目的外使用・適応外使用について考える。

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ロッドに記載されている、キャスト可能ウェイトを超えるウェイトのルアーを投げる事は、自己責任で、ってなりますね。
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ブログや動画などで、重いルアー投げてます、ってプロの方などを見かけますが、
ティップではなくバットにウェイトを乗せて、などの注意点とともに、
必ず『自己責任で』って述べていますね。

ロッドに限らず、リールの改造、ルアーの加工、全て自己責任ですよね。


自己責任で、って明確に述べる事は絶対に必要な事で、
動画で・ブログで、該当商品のメーカーに所属してる〇〇ってプロがやってたからマネした、
とか〇〇プロの責任が問われないためであるとか、
安易にマネして被害(ロッドが折れる、けど補償対象外、リールの修理を受け付けてもらえないなど)を被る人が増えないためであるとか。

メーカーに所属してるプロが、こう言う使い方もある、こう言う改造もある、って言っちゃうと、それがメーカーお墨付きの使い方だと勘違いする輩も出てくるし、
オフィシャルな使い方で壊れたんだから補償しろ、って言い出す輩が出て来る可能性もあるわけで、

『自己責任で』と表明する事は、
発信者と受け手、双方の利益のために必要なexcuseだと思うのです。


釣具以外、特に昨今のコロナ対策に於いて、適応外使用・目的外使用はどうか。

抗マラリア薬・抗インフルエンザ薬・抗HIV薬として開発された薬剤のコロナに対する使用、
食器用洗剤の消毒薬としての使用、
キッチンペーパーをマスク代わりに、
などなど。


釣具にしても、薬剤にしても洗剤にしても、
適応外、目的外の使用に関して発生した不利益に関して、メーカーはなんの責任も負ってくれない、と言う事は共通しています。

抗マラリア薬も抗インフルエンザ薬も抗HIV薬も、コロナに効くかもしれない。
本当に効いたら、各薬剤メーカーは莫大な利益を得られるかもしれない。
けど、本来目的とした疾患とは別の疾患に使用した場合、思いもよらぬ副作用や有害事象が発生する可能性もあるわけで、その場合、利益を遥かに上回る賠償金が発生する可能性がある。
だから現在慎重に治験が重ねられている最中なのでしょう。

食器用洗剤に関しては、裏面に
『目的外使用不可』と明記してありますね。

食器用洗剤の目的外使用をメーカー側が認めれば、メーカーはそれをウリに宣伝しても良いとは思いますが、実際そんなことしている食器用洗剤メーカーはない、はず。
目的外使用、の範囲が広すぎて、何に使われるか想像もつかない→手が荒れた、とか、テレビが壊れた、とか、キーボードが壊れた、とか、どんな苦情が殺到するかわからないですしね。



コンビニとかのレジの透明カーテン、あれ、全く意味は無いと思っていますが、
『検証や効果はさておき、効果があると期待出来ることはとりあえず取り入れてやってみるべきだ、検証は後になってからでも良い』
って言ってる人がいましたが、感染症対策に関しては少し危険な考えかな、と。

人間の健康、健康被害に関わることですからね。




食器用洗剤を消毒薬として流用する事に関して、他の方と『ディスカッション』させて頂いた事があり、
その方は専門家なのでじゅうぶんご理解されているのですが、
やっぱり、そのやりとりを見ている人の中から、手荒れよりコロナが怖いので手にも使ってみます、って輩が湧いて来ましてね。

どこを見回しても、テーブルなどの環境整備用であり手指消毒には使えない、って書いてあるのにも関わらず、です。
いわく『世の中冗談みたいなバカ』がいてめんどくさいだとかなんだとかw

手が荒れてもいいから、死ぬよりマシ、とか言ってねw



皮膚というものは、感染症対策、感染症と戦う上での、最前線かつ最も原始的かつ最大最強と言える防御機構であります。
surgical site infection、すなわち手術部感染の予防を例に挙げると、

以前は陰毛、胸毛、脇毛などの体毛を、『術前日』に、剃刀(カミソリ)で剃毛(ていもう)していたのです。

虫垂炎の手術でツルツルにされた、とか聞いたことありますよね。


これを術前日すると、剃刀で皮膚に微小な傷をたくさん作ってしまい、翌日の手術日までに、微小な傷の中で細菌が繁殖してしまい、術後の創部感染に繋がる事がわかったのです。

なので、現在は、術当日、ベストは当日手術台の上で、バリカンなどで、皮膚を傷つけないよう愛護的に『除毛』する事が推奨されています。

つまり『私は手荒れよりコロナが怖いので手にも使ってみます』っと言うのは、大きな矛盾です。

手荒れ、すなわち皮膚に微小な傷を作ると言うことは、感染防御機構を破綻させる事に他ならず、ウィルスや細菌が繁殖、体内に入りやすい状況を自ら作り上げている事になります。

蜂が怖い・寄ってこないように、と体じゅうに蜂蜜を塗ったくってるようなものです。

手が荒れる前提の、手指消毒薬などあってはならず、手荒れしないように=生体の防御機構が破綻しないようにハンドクリーム、ローションなどでスキンケアを行うことも必要な事です。

食器用洗剤を流用した消毒液は、誰がどー考えても環境整備用であるし、電化製品や手指の消毒に使う『冗談みたいなバカ』なんているはずはないと思っていても、実際いるわけでして、
やはり、自己責任で、と述べるとともに、最低限の注意喚起は必要だよなぁ、と。


釣りSNS内で、無名・匿名で、目的外仕様の感染症対策を発信するのは自由。
読むも読まないも、信じるも信じないも自由。
信憑性を持たせるために、例えフェイクであっても、どこどこの専門家が言ってた、有名大学出身者が言ってた、そう発信するのもまた、自由。

ただ、その目的外使用を真に受けて、健康的な被害を被っても、
その発信者も、専門家も有名大学も、
なんの責任も負ってくれないんですよ。

責任ある発信者は、所属、氏名も明らかにして、
データや根拠も明らかにして、利点だけでなく欠点や注意点も述べて、何かあったら責任を負う覚悟で発信してるはずなんです。

氏名も明かさない、責任も負わない、のであれば、せめて、自己責任で、と一筆添えないと。

自己責任で、と書いてあるとゆーことは、
そこに根拠もデータもありません、効果も保証できないし、不利益を被ってもなんの責任も負いませんよ、という意味ですから。





適応外使用、目的外使用を発信するのは自由だけど、やっぱり『自己責任で』って明記する事は必要だし、
受け手側も、適応外使用、目的外使用である事の自覚を持つこと、何が起きても自己責任である事を理解して、模倣するべきですね。

そして、その使用方法に意味があって、必要な事なのか、利点もあるけど、被害を被る可能性もあるのではないか、考えるべきですね。

釣具の目的外使用をしても、せいぜい、釣果が悪くなる、釣具が壊れる、補償を受けられなくなる程度の不利益しか被りませんが、
感染症対策となると健康被害に関わることなので、少し慎重に発信して頂きたいものです。



釣りと同じノリで、感染症対策における日用品の適応外使用、目的外使用を安易に発信する輩が多い事に不安を抱き、書いてみました。


・・・なんなら、釣り以外の内容で、病気や健康に関わる、根拠や効果が明らかでない目的外使用に関するログは上げちゃダメ、とかにしても良いのでは、
と、思ってる矢先に、キッチンペーパーをマスクのフィルターに、か・・・

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