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村岡昌憲
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▼ Area8-3 ~シーバス 長崎市内その3~
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- (area-釣行記-)
Area8 - Stage3 ~ 導かれるままに その2 ~ はこちらから
ふと上流の方の瀬が気になった。
暗闇に目をこらすと曲がった瀬の中で激しく流れが当たり、ヨレ返しているゾーンがあった。
ちょうど川の流れが集中している場所。
気になる。魚がいそうだ。東京なら絶対に出るはず。
一度水際から離れて、護岸の壁に沿って、影を水面に落とさないように移動。
そのゾーンに対して攻めやすい位置へと移動する。
かなり遠い。水際まで出るとプレッシャーを与えそうだった。
アイマでは届きそうもない。
タックルケースの中を探す。
一番飛ぶといえば、レアだ。
しかし、レアはこの流れの中ではきっと暴れてしまうだろう。
であれば、リップレスにするか悩んだけど、流れがのたうち回っているゾーンは数m程度しかない。
リップレスで大きなU字を描いていたらおそらく魚にルアーを見られる展開になる。
であれば食わないだろう。
ならば、もう一度護岸に沿って、そのゾーンのやや下流側に動いた。
レアに川の流れをまともにつかませたくない。
ここからのキャストだと更に遠いが、流れの中を斜め下流に向かってレアが泳ぐことになる。
であれば、レアが水を掴みすぎることもないだろう。
距離は40mぐらい、狙いを定める。
息を落ち着かせてから、フルキャスト。
風神ゼータのピンポイントキャスト性能は、流れでわきかえるゾーンのほんの数m上流にぼしゃっとレアを落とした。
サミングも完璧でいきなりラインが張っていると言っていい状態。
あまりにも絶好の着水位置に、一瞬、鳥肌が立った。
だから、何もしない。
することがなかった。
強いて言えば、無風の空気の中をふんわりとたるむシーバスPEのラインスラッグを取ったぐらいだろう。
激しい流れの中にレアが入る。
気持ち、ロッドを立ててラインを張る。ティップにレアが水をつかむ感触が伝わる。
その瞬間、水の下で何かが動いた気がした。
んんん?
ティップに衝撃が走る。
食った気がする。
グググッと根掛かりにも似た感じでラインが引かれだす。
ティップが食い込むのを確認するかのように、両手でロッドを前方に送ってから背筋と腕力で大きなストロークでアワセを叩きこむ。
水面が豪快に割れた。
ゴッバァッ!!
食ったぁ~。
しかもでかい!!!
なぜか僕は満面の笑みで、上の歩道を見渡した。
(よほど嬉しかったに違いない)
魚は流れの中央に出て来るなり、一気に下流に走る。
風神ゼータで溜める。魚は大きい、3分はかかるだろう。
エラ洗いの一瞬、ブルーブルーカラーのレアが口の外に掛かっているのが見えた。
光を背負ってる恩恵が初めてあった。
多少、ドラグを緩める。
しかし、川の中に何が沈んでいるのか分からない。あまり走られたくない。
ラインの消耗を避ける意味でロッドを立てっぱなしにする。
魚のエラ洗いは力強いが、リズムは遅い。さぞ重たいスズキに違いない。
何度か、下流に突っ走ったが、魚も疲れてきたようなので寄せに入る。
少し川の中に入り、ロッドを寝かせて上流側から少しずつ寄せてくる。僕も寄る。
透明な川の水の中で、魚が見えた。
むっちゃくちゃでかい!!
やべぇやべぇ、とぶつぶつ言いながら、ますます慎重にファイトする。
ルアーのフックに掛かる力がねじれないように、極力同じ方向から寄せ続ける。
魚が上流を向けば、ロッドを右に倒し、左を向けば下流に倒す。
シャローに魚が入ってきた。
こんなでかいの、ずりあげられっこないぞ。
思い切って尾びれの付け根をつかむ。ロッドを大きくあげて魚の口を水面に出す。
思い切って尾びれの付け根をつかむ。ロッドを大きくあげて魚の口を水面に出す。
魚が暴れるのをこらえた。10秒ほど必死の攻防。やがて向こうが大人しくなったところを口を掴む。
ランディング成功!
ランディング成功!
とりあえず、まずは猿みたいに飛び上がって踊る(笑)
魚の口からルアーを外し、地面に置く。
サイズを測ろう。
口先に目盛りを合わせて、尻尾の先端に目をやる。
どうだ?
こ、超えた・・・!
103センチ!
