ベストフィッシュトップ5 2018

  • ジャンル:釣行記
2018年の魚たちとの出会いを振り返ってみた。振り返るとなかなか濃い釣りをしてきたなぁと思う。

第5位
ネイティブのリバーブラウントラウト
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 まず昨年の夏、カナダの渓流で釣りをし、ネイティブのレインボーが、それこそ湧き出すように延々と釣れ続くのを経験した。カナダのライセンス制度は徹底していて、原則天然魚は持ち帰れないため、原始の森の姿がいまも残っている。その川は、自然本来の渓流の底力はこうなのだと僕に教えてくれた。サイズこそ上がらないものの、1つの小場所からネイティブレインボートラウトが10本以上釣れ続く。そんなポイントが次から次にいつまでも続く。もちろんどの川でもそうだというわけではないし、昔より魚が減っていると言われたが。しかしあれだけのアングラーが入っていながら、自然の維持管理は徹底していて、数もそうだが、何よりも魚の美しさは目を洗われるようだった。残念ながら釣り堀と化した日本の多くの渓流とは比べるべくもない。日本とカナダでは自然のスケールはあまりに違うけれど、それでもライセンスシステムについては見習うべきところが沢山ある。ライセンス制導入ついては最近ちょっと話題になるけれど、大切なのは川ごとのポリシー設定、釣って良い区間、制限匹数、個人情報をしっかり取り管理すること、そして何よりも天然魚のリリース義務だ。持って帰って良いのは脂ビレのない放流魚のみということ。シーバスならタグ打ちなどで応用できないだろうか。タグうちした魚のみ持って帰っていいとするか、逆にタグうちをした魚は釣り人のものだから漁師も捕獲してはいけないとか、やり方は色々考えられると思うが。
 さて、前置きが長くなったが、そんな日本の渓流の中にも数は少ないが生きた川がある。僕がネイティブのトラウトを釣りたいときによく行く我が国のある川での今年の夏の一匹。もちろんブラウントラウトは外来種だが、この水系では駆除対象になっているくらいで、当然放流は一切していない。長らく世代交代を繰り返しているので、つまりはこの川で生まれ育ったという意味でネイティブと呼んでいいと思っている魚。これはこの夏の最大魚で40センチ台半ばだが、もっとデカイやつもいる。この川は「おそらく」ネイティブと言いたくなる尺上ヤマメも釣った場所だが、ヤマメやイワナは厳密にネイティブだと断言するのが難しい時代になってしまった。皮肉だがこのブラウンは、外来種ゆえにネイティブだと言える魚。いつか日本の川も本当の豊かさを取り戻せたらという願いを込めた一匹。

第4位   真夏のランカー
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  背景をできるだけ映らないようにしてるのでちょっと見苦しいですね。
 ランカーで知られる某有名河川での、真夏の白昼に出たランカーシーバス。とはいえ、最近はとにかく釣りにくくなったと言われる川。
  気温は35度を超える日。さらに真昼間という時間帯や、この場所の地形から考えて、ここはボトム一択。でもこの川は山からの冷たい水が流れている。そもそも可能性の薄い時期であり時間帯だが、いるならここしかない。灼熱の日差しと蒸し暑さに耐えながら、ボトムをひたすら流して流して流した。それでも何もない時間が続き、やっぱりダメかな、と思い始めたころ、突然モゾッという違和感。この日唯一出たバイトを鬼合わせ。しっかりフッキングさせると、ランカー特有のスローピッチの首振りが伝わってくる。澄んだ水を通して見えてきたのは81センチのタイリクスズキだった。

第3位  湾奥のチヌ
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 この夏は仲間たちと東京湾でのチニング確立に燃えた。関西で爆釣するメソッドが湾奥では通じないことは知られているし、僕も痛感してきた。この夏はチヌ釣り研究グループというグループLINEをつくり、仲間で試行錯誤してきたが、一人がある工夫で信じられないくらいバイトが出ることを発見。そこから関西と同じぐらい頻繁にバイトが出るようになる。
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 次にやることはこの釣りをもっと手近にしていくということ。そこで試しに僕の家の周りでポイントを開拓してみると、これがまた一番近い徒歩2分のポイントで釣れることがわかった。しかも結構なバイト数。サイズは小さいんだけど、これはその最初の魚。メソッドの確立とポイントの開拓によって、夏場の湾奥での貴重なターゲットを獲得できた、価値のある一枚。

