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岸クル物語 第一章 『100円レンチ』


ある日、邪道のスタッフmさんからルアー開発のお誘いがあった。


私から要望を出していたとはいえ、まさか「沖堤版スピンテール」の開発を受け入れて貰えるとは…(驚)


答えは決まっている、私は二つ返事でOKした。


詳しい方はご存じかと思いますが、邪道ルアーの中で狙いをディープに絞ったスピンテールは、実は「オモクル・ドメスティー」しかなかった。


昨年の冬、私は42gもあるドメスティーを沖堤や護岸に持ち込んで投げていた。


しかしドメスティーはそもそもオフショア用に開発されたスピンテール。デイシーバスのフォローには欠かせなかったが、カラーラインナップはパールやグローを中心としたものが殆どで、少々物足りなさを感じていた。


そこでこのお誘いは願ってもないチャンスだ。断るはずがない。


その後、私はすぐさまテストに着手。


開発者達の開発へ対する拘りも日増しに熱が入っていった。


繰り返し行われた改良とテスト。


副作用を伴う超難問にもアトール田中さんの燻し銀の職人技が光った。


(アトール田中さん : 株式会社アトール代表/【ヨレヨレ】【ヤルキスティック】【クルクルシリーズ】など、多くの邪道ヒットルアーを開発する有名ルアービルダー)


私はそれに答えるかのようにテストに没頭した。


その原動力は着手が許された時の素直に嬉しかったという気持ちから、徐々に何かの使命感のようなものに変わっていたのかもしれない。


開発が佳境にはいると、プロトルアーは基本ベースの調整は勿論、沖堤特有のシーズナブルパターンを完璧に取り込み、日が経つにつれ完成度を増していった。


そして、いつからかプロトルアーは「沖堤版スピンテール」ではなく違う呼び名で呼ばれるようになり、


2013年 秋 『岸クル』 が誕生した。






【 2014年 春 発売予定 『岸クル』 】


ファーストプロト:
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ファーストプロト(VANFOOK版):
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開発スタート当初。


「沖堤版スピンテール」の開発に合意するとすぐにファーストプロトが自宅に届いた。


叩き台的なモデルになるであろうこのモデルはデザインには殆ど手を加えてなかったが、しかしボディにチャートカラーを施し、キッチリ塗装してあるのはこちらとしては大変有り難いことだ。


見た目は極端ともいえる低重心にヘビーウエイト、高い防波堤から角度のきつい足元までを攻めきるための極端なたたずまいは、かつて横浜フィッシングショーで私が熱望したスピンテールのイメージを具現化したものだった。


ただ、驚いたことにこの初期型にはブレードベイトを世に広めたとまで言われた邪道伝統のロングワイヤーが付いてなかったことだ。


自分には計り知れないこの重さに一時悩み…


心の中でつっかえていたものが取れた時、光が差した気がした。


それはディープエリアのスタンダードモデルを作りたいと思った瞬間だった。


スタンダードとは、冬のスローな釣りからハイシーズンまで、様々なシーンにアジャストしていける使用頻度の高いど真ん中設定のスピンテールである。


開発着手にあたり、もう一つ考えていたこと。


これは持論とした方がよいでしょう。


そのまま言う。


スピンテールはタフコンの中で魚を出せなければ100円の価値しかないということだ。


特に冬は主力として使えるラインナップが少ないからとも言えるが“冬のスピンテール”の印象は強い。


「低水温」「偏食」「スローリトリーブ」は“セットもの”のようなものだ。


なぜ100円の価値なのか。


それはGWに釣り仲間達といったライトジギング船でのこと。


活性が上がったタイミングで、百均で売っている100円レンチにアシストフックを付けて魚を釣って見せた遊び心タップリの釣友がいた。


wx6r545g25ufd9epfawg_480_270-277a31f0.jpg


魚は極限まで活性が上がると落ちてくるものは手当たり次第に口へ入れてしまう。それはシーバスも例外ではない。


一方、低活性ともなると100円レンチで魚が釣れるはずもなく、そればかりかルアーにも殆ど口を使わなくなってしまう。


そんな魚の習性が誤解の種となり、時として我々テストする人間の感を狂わせてしまうのだろうと思う。


時合いの中で釣れたルアーだからといって魚の活性が低いときにも釣れるとは限らない。要するに100円レンチなのだ。


しかしタフコンでも釣れるルアーは堅実に釣れる。


うまくルアーが完成したとしても、ある条件下でこういう使い方をすれば…という小難しいレクチャーもしたくはない。


単純明快に、まずは投げて巻くという基本操作で手軽に釣れ、かつ玄人受けするルアーを目指したい、そう思った。


100円レンチの馬鹿げたエピソードは、その結果は誰でも予想が付くでしょう。


しかし100円レンチで釣れた魚を見たとき、正にこれが我々が作るルアーの原点であること、初心に帰り再認識することができた。


100円レンチからのスタート。


絶対にブレない私の方針になると同時に、これからとんでもないスピンテールが邪道から生まれるのではないかという予感がしていた。


 

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