(レジン)の種類と単位面積あたりの繊維重量(目付)を考慮してプリプレグの品種を選択しなければならないということであります。
ここまでするのは、多くの場合、窯及びブランク設計士が所属するメーカーさんに限られますが。ちなみに業界に数多おられる‘ロッドデザイナーさん’と‘ブランク設計士’はまったく別の職業です。
プリプレグの厚みの多品種化や、高繊維含有率化、新しい樹脂開発など、素材供給メーカーさんの技術の研鑽はそのまま、私たちアングラーの希望の種となるわけです。
これは・・・以前、お世話になった名伯楽の受け売りなのですが、
ドンブリ(器)に対して、麺の多いラーメンなのかツユの多いラーメンなのか。
肉汁の多い中華まんなのか、肉汁の少ない中華まんなのか。
皮の薄い中華まんなのか、皮の厚い中華まんなのか。(?)
などといった表現で、ブランク素材の質感を端的に捉えていただけるのではないでしょうかw
カーボンシートの樹脂(レジン)の含有量は、皆さんがイメージされているよりも‘多い’と思われますが、一般的に低レジンのタイプや通常の含有率のもの、
それぞれに一長一短がありますので、求むる要素に応じた素材自体の特性バランスも極めて重要な要素、ということになります。
先にご紹介した写真の通り、炭素繊維を髪の毛と例えれば、
・髪の毛をセットする際にヘアスプレーでセットするのが低レジン→ふわっと軽く仕上がる
・ジェルでセットするのが通常のレジン量のもの→セット力が極めて高い
とイメージしてただくことでそのニュアンスの一端を捉えていただけると思います。
写真はキュア(焼成)工程を経て、テーピングを剥がす前のブランク。テーピングの隙間からレジンが汗のように滲み出ているのがお分かりいただけると思います。ちなみにこの余剰のレジンが硬化したものが、アンサンドフィニッシュの凸凹を形成しています。一般的な塗装塗膜よりも表面硬度が高く、小キズにも強いというメリットもあります。
昨今、よく耳にする
‘トン数が高ければ・・・、低ければ・・・。’
という弾性率にまつわるお話でも、多くの方が抱いている一般的な認識に当てはまらないことも往々にしてあるのも面白いトコロです。
高弾性→薄巻き?(プライ数*3が少)、軽い、張りがある、折れやすい
低弾性→厚巻き?(プライ数*3が多)、重い、粘り強い、折れ難い
などなどが、それぞれ素材の特性として多くの方が抱かれるイメージだと思いますが、実際にはプリプレグ自体が薄手の高弾性素材こそ、プライ数(*3 マンドレルに巻きつける回数)を増やしてあげたり、繊維径の太いタイプのプリプレグであれば、プライ数を減らしてもある程度、しっかりした強度が保持できたりと、様々の要素・用途に、設計や製法、製竿技術が複雑に絡んでくることで、よりよいブランクを形成することが可能になります。
また、よく言われる‘ねじれ・つぶれ’に対する課題に対する施策彼是ですが、この数年で始まったことでもなんでもなく、一方向カーボン素材によるロッドメイキングは物理的に周方向強度(*)が不足しがちで‘つぶれに弱い’‘座屈強度が低い’といったことに黎明期から着目されており、グラススクリムによる形態保持性や作業性、そして、周方向強度(フープ層)にかかる周方向補強など施されるようになったのちには、極めて薄手のプリプレグの登場がより‘つぶれ防止’のために大きな役割を果たすようになりました。この辺のお話については、機会があれば、また。

使用感の優れたブランクの製作にあたって基本的な考え方の一つは用途に見合ったテーパーバランスの見極めによるブランクの無駄な運動量を省く、ということなのですが、 この辺については、バット径の太いグラスファイバー製のバスロッドなどを見ていただけるとより分かりやすいと思います。
ここをご覧の方はソルトルアーフィッシャーマンが多いと思いますので、こうしたロッドをお手にされたことのある方は少ないかもしれませんが、最近のグラスロッドは驚くべき軽量感を備えた仕上がりのものも多く見られます。
ハイテーパーもしくはステップテーパーなどと呼ぶ手法ですが、プライ数(シートの積層数)を少なくしても、バット径を大きくしてあげることで強度が保持できるよう設計するものであり、グラス素材のしなやかさを活かしつつ、最大の欠点である素材自体の重量バランスを手元に持ってくることで、軽量感を体感できるようにしているものです。
