トリプルフックとダブルフックにおける比較検討(案

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(目的)
トリプルフックとダブルフックの利点と欠点について明らかにする事。

(はじめに)
一般的にはシングル<ダブル<トリプルフックの順に、魚にフッキングしやすく、
シングル<ダブル<トリプルフックの順に魚を傷つけやすいと言われている。
トリプルフックとダブルフックの間で上記の事が正しいのかどうか検討した。

(対象と方法)
20メートル四方の海上生簀を2つ用意し、どちらにも予め標識したスズキ(Lateolabrax japonicus)を50匹ずつ、計100匹放流した
どちらの生簀も、サイズ、雌雄が偏らないように調整した。

一方の生簀(T生簀とする)ではトリプルフックを装着したルアーを用い、
もう一方の生簀(D生簀とする)ではダブルフックを装着したルアーを用い、魚を釣ることとした。

トリプルフックはルアー購入時に装着されているものをそのまま使用した。
ダブルフックはA社の製品を使用し、トリプルフックと同程度の番手を選択した。

ルアーの種類、サイズ、カラーは同一の物を使用することした。
ルアーの重さについては、トリプルフックとダブルフックで◯グラムの差が生じるがこの実験では容認する事とした。

同じロッド、リール、ライン、リーダー、スナップ、ノットを使用し、どちらの生簀にも計200回ずつルアーをキャストした。

フッキング回数、キャッチ回数をカウントし、キャッチできた魚はフックによる損傷箇所を記録し写真におさめ、リリースした。 
その後の生存・捕食に影響があると思われる目、エラの損傷、出血などについて記載した。


可能な限り、どのフックがどこにフッキングしていたかも記録した(フロント及びリアのトリプルフックの針のうち、ルアーの右側、左側、真下の針のどれか、フロント及びリアのダブルの針のうちルアーの右側のフックか左側の針か等)。

フッキングの定義は、ここでは、ロッドにアタリを感じ、重みが乗ってから5秒以上経過したものをカウントした。
釣り手は、アタリがあったら直ちに申告し、自己もしくは記録者がストップウォッチをスタートして5秒間カウントした。

キャッチの定義はランディングネットにおさまった場合とし、それをカウントした。
キャッチした魚は、フッキングにもキャッチにもカウントした。
5秒以内にキャッチに至った魚も、フッキング・キャッチどちらにもカウントした。

これらから、フッキング率、キャッチ率(バラシ率)を算出した。

フックによる損傷を負った魚を調べるために、
釣り上げてから2週間後、1ヶ月後に全ての魚を生簀からあげ、損傷箇所の記録と写真を撮影した。
1ヶ月間に死んだ魚も調べ、ルアーによる傷による影響を検討した。
 



(解説)
ここまで条件を均一化し、フッキングやキャッチの定義を明らかにしないと、
フェアで客観性があり、誰からも文句を言われず、
『ダブルフックの方が優れている』とは言えないんですね。

ダブルフックの角度(敢えてダブルフックとしておきます)についても言及されており、どの角度が1番いい、みたいなことも仰っています。

仮にダブルフックの針の角度60度、90度、120度で検討するなら、
トリプルフックとの比較検討とは別に、
さらにスズキを3群用意して検討しなければなりませんね。
トリプルフックとの比較検討の際に釣り上げられた時点で、魚は針を学習し、次の検討実験の際には『スレ』ているからです。
スレは1年以上記憶されていると言う報告もありますので。

ロッドによってフッキングの良し悪しがあってはいけないので、ロッドも均一化します。

ライン、PEラインを使用するならリーダー、スナップも均一化します。
ノットは正直どーでもいいかな、と思いましたが、査読者からちゃちゃを入れられないために同じものとしておきます。

1人の釣り手が両方の生簀で200投ずつしてもよいですし、
4人の釣り手が50投ずつしても良いと思います。

スズキのサイズが均一なら、ドラグの強さ・締め具合も同じにするべきかと思いますが、
ここは魚の引きに合わせてドラグを調整しても良いかな、と。
唯一、均一化が難しくマニュアル操作が入る部分です。
トリプル側を、ワザとバレやすくしようとする釣り手が入っちゃうと、ドラグゆるゆるorキツキツにしてバレやすくすることもできてしまうわけです。

そう言う意味では、釣り手には実験の主旨を告げず、参加して頂くのが良いかも知れません(盲検化)。
そして、1匹キャッチするたびにバイト代500円上乗せ、とか。



ルアーの種類やカラー、サイズを同じにしないと、バイブだから釣れたんだ、とか、チャートだから釣れたんだ、とか、なりかねないので、フックの形状以外、同じルアーを使用するのがマストです。
 
そして『◯◯率』の問題です。
ここでは、フッキング、キャッチの定義を明確にしています。

実際の釣りでは、何秒フッキングした、なんて、もちろんカウントしてないです。
人によっては竿に重みが乗った瞬間に、これをフッキングとしてみたり、ドラグが出たらフッキングとしたり、2秒竿に重みが乗ったらフッキングとしているかもしれません。

ただ、製品の特徴として『フッキング率が変わらない』と言うなら、フッキングの定義を明確にして検討する必要があります。
キャッチ率(バラシ率)を論じるので有ればここまで複雑ではありませんが(キャッチにしても、損傷を負った魚をカウントするにしても網で掬った魚だけカウントすればよい)、
フッキング率をうたうのであればこそ、の必須検討事項かと。


そして、この中でとにかく、1番大事で、必須なのは『閉鎖された場所』で行う事です。

魚の出入りがある、オープンな、実際のフィールドで検討するだなんてもってのほか。

そこに魚が何匹いるかわからないんですから。

トリプルを投げた日には現場には魚10匹、
ダブルを投げた日には現場に魚が100匹いたとして(本来この事すらわかるはずもありません)、

この現場での検討を元に、
トリプルフックとダブルフックのフッキング率に差が無かった、だなんて言えるはずはありません。
義務教育を修めている方なら誰にでもわかる事です。

ここでは海上生簀としましたが、プールでも構わないです。
しかし、プールに海水を引いたり、維持するのには、
淡水のそれより、手間とコストがかかります。

海水魚より、ラージマウスバス、トラウトなどの淡水魚の方が研究し尽くされているのは、海水魚と淡水魚で肥育にかかる手間とコストが違うから、と言うのもあると思います。
ラージマウスバスなどは、川をのぞき、湖や、池、沼という、最初から閉鎖された環境に居ますので検討しやすいのかもしれません。

閉鎖された場所でこの検討を行う事のメリットは、ダメージを負った魚の追跡ができることです。
魚の出入りがあるオープンなフィールドでは不可能なはずですから、蘇生率がどーのなど言えるはずがないんです。

(まとめ)
かなりの手間と時間、人員、コストがかかり、それなりの知識と知恵と学習の元に成り立つ検討事項かと思いますが、
構想6年らしいので、このくらいの事はやった上での発売&ブログなのかと。

もし、オープンなフィールドで、上記のような条件の均一化もせずにテストとやらを繰り返しているのだとしたら
・バレにくい
・フッキング率も変わらない
・魚を傷つけない 

なんて言っちゃいけないのではないかと。

個人の製品レビューならまだしも、

少なくとも、氏名の前に、常に社名がついてますから、この時点で『個人の経験』ではなく、
某社が開発した製品の宣伝・広告ってことですからねぇ。

他のアングラーとの議論に終始していないで、そろそろデータと根拠を出すべきかと。

そんなデータ無ければ無いって言って、謝っちゃいましょうw

販売メーカーさんに聞いてみましょうか。


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