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贅沢は味方

楽しい旅の報告がしたいと思ってたのでこんな話は書かないつもりであったけど、なんか急に気分になったのでシリアスな話をしてみる。


スマトラのある港町での1日の話。

ある都市から長時間乗ってきたバスを降りると辺りはまだ薄暗く
夜があけきるにはしばらく時間が必要であった。
治安が悪いとされる街の闇というのはいつも恐怖を感じる。
方向もわからず歩いているとゴミ置き場を漁る子どもの影がある。
いつかTVのドキュメンタリーでみたような映像が実際目の前に広がっている。

しかし僕はなにか施しをしてやろうという気持ちは全く沸かずその横を通りすぎる。ゴミ置き場の悪臭がやけに鼻につく。

ちかくの草むらに腰を下ろししばし煙草を吹かす。
しばらくボケーっとしているとようやく辺りが明るくなりはじめ多くの人たちの姿をみるようになった。


空腹を感じたので屋台で買ったチキンを頬張ってみる。
夢中でチキンを食べている僕のほうへ足が異常に短く、身なりも異常に汚い婆さんがフラフラと近づいてきた。
その婆さんは表情を変えることなく目の前にきて無言で両手の掌を上に向けて、重ねあわせトントンと叩いた。
お金を要求していることはわかった。

しかし僕はお金を施すどころか両手の掌を重ね合わせ上に向けて同じようにトントンと叩く。「むしろ僕がお金を必要としている」と目でそいつ
に訴える。婆さんは表情を変える事無く去っていく。


僕は見知らぬ誰かのためになにかしようとは思えない人間だ。
今まで生きてきてボランティアを「やろう」と思ったことは一度もないし、旅先でいまにも死にそうな老人が転がっていても手を差し伸べることなんてしない。

空腹から逃れるためにお金を必要としている人間に対して「カッコイイ魚釣るために僕だってお金がいるんだよ!」とか言ってしまう。

偽善者にすらなれない人間である。



ただそんな薄情な僕でも旅先でそういった風景を見たあとだと
普段の生活の中で貧困について考えることはある

帰国して最初のコンビニアルバイトにはいったとき、深夜に棄てる大量の廃棄をみてゴミ置き場の子どもを思い出した。

大好きなビールや焼酎を浴びるように飲むときに必要最低限の栄養にすら事欠いている婆さんの姿が脳裏によぎった。


罪悪感はまったく感じない。
自分が恵まれていることは十分承知だし、感謝もしているが
それに対して後ろめたさは一切感じない。
これは自分がわめいたってどーなる問題でもないと思ってるから。


だけれども旅先でそんな光景を見たからこそわかったことがひとつだけあった。

それは「貧しさ」というのはよくないものだということ。


そして貧困や飢えというのは一番目につきやすい貧しさである。
僕にはその貧しさが視覚や嗅覚で理解できた。
だからこそ気づいた。


貧しさにいいことなんかひとつもない。

別に贅沢はわるいことじゃない。貧しさがよくないだけ。


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同じ港町でも飢えていない子もたくさんいる。
見知らぬ旅人の後ろをつけてケラケラ笑いながら遊ぶこどもたち。
目にみんな光があって力がある。

ゴミ置き場を漁っていた子どもたちにも目に光はあった。
それでもその明るさは写真の子供たちには遠く及ばない。

物乞いをしてきた婆さんには目の光が一切感じられなかった。



これは食糧に飢えていない自分たちには全く関係が無いかというとそうでもない。
貧しさというのは飢え以外にもあるから。



僕ら日本人が抱える可能性が最も高い貧しさは
心の貧しさではないだろうか。


これは飢えとか貧困とは違って外から見えにくいけれども
実際に貧しい人が多くいて

それは貧困と一緒で本人だけではなんともできないことも多い。
心に貧しさを抱えると目の光が消えてしまう。

僕はいままで生きてきて大なり小なり自分のためにいろんな人の心を踏みにじることもあっただろうし
もしかすると、大きなダメージを与えてすごく貧しいものにした可能性もある。


だから旅から帰ってきて今思うことは

これから自分自身や自分が大事にすると決めた人のこころだけは貧しいものにしたくないということ。


誰かを愛する、自分を愛することってそういうことだと思う。
そのために心というのは贅沢であってもなんら問題はなく、むしろ贅沢であるべきではないかと考えてる。

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