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ロングハンドルが有利というのは本当か? ~タックル解体シン書(スピニングリール・ハンドル編)~

アングラーのみなさん、こんにちは。

fimoニュース編集部では春からの不定期連載新企画としまして「タックル解体シン書」と題し、タックルに関するアレヤコレヤ、些細な疑問などを掘り下げて結いたいと思います。






さて今回は、リールに当たり前についているハンドルについてスポットを当ててみます。



前週の編集部ブログでは、リール同士のパーツをトレードする事で、釣りが快適になる場合があると述べました。

スピニングリールにせよ、ベイトリールにせよ、対象とする魚種に応じた各種設定が為されています。

スプール径やギア比はもちろん、ハンドルの長さもその一つです。






【長ハンドルが有利というのは本当か?】


まれに、「ハンドルを長くすると(糸が)素早く巻ける」という記述を見かける事がありますが、これには少し誤解があって、長ハンドルだからといってラインがたくさん巻けるようになるワケではありません。


なぜならば、ハンドルが長かろうが短かろうが、一回転は一回転であって、巻き上げるラインの量は変わりようがありません。

むしろ、同じ速度でリーリングした場合、ハンドルが長い分だけ円周(ハンドルが移動する距離)が長くなって、ハンドルそのもの一回転させる時間は長くなってしまう筈です。




では、何故「ロングハンドルは巻上げが早い」と表現されるのか?


ラインの巻き上げ量の多寡という要素でいえば、ハンドルの長短よりも、ギア比による理由が大きいのですが、ギア比を上げると巻きが重くなってしまいます。

そこでハンドルを長くし、テコの原理でモーメント※1 とトルク※2 の値を大きくすると、僅かな力で「楽に」ハンドルを回せるようになるため、ハンドルを回す回数を稼ぐ事が出来きます。

その、結果としてラインがたくさん巻き取れるように錯覚するのです。
(ドライバーの
握りの太さよってネジを回す力に変化があるのと同じ理屈)

※1 回転軸を回転させる力の大きさ
※2 軸を回し始める時に働く瞬間的な力の大きさ


 


いわば、重たい巻心地のハイギアをローギア(ノーマルギア)並の軽い巻心地に補正する為の「長ハンドル」なのです。





【長さの違いによる使い分けが重要】


力を伝えやすい長ハンドルなら、長ければ長い程有利なのかといえばそうでもありません。

ハンドルの軸を中心に回転半径が大きくなれば、手首を軸にするようなコンパクトな動作に差し障りが出てきます。
(掌の大きな人は問題ないかもですが…)

オフショア用のリールであれば、85mmといった超長シングルハンドルが存在しますが、このようなタックルを用いる場合は、肘を軸とした大きな動作で巻き上げるのが一般的で、扱い方が別物であると言っても良いでしょう。



一般的に、短いハンドルならば巻き心地が重く感じ、逆に長いと巻き心地が軽く感じます。

これは、テコの原理によりハンドルの長短の差が巻上げトルクの差となって現れてくる事が理由です。



この為、アジやメバルなどのライトゲーム、他にも軽量シンペンなど、引き抵抗の無いルアーをゆっくりと巻きたい時ほど短いハンドルが使いやすく、リップの大きなミノーやウォブリング要素の強いバイブレーションを早引きで使いたい場合には長いハンドルが適していると言われています。



その証明としてハイギアリールに、少し短めのハンドルを組み合わせると、手元に伝わる流速差による抵抗の違いがより鮮明に感じ取れるようになります。

もちろん、同時に使用するルアーやライン、ロッドの特性などトータル的なタックルバランスが重要になってきますが、引き抵抗値の低いシンキングペンシルなどでも、比較的動作が判り易くなり、「感度の違い」として表現される場合があります。






【シングルハンドル全般の欠点と対処法】


シングルハンドルの場合、重力の関係で下方向に回す時には必ず回そうとする手の動きよりも先に下へ下がろうとしますが、逆に上方向に回す時はその力が弱まります。
 


これはハンドルの長短に関係なく発生する物理法則で、リーリングを行う際に注意すべき点ですが、ハンドルが長くなればなるほどこのブレは大きくなってゆきルアーの動きに影響してゆきます。


このため、少ない巻き取り量+ブレが少ない「ノーマルギア+短ハンドル」がよりスローな釣りに向くセッティングと言われるのですが、稼働できるリールがハイギア+長ハンドル1台のみだったら…?



人の操作による対処方法があります。




【指先ひとつでブレやすいリーリングを解決】


長ハンドルではスロー以下のリーリングをしなければならない場合の対処法は実に簡単で
 

まず、画像のようにハンドルの軸よりの部分に人差し指を当ててリーリングする事で簡単に解決します。


勿論、下がり方向に回す時の微妙な力加減など、慣れは必要となってきます。

ですが、物理的には力点(人差し指)がより作用点に(ギア)に近くなるので、やや重い巻心地になり、ロッドティップより先の状況が掴みやすくなります。

その上、疲労度が軽減されますのでハイギアリールをメインに使われている方はオススメです。



いかがでしたでしょうか?
ちょっと物理的な難しい話になってしまいましたが、リーリングに対する考え方の参考になれば幸いです。




文 ナカヤマ
編 コウノス


 

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