もう一度、猿みたいに踊る。
魚に戻って、もう一度冷静に計り直す。
うん、1メートル3センチ!
風神ゼータも魚も放り出して、とりあえずVゴールを決めた選手みたいに走りだした。
体中から喜びが爆発した。
走らずにいられなかった。辺り一帯を何度も飛び上がった。
ゼーゼーハーハーとなってから、写真を撮ることにした。
結構時間が経ってしまったかもしれない。
急いで手持ちで何枚か撮り、レアを口元に置いて写真を撮る。
アロウズレアBLUEBLUEカラーやってくれました。
魚を持って水際へ走る。
蘇生を試みる。っていうかずいぶんと目が力強い。
10秒でもう力強く暴れ出した。手を離してみる。
ぐいぐいっと一気に加速して流れの中へ消えていった。すげぇやつだ。
初めてのメーターオーバー。
ここ遠い長崎で、誰の案内も情報も得ずに、自分自身の目と経験だけでつかんだ魚。
俺の魚だ。
そう胸を張って言える大きなスズキだ。
逃がした後も、川の中で水を蹴りまくって飛びまくった。
このたとえようのない満足感。
最後に川に両手を合わして感謝の祈りを捧げた。
急いで車に戻る。携帯を取り出す。
誰に連絡しようか。
色々な仲間の顔が頭に浮かんだが、夜遅く野暮な話だよなと思ってやめにした。
アピア宇津木氏に連絡し、風神ゼータのテスト完了の旨を伝える。
ティップの柔らかさ、ピンポイント性能、そしてバッドまで絞り込まれた時のロッド全体のカーブバランス。
鬼掛けティップとピンポイントキャスト性能を追求すると、ロッドから粘りとパワーが消えていくというジレンマを抱えながらのテストだった。
しかし、これをギリギリかつ高次元で仕上げることができたと確信した。
メーターオーバーとのファイト中も、一度もパワー的に不安になることなく、非常にいいポテンシャルを発揮し続けた。
電話が終わり、時計を見たら23時15分。
川を見たらすっかりと流れの勢いが止まっている。
先ほど魚が出た位置は干上がり、ただの砂地となっていた。
恐ろしい程の時合の短さ、僕はゾッとした。
帰り際に空き缶と、コンビニの弁当が入ったビニール袋を拾って車に戻った。
ホテルに戻って一人で乾杯。
そして今、これを書いている。
長崎のシーバスはあまりにもあっさりと結果が最高の形で出てしまった。
しかし、長崎市内近郊はいいフィールドか?と聞かれたら僕はNOと答えなくてはいけない。
ざっと見て回る限り、魚が付くポイントが少ない。ポイントのキャパが少ない。
長崎市内は元々土地が少ない。干拓や埋め立てなどの工事は東京以上に進んでいる。
諫早湾を干拓したように、過去の工事でほとんどのシャローエリアは無くなってしまっている。
スズキがセイゴの段階で育つのにふさわしいフィールドを今回見つけることがあまりできなかった。
これは絶望的に恐ろしいことだ。稚魚が減れば親魚も減る。
釣り博でも多くの人に、長崎市内は厳しいと言われた。
釣り博でも多くの人に、長崎市内は厳しいと言われた。
しかし、長崎のスズキはたくましく生きていた。
人に追い立てられ、生息区域のほとんどを埋め立てられても、彼らはわずかな川筋や乏しい付き場で必死に生きている。
僕は誰がなんと言おうと、魚の王様はスズキだと思っている。
僕は誰がなんと言おうと、魚の王様はスズキだと思っている。
日本という国において沿岸部最大最強の魚なのだ。
その魚を、追いつめているのは他でもない僕たち人間だ。
その魚を、追いつめているのは他でもない僕たち人間だ。
ヘビカバスタイルのパターンは通じた。
たぶん長崎にいる間、あと何本かは釣れるだろう。
今日出会ったスズキは産卵前の魚体だった。その子孫の未来を願わずにいられない
ここ長崎に、稚魚たちの楽園があることを、その楽園を僕が見落とした可能性があることを、祈らずにいられなかった。
使用タックル | ||
ロッド | アピア 風神ゼータ83Lネオンナイト | |
リール | シマノ ステラ4000AR | |
ライン | 東レ シーバスPE 1号 | |
プラグ |
ミラクルワークス ドカポップ12cm・阿修羅 邪道 ヨレヨレ~ メガバス X-80SW・X-110SW |
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- 2003年2月17日
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