うちの近くの濁った海へ行きました。


釣りです。


さげでセイゴを狙います。


大昔に買って使わなくなったバイブレーションを投げます。

潮の動きは目に見えて良さそうでしたので、釣れそうな気がしました。




やっぱり釣れました。

ちょっと移動してブンブン投げます。

電動車椅子のおじいさんが寄ってきます。

危ないのでストップ。


・・・釣れたね？

・・・はい、スズキのこどもが

・・・あー、セイゴね


知っとる。この翁あなどっちゃいかん！

・・・ちょっと見せてんね

・・・あっ、はい


写真を見せると、これならよか！とのお言葉。


・・・あんた、どこ出身ね？

・・・福岡です

・・・博多ね？そのわりには博多弁使わんね。最近は、みんな標準語。いかんよ。その上カタカナも増えてねぇ。そんなのは、通用せんよ

・・・すみません

・・・ちょっと釣ってみせんね

翁の頭の上をゆっくりルアーを移動させ、テイクバックしてなげます。


わたしはね、とまた始まります。福岡か九州の釣りクラブ会長だったこと、長崎の親戚か何かの女性が初代ミス長崎だったこと、よく鹿児島に行って美味しくないブダイを釣っていたことなどなど。



元会長を前にクオリティーフィッシュを何とかとりたいと思いますが、そんな都合よく釣れるものではありません。




しかし、今こそキープキャスティングと思いまして、ブンブン投げます。

テイクバックのたびに、会長の頭にルアーからきたない海の水滴が垂れます。


会長は頭が濡れているのが気になる様子で、手拭いでペタペタしています。






・・・はよ、釣らんかいな

・・・すみません。そんな簡単には

・・・なんでね？

・・・まぁ、その、なんでねと言われましても

・・・わたしはね、千代たい。やけんあの辺でよう飲みよったとよ。こんなに建物はなかったよ。橋もかかってねえ。昔からこの辺は海の汚かったもんねぇ。釣れたの見たかったねぇ。そんじゃ、またね。ハブアナイスデイ

・・・はい




このあと、2バラシで終了。