余談ですが、近年見かけたグラス製バスロッドの特性に関する記述で‘負荷に対して、ゆっくり(ティップが)入ってゆっくり戻る’というものがございましたが、正確には‘早くティップが入る’というのがグラスロッドの特性と言えます。早くティップが入る→しなやか、柔らかさ、ということです。これは低弾性カーボンや食い込みを重視したタイプのソリッドティップなども同じ表現でそのテイストをイメージしていただくことが可能です。
最近では設計次第で中弾性素材を用いても、一瞥して高弾性素材のような軽さや張りを感じられるブランクを作ることも可能です。
一時の釣竿市場では、軽量化に努めるあまり最低限必要な質量も削減してしまったが故に、本質的に必要なパワーや粘りが脆弱なロッドも見受けられましたが、ロッドメイキングの全市場的な技術向上が認められるようになってきた現在では、バスロッドやシーバスロッドぐらいまではこうしたものでも充分’釣り’にはなってしまうワケです。
逆に、高い技術をもって高弾性素材の特性でもある張りや軽さを粘り強さや剛性に転化することも高い次元で可能となっています。この辺りは個々のロッドメーカーの意図するところやコンセプトの違いとなって表れるものであり、アングラーがそれぞれのスタイルに応じて自由に選択をしていただければよいと思います。
いずれにしても、良いサカナといい板前さんが揃って、初めて美味いものが出来る、ということが、ロッドメイキングにおいても言えるワケです。
愛情も大事な要素です♪
お客様より製品に関するご質問をいただく際に、最近ではブランク及びカーボンシートの素材に関する部分にまでご興味が至る方も多くおられますので、少しばかり‘ロッドの性格に関するおハナシ’をしてみようかと思います。
もちろん、より踏み込んだトコロにご興味がおありの方は、私が稚拙なご説明を差し上げるより、後述の素材供給メーカーさんのWEBサイトなどをご覧になられてみるほうが、面白いと思いますがw
まずはブランクを形成するための素材(すなわち、カーボンです)、の原料となる
‘炭素繊維’をとりまく簡単なお話から。
昨今、原油価格が高騰し、航空機や高級乗用車などで燃料効率を上げるため、
‘軽くて強い’という特性を持つカーボンが引っ張りだことなっているのは皆さんご存知の通りです。
カーボンといえば、釣り竿は勿論、ゴルフクラブやテニスのラケットなどレジャー関連の需要も多く、様々な利用方法がありますが、その優れた素材特性から90年代以降、先の航空産業などの需要が大きく伸び、2006年頃、2万5千㌧くらいだった炭素繊維の世界需要は昨年では4万㌧程度、2020年には14万㌧くらいになるとの予測もされているそうです。
どれ位の質量なのか、想像もつきませんね。
で、その炭素繊維をもとにロッドの素材となる、いつも私どもが‘プリプレグ’と呼ぶ
カーボンシートが作られるのですが、そもそも炭素繊維とは…
特殊なアクリル繊維を焼いて作られ、アルミのおよそ1/2、鉄の1/5という軽さでありながら、強度は鉄の約10倍とも言われる高機能素材であり、プラスチックなどと合成する形で使われることが多い。
と、いうのが一般的な炭素繊維(カーボン)に対する認識だと思います。ですが、意外と知られていないのは、これらの炭素繊維生産量における世界シェアの実に‘約7割’を日本国内の供給メーカー3社(東レさん、東邦テナックスさん、三菱レイヨンさん)及び、それらの関連企業が占めているということです。
これは今後の釣竿市場の動向にも大きく関与するキーポイントです。
例えば、米・ボーイング社などに代表される大型旅客機にも多くは日本の技術が盛り込まれたカーボンが用いられているワケです。
近年、東レさんのカーボンが次世代旅客機「ボーイングB787」の構造材として採用され、胴体及び、主翼など機体の約50%でカーボン材料が使用されたことで(*1)
軽量化と燃費性能向上に大きく貢献したことは、大きな話題となりました。
*1 一機あたりに用いられる量はなんと30㌧前後!
では、炭素繊維がどのようにカーボンシートになるのか?
