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▼ 生物学の釣り4 カラーについて
- ジャンル:style-攻略法
「ルアーのカラーは釣果に影響するのか!?」
カラーについては、まるでルアーフィッシングの永遠のテーマのように語られ、雑誌でもさんざん取り上げられてきたが、これを学術的に検証した論文がある。
鹿児島大学水産学部の研究者が書いた論文。もちろん信頼性の高い科学論文で、内容も非常に興味深い。

(ちなみにこれは僕の論文に載せたFigure(写真)。写真がないのもさみしいので)
ところで、
学会に発表された論文であれば、全てが信頼できるか、といえば必ずしもそうとは限らない。科学論文においてその評価を決める大事なポイントがある。それは、
①新しい視点・テーマを提示しているか、 ②価値ある結果が得られているか ③「客観的に~である」と言えるか ④記述が正確と認められるか ⑤従来の研究との関連が明らかにされているか |
細かいことを言えば他にもいくつもあるのだが、大きく言えばこうした項目が論文の評価をきめる。
ここでは③に関係する話。論文の価値のうち、「信頼性」は、客観性の高さが支えているといっていいだろう。
生物学の研究者にとって、実験・調査の客観性を担保することは、研究を組み立てる上での基本事項である。
逆に誰かの論文を読むときには、その論文の信頼性があるかないかは読み手自身が見抜かねばならない。実験の手順や、結果の分析の仕方、そもそもの理論の組み立てをみて、信頼に足る論文かどうか読み手側に判断する力量が必要なのだ。
しかしこれは慣れ。
さて、冒頭で言及した論文について。
僕の意見では、実験手法やデータ分析のあり方を見ても、しっかりと客観性が担保されており、学術論文として信頼性が高いと思う。参考までにタイトルと出典を。大学に在学している人は図書館で取り寄せができるはず。
「異なる背景色におけるスズキのルアー色の選択」岡本,川村,田中. 日本水産学会67(3),449-454(2001)
(価値ある論文なので、引用させてください。)
では、この論文も参考にしながら、カラーについてかいつまんで考えていこうと思う。
今宵、ルアー界が長年抱えてきた永遠のテーマに終止符が打たれる!!!
か? (東スポ風)
さて、例えばデーゲームではホログラム系やナチュラル系、夜は白やパール、チャート系を選ぶのが大まかなセオリーとなっているようだが、この基準はどうなのだろうか。
論文の内容の一部も含め、ざっくりと噛み砕いて解説する。ちなみに、この実験は明るい時間帯に自然光下で行われている。
岡本さんたちの論文によると、バイト数のカラーによる影響は「ある」と結論づけている。しかし、この論文によると、「単にルアーのカラーだけがバイト数に影響するのではない」、重要なのは、「背景色との組み合わせである」という。
ひと言でいうと、「背景色とルアーカラーのコントラスト」、つまり視認しやすいルアーに高頻度で食いついたという結果が出ているのだ。
また、結果を見ると、あるルアー色は、背景色に関わらず、バイト数が比較的安定して高かったり、ある色は同じく背景色がどうあろうとバイト数が少な目という結果を読み取ることもできる。
この論文は単にどのルアーカラーがよく釣れそうかということだけではなく、他にも様々なことが考えられる材料なので、あまり具体的なことまで書くのは控えておきたいと思う。この論文の価値を単純なものにしたくはないので。
さて、
で、あるならば、例えば日中に白系は目立ちすぎてナチュラルじゃないというセオリーはどうなのだろう?目立つのは悪くないはずだ。このことは後で言及したい。
ちなみに、この実験ではどの背景色でもバイトが得られなかったカラーというのは存在しなかった。有意差は確かに検出されたが、どのカラーも一定数のバイトは得られているのである。
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カラーについては、水色との関係も考えなくてはならないだろう。水色ももちろん背景色なわけだから、実際濁り時の白系ルアーは強いとか、ゴールドが強いというのも妥当性があるように思われる。
つまり「コンディションごとに強いカラー」というのは存在する。この論文はその説を肯定するように思われる。
しかし一方で澄み潮にナチュラル系が強い、というのは正しいだろうか?「澄み潮にナチュラル系」というのはコントラストとしてはけして強くないように思われる。強いて言えば、澄み潮は光を透過するので、鏡面反射(フラッシング)の効果は澄み潮の方が強く出るということは言えるだろう。
僕自身も論文を書く関係で、釣獲データをとっている。その際、カラーの影響を極力排除するために、使用するカラーは「白系・クリア・鏡面反射系」の3タイプに絞って使うことがある。
よって澄み潮のデイゲームでパールを使ったりすることは日常茶飯事なのだが、実際、特に問題なく魚は食ってくる。多くの場合、デイゲームでのパール系はナチュラル系に大きな遜色はないように感じる。
シャーローのストラクチャー際、水深はわずか1mほどのところ、白のジャークベイトをサブ・サーフェスでダートさせると、
ボコンッ!!
