第四章 ~人妻 久仁子との逢瀬~1

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第四章 ~人妻 久仁子との逢瀬~1
 
このログはフィクションであり、 登場する人物、団体は実在のものと一切関係ありません。

 
順平は左手で久仁子の手を握り締めながら、小牧IC近くのラブホテルに向け車を走らせ、国道に差し掛かる交差点で信号待ちをしていると、久仁子が「私のマンションに来ない?」と正面を見据えたままボソッと言い放つ。
 
 
「ねぇ・・・私のマンションに来ない?
 
 
 
ウゥゥゥッ・・・なんて響きの良い言葉なんだ・・・
 
 
男冥利に尽きる一言
 
 
「ウシャーッ! イクイクーッ!」のノリで返事をしたい内心だが、ここは声のトーンを低くして「いいのかい」と囁きながら、左腕に枝垂れ寄る久仁子のおでこにキスをする。
 
 
小牧ICから一宮ICまで高速に乗り、ICを降りてから15分ほど走ると久仁子のマンションに到着。
 
最初、来た時には気付かなかったが、マンションの北側にはコンビニがあり、駐車場に停めると久仁子はコンビニで買い物して来るから「車の中で待っていて」と足早に店内へ消えた。
しばらくするとビニール袋を2つぶら下げて戻ってきた。
 
順平「えっと・・・・車は何処に停めたらいいかな?」
久仁子は「マンション下の道路は駐禁じゃないから大丈夫」と言うが、どうみても道路標識は駐車禁止。
 
とりあえず久仁子がバラの花束を抱え降り、順平はコンビニで買い込んだ袋を持ち久仁子の後に続いた。
 
マンションのエントランスに立ち、セキュリティーの暗証番号を入力「9ク・2ニ・5コ・0-」と声に出す久仁子
 
「安易な番号だし、声に出したら暗証番号じゃないじゃんか」と心の中で突っ込む順平。
 
エレベーターを待つ間、ふとコンビニ袋の中身を見ると、ビール500mlが3本とワイン1本、カラアゲくんにポテトチップス系のお菓子が覗いて見えた。
 
 
11階に上がりエレベーターを出ると、爽やかな風が吹き抜けていた。
 
 
久仁子は「ゴメンね 重たい物を持たせちゃって」と気遣いながらマンションの扉を開けると「散らかっていますけど どうぞ上がって下さい」と順平を招きいれた。
 
間取りは2LDKだろうか・・・どうも引っ越してきたばかりのようで、閑散としたリビングにはパンダマークの段ボールが未開封のまま積まれている。
 
久仁子は「花瓶!花瓶!」と言いながら、未開封の引越し段ボールのラベルを見ながら、バラの花束を活ける花瓶を探している。
段ボールから取り出された花瓶は、どう見てもバラの花束を活けるには不恰好な花瓶。
 
久仁子はそんな事はお構いなしの様子で、鼻歌交じりにバラの花束を丁寧に花瓶に活けた。
 
居場所の無い順平は、どこに座ろうか、どこに手荷物を置こうかとまごついていると、小さなダイニングテーブルの上に置いてくれと久仁子はリビングを片付けながら順平に促がした。
 
慌しくリビングを片付けた久仁子がダイニングに戻ってくると「リビングで座ってTVでも見ていて。今、グラスを持ってくるから」とTVのリモコンスイッチを入れるとダイニングに消えた。
 
初めての訪れる女の部屋ってのはどうも居心地が悪い・・・部屋をキョロキョロと見渡し、久仁子の生活振りを考察してみる。
 
荷物や家財道具から推測すると、どうも旦那とは別居してつい最近、一人住まいを始めたような感じだ
 

留守番電話の着信メッセージを知らせるランプがパカパカと点滅している。彼氏かな?いや誕生日だから故郷のご両親かな?などと想像してみたり・・・



 
「お待たせー」とグラスとコンビニ袋を持ち、ソファーにドカッと腰を降ろす久仁子
 
順平が「とりあえず乾杯しょっ」と缶ビールの栓を抜き、グラスに注ぐ。
 
順平「それでは あらためて お誕生日 おめでとう」  久仁子「ありがとーぅ」
 
久仁子は一口ビールを飲むと「ゴメンね 着替えてきて良いかな」とスクッと立ち上がり別の部屋へ消えた。
 
部屋の向こうから「適当に買ってきたから勝手につまんでいてね~」 「それと、あんまり部屋の中をジロジロと見ないでねぇ~」 うっ!さっきキョロキョロしていたのを見られたか!
 
「なかなか部屋を片付ける時間がなくてね」と言う声が、遠く聞こえる。 部屋を移動したのか?
 
部屋の向こうで、バタン、カタカタカタ、ゴトン・・・シャーーー、バタン
 
どうやらバスルームでなにやら片づけをしている様子だ。
 
 
順平はTVを消すと、窓を開けレースのカーテンをくぐりバルコニーに出ると、11階からの景色を楽しんだ。
 
背後に久仁子の気配を感じた順平は「う~ん いい風が吹いているし 景色が良いねぇ~ 小牧城の夜景なんかより こっちの夜景の方が良いじゃんか」と言いながら振り返ると、メイクを落としTシャツにタンパン姿に着替えた久仁子が立っていた。
 
久仁子「でしょ! 私 夜景が好きだから 無理してこの部屋を選んだんだ 本当は最上階が良かったんだけどね 家賃が高くて無理だった」と飲みかけのグラスを差し出した。

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