福岡の人妻 ~麗子 PARTⅡ~

  • ジャンル:恋愛・結婚
麗子と順平は、毎日欠かさず来る4、5通のメールに加え、週に1、2度の電話で交流を重ねていた。
 
話しの多くは、今日あった出来事や、家族のこと、趣味のこと、時には過去の恋愛話から、生い立ちに至るまで、話しは尽きることはなかった。
 
そんな会話から、麗子の性格傾向が「熱しやすい 情熱家タイプ」であることが、おぼろげながら感じ取れた。

この時、順平は俺に対する感情も、その性格から由来するところであって、一時的なもので距離を置いていれば問題ないだろうと考えていた。
 
 
しかし、知り合って半年が過ぎた12月上旬、巷はクリスマスムード一色に染まり、恋する男女が色めき立つ時でもある季節でもある。

そんなクリスマスムードが麗子の情熱に油を注ぎ、一気に燃え盛った。
 
 
二人の話題も、必然的にクリスマス プレゼントの話になる。
 
 
麗子「順平にクリスマス プレゼントを贈りたいけど・・・」とのメールが届いた。
 
 
順平「プレゼントを贈るって言われても自宅には届けられないし・・・麗子の暖かな気持ちだけで嬉しいよ」
 
 
麗子「順平は良くても 私は嫌!!! 好きな人にクリスマス プレゼントも贈れないなんて哀しすぎます」
 
 
順平「ありがとうね そんな気持ちに応えてあげたいけれど お互い立場もあるし無理だよ」
 
 
麗子「じゃぁ 私 プレゼントを持って名古屋まで行くわ そして直接渡す。 そうすれば順平にも逢えるし  ならいいでしょ」
 
 
順平「おいおい 福岡と名古屋だぞ  そんな交通費だって馬鹿にならないし、そんな逢うまでの男じゃないし」
 
麗子の唐突な発言に戸惑いながら、順平がやんわりと拒んでいるが、それを無視するかのように麗子は「次の土曜か日曜に名古屋に行こうと思うけど、順平の都合はどちらがいい?」
 
 
順平「少しは冷静になろうよ いくらなんでも急に家を空ければ家族も怪しむだろうし、もう少し計画を練ってからにしようよ 俺はどこにも逃げも隠れもしないからさ」
 
 
麗子「だって・・・私は今すぐにでも逢いに行きたい気持ちなんだよ じゃあ いつなら良いの?」
 
 
麗子の押しの強さに根負けした順平は、ついに話しに乗ってしまい「12月の第三土曜か日曜はどうかな?」
 
 
麗子「その日は、子供達のクリスマス会があってダメなの・・・ごめんなさい」
 
 
麗子は完全に舞い上がり、自分を見失っているように思えた。 ここで順平はビシッと言えばいいものを、何を血迷ったのか
 
 
順平「じゃあ 俺が福岡に行くよ」
 
 
麗子「それじゃぁ順平に悪いから私が行く」
 
 
順平「いや名古屋に来られても、誰が見ているかも知れないし・・・それに俺、福岡に一度も行ったこと無いから観光がてらに行くよ」
 
 
麗子「わかった じゃあ福岡を案内するね」
 
 
ひょんな事から話しは、順平の意図しない方向へ進み、何故か、4日後に福岡に行く事になった。


どうやって行くの?福岡まで・・・  新幹線? 飛行機?  それとも車?
 
 
麗子に相談したところ、麗子の自宅は博多駅に近いとのことで、新幹線はダメ・・・すると必然的に飛行機で福岡空港になった。
 
早速、飛行機チケットを手配する 名古屋 朝7:50発の福岡行き、帰りは19:50発の名古屋行きのチケットを確保 
早割りとかの割引が使えず往復で45,000円が・・・
 
そしてクリスマス プレゼントだと言からには、男が手ぶらじゃ行けないでしょ?と言うことでプレゼント選び

初対面の女性に高価な物を贈るのもなんだし・・・そうかと言って貧相な物では・・・男の見栄もある

とは言いながらも、選ぶ時間も、プレゼントを買いに行く時間もないので、三越 外商部に勤務する親友に頼み、予算を伝え適当な物をみつくろって持ってくるように頼んだ。 
 
親友は、ブランドアイテムを5点ほど持ってきた。
コイツ・・・自分の外商成績の為に、俺の予算いっぱいの買い物をさせようとしているな・・・ブツブツ

順平は、無難なところで「バーバリーのカシミヤ ストール」を選んだ。

 
そして土曜日、空港の出発ロビーにプレゼントを小脇に抱えて立っている順平の姿があった。


 
 
機内の中で、順平はこの出来事が現実なのだろうか・・・と頬っぺたを抓ってみた。 痛っ!
 
もしかしたら、ドッキリカメラじゃないけど、福岡空港に着いたら、赤いヘルメットを被った野呂圭介が「大成功!」なんてプラカードを持って出てきたらどうしよう?



もしかしたら、麗子が現われなかったらどうしよう・・・

物陰で見ていて笑い者にされたらどうしよう・・・

美人局だったら・・・

そんな不安ばかりが頭の中を駆け巡ると同時に、もしかして、初めて逢って・・・ムフフ



順平は眼下に広がる雲海を眺めながら妄想に耽っていた。
 


コメントを見る