釣り雑誌でも、図解つきでロッドメイキングの流れを紹介する記事などでご存知の方も多いと思われますが、一言で表せば、
糸状の炭素繊維を織物状に成形し、熱硬化性樹脂(*2)を含浸させたもの、
がブランクの素材となるカーボンシートになります。
*2これも皆さんお聞きになられたコトがあると思いますが‘レジン’のことです。プリプレグがよく、‘生ものである’と揶揄される所以については、このレジンが大きな関係があります。
写真は離型剤を塗布したフィルムで覆われ、ロール状にして保管してあるカーボンシート。要冷蔵です。

で、カーボンシート本体自体は、それこそ無数のバリエーションと特性が存在する
最新技術の塊であり、当然、炭素繊維の生産工程や、カーボンシートの生産工程そのものは技術の流出防止にかなりの神経を使うものであるコトが知られています。
と、いうのがカーボンシートの原料である炭素繊維及び、プリプレグの極めて簡単なお話です。
少し端折りすぎましたか?
こうして作られる特性(個性?)のあるカーボンシートそれぞれに、弾性率(○○㌧カーボンというアレです。)やレジンの種類/含有率などの要素が加わることで一本のブランクを形成するタメに、素材だけでも膨大な選択肢が出来上がるわけなのですが、それぞれのロッドのコンセプトに応じ、どのように素材の持ち味を引き出すかを考え、適切な素材を選定しなければならないのです。
写真がブランクの材料となるプリプレグ(以下、カーボンシート)・・・の原料となる炭素繊維です。

炭素繊維自体はタールなどで作られるものもあるのですが、私達が製作するロッドに使用するブランクはもちろん、航空機などをはじめとする産業用途に使われているものはポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維と呼ばれるものです。
コレはアクリル繊維を高温で焼成して作られるもので、極めて細い繊維を作ることが出来るのが特徴です。
ロッドを作るためのカーボンシートは非常に繊細なもので、生鮮食品並み?!の鮮度の管理(温度/湿度)を要求されます。
但し、単純に高価な素材であればいいロッドが作れる、というほど単純なものではないことがロッドメイキングを難しくも面白くさせるトコロ。
製品のご紹介をさせていただくときに、私どもに限らず多くのロッドメーカーさんが‘用途・目的に応じて適切な素材を厳選して・・・’という表現を用いることがあるのですが、端的には要求される特性、成形性などによって、炭素繊維/樹脂(レジン)の種類と単位面積あたりの繊維重量(目付)を考慮してプリプレグの品種を選択しなければならないということであります。
ここまでするのは、多くの場合、窯及びブランク設計士が所属するメーカーさんに限られますが。ちなみに業界に数多おられる‘ロッドデザイナーさん’と‘ブランク設計士’はまったく別の職業です。
プリプレグの厚みの多品種化や、高繊維含有率化、新しい樹脂開発など、素材供給メーカーさんの技術の研鑽はそのまま、私たちアングラーの希望の種となるわけです。
これは・・・以前、お世話になった名伯楽の受け売りなのですが、
ドンブリ(器)に対して、麺の多いラーメンなのかツユの多いラーメンなのか。
肉汁の多い中華まんなのか、肉汁の少ない中華まんなのか。
皮の薄い中華まんなのか、皮の厚い中華まんなのか。(?)