第2位   英国のパイク
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 かつて何度か留学していたイギリスでノーザンパイクが釣れるのは、フエルコのショータさんのブログで知っていた。留学中は忙しくて釣どころではなかったけど、いつかやってみたい憧れの釣りだった。僕は日本が大好きだけど、イギリスには特別な愛着がある。どこまでも広がる青々とした草原と丘陵、そこを吹き抜ける冷涼な風。咲き乱れる花々や赤く実った果樹。蜂蜜色の美しい建築物。そんな風景を貫くゆったりとした川の流れ。そこにリスや鹿が顔を出し、鳥がさえずっている。さらに僕にはここで学問と格闘した思い出がある。そんな風景の中で本気で釣りをしてみたかった。
ライセンスの買い方や釣り方をショータさんから教わり、沢山準備して渡英した。準備段階からもうワクワクが止まらない。
しかし釣りの方は、なかなか苦戦した。ライセンスを買うのに苦戦したことから始まり、釣りも順風満帆とはいかず。初日にあっさりとサンマサイズのパイクが釣れるも、そこからはなかなか釣り上げられない。そもそもバイトがなかなか出ない。たとえバイトがあっても乗らないという日々だった。途中パーチが釣れてきたり、散歩する人々と会話しながら気を紛らわすが、肝心のパイクはとても遠かった。
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時には、「あなた、フィッシングライセンス持ってらっしゃるの?」などど、明らかに攻撃的なおばちゃんに詰め寄られたり。なんでも近年は中国人やポーランド人が魚を持ち帰って食べてしまうとかで、これはイリーガルなんだけど、魚がかなり減ってしまってるらしい。まあ地元の人々の愛国心も分かるけど、カナダと違って街中で釣りをしているから、良くも悪くもコミュニケーションは増える。ライセンスは購入してあるから何言われても問題ないんだけど。逆に散歩中のおっちゃんに「釣りってどういうところが楽しいの?」なんて聞かれて、30分くらい話し込んでしまったりなんてこともあった。
初日にサンマサイズをあげて以来、連日足を棒にしてランガンしたがパイクの顔を拝めなかった。いや、ほんと厳しい。しかし最終日の朝、この日はいつものカナルを釣っていくが、なぜか様子が違う。いきなり大きなパイクのチェイス!しかしフッキングには至らなかった。だがすぐにキャストするとまたチェイス。どうやら日並が大きいらしい。そしてブレイク付近でようやくフッキング!引きは強烈!デスロールを繰り返すパイクをなんとか寄せてキャッチ!写真を撮ってくれる人を探すと向こうからランニングをしてるお兄さんが来たので、呼び止めて撮ってもらった。
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結局この朝は3ヒット。どうやら日並で極端に好不調が出る釣りのようだ。
これは愛するイギリスで、美しい自然に囲まれながら真剣にパイクを追った末の最終日の逆転劇。本当に思い入れの大きな魚になった。

第1位 
晩秋の極太ランカー
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とにかく、数は釣れない。しかし出ればデカイ。そんな川は少なくないと思う。僕の家の周りは数は釣れるけどなかなかデカイのが出ない場所なので、ランカー狙いでこの数年秋から冬にかけて通ってきた川がある。もともとは友達から誘われて行った川。「ここの魚は出ればデカイよ!」といわれ通ってきたが、本当になかなか釣れないで通うこと5年。出ても60センチ台がせいぜいで、ボウズやセイゴのみという日が多数。半信半疑だったが、地元の人も口を揃えて同じことを言う。「出ればデカイ!」
しかしこちらとしては出してるけど普通じゃん、と思っていた。しかもなかなか出ないし。だが、この秋釣り方を見直した。この川は流速が極端に変わる。しかも、刻々と変わる。ここにヒントがあるのではないかと。結果、釣り方もタイミングもここに答えがあった。タイミング、ルアーの流し方、そして地形を絡めてのバイト。大きな首振りと何度も繰り返す強烈な走り。なかなか浮いてこない。そしてファイトの末にネットインしたときのなんとも言えない解放感。何年も迷宮をさまよっていた末に、やっと出口の明かりが見えた。頭の大きさとあまりの太さから90いったかと思ったが、86センチ。しかし、5年越しの答えがようやく出た一本。
 そしてそのあとも再現性ありで、デカイのを数本出している。
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これは昨日のジャスト80センチ。ガリガリアフターですが。

長くなったが、思い入れの大きい魚たちと沢山出会えた2018年。来年もこんな素晴らしい魚たちとの出会いがしたい。というよりも、まずは僕が、そんな印象深い魚たちと出会える釣りができる釣り師になりたいと思う。

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