・・・とド派手な水柱が立つことも少なくない。ただし、白以外にも目立つ色はあるはずで、オレンジ、ピンク、黒なども面白いのではないか。
要するにデイゲームではナチュラルも悪くないけれど、他にもよく釣れるカラーはあるのだ。むしろ濁り潮なら白以外の選択肢も積極的に挑戦してみたいところである。
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ではナイトゲームの場合はどうだろう。この論文は昼間の実験なので、ナイトゲームに関しては我々で考えていこう。
まず、ナイトゲームの場合、端的に言ってスズキはほとんど色を識別することはできない。
物を見るということは、網膜上の「視細胞」で光の刺激を受容し、その情報を大脳で解析したものを感知しているということである。
視細胞には「錐体(すいたい)細胞」と「桿体(かんたい)細胞」の二種類があり、前者は明るいところで「色」を識別する細胞、後者は「光の明暗」を感知し、薄暗いところでも働く細胞である。
前にも書いたように、スズキの目は暗順応している。これは桿体細胞の機能だ。ナイトゲームのような暗い環境において、スズキはほとんど桿体細胞のみでものを見ている。
つまり色を識別する錐体細胞が機能していない状態。暗闇の中では色を識別することは基本的にできないと考えるべきである。
夜、眠るとき、部屋の明かりをすべて消してしまうと、まっ暗闇になるだろう。しかししばらくすると、目が慣れてきて、部屋にある物の形、本棚やテーブル、椅子、扉の形が見えるようになってくる。これが暗順応。
夜の暗い部屋を思い出してほしい。このとき色は識別できていないはずだ。本棚に並ぶ本は見えても、その背表紙の色は、識別できないはずだ。
すべてモノクロの世界。基本的にスズキはこうした環境で夜間の摂餌行動を行っているのだと考えられる。
しかし、だからと言ってカラーが関係ないということにはならない。なぜなら暗闇において目立つカラーと目立たないカラーがあるからである。
具体的に言えば「暗闇に浮かび上がる色、つまり白の濃さ」。
白は最も暗闇で目立つ。次いで黄色や薄いピンクも暗闇では白っぽく映る。しかしオレンジや赤は暗闇でそれほど浮かび上がらないし、緑や青やこげ茶は暗闇に溶け込んで目立たない。
つまり、ナイトゲームで白系が良いというセオリーは“基本として”正しいことになるだろうと思われる。
では白だけでいいのかというとそうはいかない。前回までの「生物学の釣り2・3」でも書いたように、動物の反応は鈍る。つまりスレる。
この反応の鈍りを遅らせる効果がカラーローテーションということになるだろう。
ただし夜のカラーローテーションは色を変えるという考え方ではなく、暗闇での色の浮き上がり度、つまり目立ち度のローテーションだという意識をもつべきだということ。これが僕の理論だ。
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ということで、「カラーを意識することには意味はある。しかしデイゲームでは一般化されたセオリーのすべてが正しいとは言えないということ、ナイトゲームは色ではなく暗闇での浮き上がり度という考え方をもつということ」が今回の話。
デイゲームでは自分だけの爆釣カラー(コントラスト)を探すというこだわりでカラーを選ぶのも面白いのではないだろうか。
- 2011年6月18日
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