などといった表現で、ブランク素材の質感を端的に捉えていただけるのではないでしょうかw
カーボンシートの樹脂(レジン)の含有量は、皆さんがイメージされているよりも‘多い’と思われますが、一般的に低レジンのタイプや通常の含有率のもの、
それぞれに一長一短がありますので、求むる要素に応じた素材自体の特性バランスも極めて重要な要素、ということになります。
先にご紹介した写真の通り、炭素繊維を髪の毛と例えれば、
・髪の毛をセットする際にヘアスプレーでセットするのが低レジン→ふわっと軽く仕上がる
・ジェルでセットするのが通常のレジン量のもの→セット力が極めて高い
とイメージしてただくことでそのニュアンスの一端を捉えていただけると思います。
写真はキュア(焼成)工程を経て、テーピングを剥がす前のブランク。テーピングの隙間からレジンが汗のように滲み出ているのがお分かりいただけると思います。ちなみにこの余剰のレジンが硬化したものが、アンサンドフィニッシュの凸凹を形成しています。一般的な塗装塗膜よりも表面硬度が高く、小キズにも強いというメリットもあります。
昨今、よく耳にする
‘トン数が高ければ・・・、低ければ・・・。’
という弾性率にまつわるお話でも、多くの方が抱いている一般的な認識に当てはまらないことも往々にしてあるのも面白いトコロです。
高弾性→薄巻き?(プライ数*3が少)、軽い、張りがある、折れやすい
低弾性→厚巻き?(プライ数*3が多)、重い、粘り強い、折れ難い
などなどが、それぞれ素材の特性として多くの方が抱かれるイメージだと思いますが、実際にはプリプレグ自体が薄手の高弾性素材こそ、プライ数(*3 マンドレルに巻きつける回数)を増やしてあげたり、繊維径の太いタイプのプリプレグであれば、プライ数を減らしてもある程度、しっかりした強度が保持できたりと、様々の要素・用途に、設計や製法、製竿技術が複雑に絡んでくることで、よりよいブランクを形成することが可能になります。
また、よく言われる‘ねじれ・つぶれ’に対する課題に対する施策彼是ですが、この数年で始まったことでもなんでもなく、一方向カーボン素材によるロッドメイキングは物理的に周方向強度(*)が不足しがちで‘つぶれに弱い’‘座屈強度が低い’といったことに黎明期から着目されており、グラススクリムによる形態保持性や作業性、そして、周方向強度(フープ層)にかかる周方向補強など施されるようになったのちには、極めて薄手のプリプレグの登場がより‘つぶれ防止’のために大きな役割を果たすようになりました。この辺のお話については、機会があれば、また。

使用感の優れたブランクの製作にあたって基本的な考え方の一つは用途に見合ったテーパーバランスの見極めによるブランクの無駄な運動量を省く、ということなのですが、 この辺については、バット径の太いグラスファイバー製のバスロッドなどを見ていただけるとより分かりやすいと思います。
ここをご覧の方はソルトルアーフィッシャーマンが多いと思いますので、こうしたロッドをお手にされたことのある方は少ないかもしれませんが、最近のグラスロッドは驚くべき軽量感を備えた仕上がりのものも多く見られます。
ハイテーパーもしくはステップテーパーなどと呼ぶ手法ですが、プライ数(シートの積層数)を少なくしても、バット径を大きくしてあげることで強度が保持できるよう設計するものであり、グラス素材のしなやかさを活かしつつ、最大の欠点である素材自体の重量バランスを手元に持ってくることで、軽量感を体感できるようにしているものです。
余談ですが、近年見かけたグラス製バスロッドの特性に関する記述で‘負荷に対して、ゆっくり(ティップが)入ってゆっくり戻る’というものがございましたが、正確には‘早くティップが入る’というのがグラスロッドの特性と言えます。早くティップが入る→しなやか、柔らかさ、ということです。これは低弾性カーボンや食い込みを重視したタイプのソリッドティップなども同じ表現でそのテイストをイメージしていただくことが可能です。
最近では設計次第で中弾性素材を用いても、一瞥して高弾性素材のような軽さや張りを感じられるブランクを作ることも可能です。
一時の釣竿市場では、軽量化に努めるあまり最低限必要な質量も削減してしまったが故に、本質的に必要なパワーや粘りが脆弱なロッドも見受けられましたが、ロッドメイキングの全市場的な技術向上が認められるようになってきた現在では、バスロッドやシーバスロッドぐらいまではこうしたものでも充分’釣り’にはなってしまうワケです。
逆に、高い技術をもって高弾性素材の特性でもある張りや軽さを粘り強さや剛性に転化することも高い次元で可能となっています。この辺りは個々のロッドメーカーの意図するところやコンセプトの違いとなって表れるものであり、アングラーがそれぞれのスタイルに応じて自由に選択をしていただければよいと思います。
いずれにしても、良いサカナといい板前さんが揃って、初めて美味いものが出来る、ということが、ロッドメイキングにおいても言えるワケです。
愛情も大事な要素です♪
- 2013年11月21日
- コメント(5)
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種類が多くて大変そうですね。
軽量化に走る昨今、ADのようなレジンを残して強度が出ている竿には好感が持てます。
軽量化を目指すばかりにヘアスプレーでセットしたようなカーボンじゃ安心出来ませんし。。。
重量、強度、感度、耐久性はある意味相反する部分はあるかとは思いますが、一般ユーザーとしてはF1ではなくGTーRのような竿がいいなっ。
金ちゃん