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銀色の閃光 ~全てはここに繋がる~

  • ジャンル:釣行記

1話目はコチラから。








2014年5月中旬某日。


満足に波の入る予報ではなかったが、この週末は凪予報だったため
平日仕事前の強行出撃。




この時期になると夜明けは4時前後。
釣り場を7時に出れば出社時間に間に合うので、3時間は釣りが出来る。

今思えば、この日が今後繰り返すエクストリーム出社の原点だったのかも知れない。




しかし、釣り出来る時間が増える=釣り人が増える。ということであり
私と同じことを考えている人が、ここ房総には沢山いる。




この日も結局、第一希望の磯には入れなかった。









2か所目にまだ薄暗いうちからエントリーして、夜明けを待つ。

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やがて東の空が茜色に染まっていく。



期待と緊張が交錯する、この瞬間がたまらなく好きである。








海を見ると、やはり波は低い。
しかし、セットが入ればシッカリとサラシが出る。
チャンスはある。



「絶対にいる!焦らず波を待って、落ち着いてやれば獲れる!」と自分に言い聞かせ、立ち位置に立つ。






少し向かい風が出てきた。





ピッチャーがマウンドを均すように、踏ん張りの利く、足の定位置を決める。




狙うポイントは約40m先の根の裏サラシ。




じっとポイントを見つめ、深呼吸を一回。
波を待つ。








願いを託した糸の先にはBlooowin!140s









遥か沖に大きなうねりが見える。


あれの最後の波に狙いをつける。







やがてセットの波が入り、サラシが形成される。




その最後の4発目に合わせて、バリスティックを振り抜く。




この朝イチ1投目の緊張感も好きである。







キャストが決まり、ラインを張ってBlooowin!に水を掴ませる。
サラシに馴染ませるようにゆっくり巻く。












「…あれ?反応が無い??」と思った次の瞬間。








体当たりしてきたかのような「ガツンッ!」という金属的なバイト!


渾身の力でフッキングを決め、一気に巻き上げる。








水面が爆発したかのようなエラ洗いと共に
ギラッと銀色の閃光が走る。





それを見た瞬間、血液が沸騰したかのような
ゾワッとした感覚に襲われ
そこから先は無我夢中でイマイチ覚えていない。




















気が付くと憧れの銀色が横たわっていた。

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私は釣り上げたあと、銀色を見つめ
しばらくボーっと放心状態になっていた。



そのあと、ゆっくりと視界が滲んできた。






誰もいない磯の上で一人のヒラ師が泣いた。









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60㎝に満たない誇れるサイズではない。
しかし、そんな事どうでも良かった。

私の釣り人生において、これ以上価値のある魚はいなかった。


それは今も変わらない。





ようやく自分の力で釣った魚と胸を張れる。
そう思うと少し肩の荷が下りた。

知らず知らずのうちに
自分で自分にプレッシャーをかけていたのかも知れない。















釣りが上手いとか下手だとかどうでも良くて
周りからの目なんてどうでも良くて
人と比べてどうだとかもホントどうでも良くて

ただこの魚に会いたくて会いたくて
何も分からないゼロの状態から房総を走り回った。












磯ヒラを始めて1年に満たない期間だったが
この1年がフラッシュバックした。




















どれだけ走り回った?
どれだけガソリン使った?

そんな事はもうどうでも良かった。









Blooowin!を数えきれないほど無くした。
結果が伴わず、申し訳なさ過ぎて
自分で何本も買った。


でも、そんな事もどうでも良くなった。








ロッドも折ったし、リールも壊した。
ライン、フックなんて…考えたくもない。






社長に貰ったウエットスーツは穴だらけ。
穴が開くたび補修して、今でもなんとか現役です。







夜な夜なグーグルマップとにらめっこして
ポイントに目星を付けた。
そして、次の日に寝坊する。

こんな日を何日繰り返した?








隣のサラシではボコボコに釣れているのに
自分はミスばかりしてノーキャッチに終わったあの日。








1投目からライントラブルで、処理した後に
スプール見たら下巻きがうっすらと見えていて
まともに1投も出来なかったあの日。







波を喰らって吹っ飛ばされたあの日。








サラシの目の前まで行って、リールハンドルが無いこと気づいたあの日。






まだまだ。挙げればキリがない。




















でも、これらがあってこの魚に繋がったのだと思う。



決して無駄じゃなかった。















この魚に出会えたことで全て報われた。


帳消しにしてくれた。























いや、寧ろ感動の方が有り余る。







ありがとう。



本当にありがとう。















そんな事を思いながら、滲んだ視界を拭い
胸一杯で磯を後にした。

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傍から見ると、たかが一匹の魚で大袈裟な。と感じるかもしれない。



釣りも所詮、娯楽の一つ。と捉えている人もいれば
安定した生活を捨て、釣りに血眼になっている人もいる。




アングラー1人1人、釣りに向き合う姿勢は違う。






しかし、スポーツや芸術をはじめどんなジャンルにも
夢中になって追い続けた人にしか見えない世界がある。




そして、その世界でしか得られない、かけがえのない感動がある。




私も今回その片鱗をほんの少し感じ取れただけだと思うし
今後ももっと大きな感動を得るために釣りを続けるだろう。


























SNSが発展した今。







欲しい情報、興味のある情報が苦労することなく
スグに手に入るようになった。


また、Facebookなどで見ず知らずの人と繋がりやすくなった。



これは結果的に魚に出会いやすくなったと言えるし
釣友が増えた方も多いと思う。







本当に素晴らしい時代になった。












しかし、その反面
アングラー各々がいろんな事柄に対して考えるということ
若しくは考えを持つことが減ってきているようにも感じる。




これは自身で様々な経験をするよりも先に、情報が入っていることが増え
それを鵜呑みにしてしまい、考えるということが減ったのでは?と考えている。



「便利になった代償」とでも言うべきか。


分かり易く言うと「自分で考えるより、聞いた方が早い」と思うアングラーが増えたということ。









もちろん、それを否定するつもりもない。
というか、そちらの方が正論だろう。


成長する近道はプライドを捨て、とにかく聞くことだと
私自身もそう思っている。

それはそれでいいと思うし、何より楽しむこと、好きだということ
それが一番大切だと思う。











しかし、人から得た知識だけを身に付けていっても
応用が出来ない。それもまた事実。



「教えてもらう」のと「自分で経験して気が付く」こと。
結果は同じでも、自分の中に残る重さが違う。




経験があってこそ成されるものも世の中には多いと思う。







アングラーの中にも自分の経験ベースでしか考えない人もいる。

私もそういったへそ曲がり一族である(笑)













どうせ楽しむなら自分の拘りを持って、遠回りでも徹底的にやってみたら
大きな感動を得られたり、また違う世界が見えたりする。












今回、この「銀色の閃光」を読んで
そんな事を少しでも感じてもらえれば幸いです。











 
Fin









 
  2016/3/17    泉 龍吾





※本編はこれで終わりですが、コメントは次回にお願い致します。
 

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